毎日なんとなく見ている天気予報。
でも「降水確率30%って何の意味?」「虹ってなんでできるの?」なんて、
意外と知らないことばかりですよね。
今回は、そんな“天気の裏側”をとことん網羅的にかつ、わかりやすくまとめました。
知れば知るほど空を見上げたくなる、天気の雑学をお届けします!
天気予報の仕組み
1. 降水確率は雨量と無関係

「降水確率が高い=大雨が降る」という認識は間違いです。この数字は、過去の膨大なデータと照らし合わせ、「同じ気象条件が100回あった時、そのうち何回、1mm以上の雨が降るか」という頻度を示したものです。つまり30%なら「過去に30回は降った」という意味。雨の強さは考慮されないため、たとえ確率10%でも、降ればバケツをひっくり返したような土砂降りになる可能性は十分にあります。
2. 降水確率0%はレイ%

天気予報で「降水確率0%」と言う時、アナウンサーは「レイパーセント」と読みます。確率は1の位を四捨五入して10%刻みで発表されるため、実際には「0〜4%」の確率が含まれています。「ゼロ」というと「絶対に降らない」と誤解を与えかねないため、「極めて少ない」という意味を持つ「レイ(零)」という言葉を使い、わずかながら雨の可能性があることを含ませているのです。
3. 天気予報の3つの構成要素

現代の天気予報は、3つのステップで作られます。まず、気象衛星やアメダスなどで現在の地球の状態を知る「観測」。次に、そのデータをスーパーコンピューターに入力し、物理法則に基づいて未来を計算する「数値予報」。そして最後に、コンピューターの癖や地形の特性を知り尽くした「予報官(人間)」が、経験則を元に修正を加えて完成させます。最新科学と職人技の融合です。
4. アメダスの設置数と略称

日本の天気を監視する「アメダス(AMeDAS)」は、「Automated Meteorological Data Acquisition System(地域気象観測システム)」の略です。全国約1,300か所、約17km間隔(雨量観測)で網の目のように設置されており、降水量、風向・風速、気温、日照時間などを24時間休まず自動観測し、リアルタイムで気象庁へ送り続けています。
5. 飛行機が送る観測データ数

空の上からも天気予報は支えられています。民間航空機には気象観測センサーが搭載されており、上空の風や気温などのデータを飛行中に収集しています。その数は1機につき1日約23万件にも及びます。海の上など観測所がない場所の貴重なデータ源となっており、このデータのおかげで天気予報の誤差が最大30%も改善されたと言われています。
6. 天気予報の的中率
「天気予報は当たらない」というのは昔の話。現在の予報精度は飛躍的に向上しています。気象庁の評価によると、「翌日の天気予報(降水の有無)」の的中率は平均して83%〜90%程度です。ただし、未来になればなるほどカオス現象により予測が難しくなり、3日後で約80%、1週間後では約70%程度まで精度は低下していきます。
7. 的中率が低いのは北海道と沖縄

全国平均83%の的中率ですが、地域差があります。特に難しいのが北海道と沖縄で、的中率は共に70%台後半です。沖縄は海に囲まれ、発生したばかりの小さな雲の影響を受けやすいこと、北海道は冬場の雪雲の予測が非常に難しいことが理由です。特に冬の北海道(日本海側)は地形の影響も複雑で、予報官泣かせのエリアと言えます。
8. 傘を持つべき確率の目安
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「降水確率何%なら傘を持つ?」という悩みへの統計的な正解は「60%」です。60%を超えると雨が降る頻度が格段に上がるため、傘は必須です。50%は五分五分で迷うところですが、折りたたみ傘推奨レベル。逆に30〜40%でも「10回中3〜4回は降る」計算なので、濡れたくない人はカバンに備えておくのが賢明です。
9. 天気は観測所の結果を優先
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天気の実況発表には厳密なルールがあります。「現在天気」は、各地域の代表となる気象観測所(気象台など)の地点での観測結果が全てです。たとえあなたの家の周りでどしゃ降りの雨が降っていても、数キロ離れた観測所の上空が晴れていれば、その地域の天気記録は公式に「晴れ」となります。局地的な雨が多い夏場によくある現象です。
10. 平年の定義は30年間の平均

「平年並み」という言葉の基準となる「平年値」は、過去30年間のデータの平均値です。この基準値は10年ごとに更新されます。現在は「1991年〜2020年」のデータが使われていますが、温暖化の影響で最近の気温データが高くなっているため、更新されるたびに「平年並み」のハードル(温度)はじわじわと上がり続けています。
11. 日本最初の天気予報の年

日本で初めて天気予報が一般に発表されたのは、1884年(明治17年)6月1日のことでした。当時は現在のようなテレビやラジオはなく、東京市内の交番などに「全国一般風ノ向キハ定マリナシ 天気ハ変リ易シ 但シ雨天勝チ」という掲示を出していました。予報というよりは実況に近い内容で、1日3回、8時間ごとの予報だったそうです。
12. 衛星「ひまわり」の名前の由来

日本の気象衛星「ひまわり」という名前には2つの理由があります。一つは、植物のひまわりが常に太陽を向くように、衛星も常に地球を見つめていること。もう一つは、一日で天気が変わることから「日回り」という意味も込められています。親しみやすい花の名前で、国民に愛される衛星になってほしいという願いが込められています。
13. 天気予報で「天気が悪い」は使わない

気象庁やNHKの天気予報では「天気が悪い」という言葉は使いません。雨は農家にとっては恵みの雨であり、スキー場にとって雪は商売道具だからです。「悪い」という主観的な表現は避け、「天気が崩れる」「ぐずつく」「下り坂」といった客観的な表現を使います。多様な立場の人々への配慮が、言葉選びに隠されているのです。
台風の進路と予報
14. 予報円には台風中心が70%確率で入る
台風情報の白い点線で描かれた「予報円」。これは台風の大きさや強さを表すものではありません。「台風の中心が、70%の確率でこの円の中に入る」という範囲を示しています。円が大きいほど予報が難しく進路がブレやすいことを意味し、円が小さいほど予報の信頼度が高いことを意味します。円の外側に行く確率も30%残されています。
15. 台風のエネルギー源は海水

台風は巨大な熱機関です。その燃料は、温かい海から蒸発した「水蒸気」です。水蒸気が上空で冷やされて雲(水滴)に戻る時、「潜熱」という莫大な熱エネルギーを放出します。この熱が空気を温めて上昇気流を加速させ、台風を巨大化させます。陸に上がると衰えるのは、燃料である水蒸気の供給が絶たれるからです。
16. 台風の風は東側(右半分)が強い

台風の進行方向に向かって右側(東側)は「危険半円」と呼ばれます。台風自身の「反時計回りの風」に、台風を移動させる「進行方向への風」がプラスされるため、風速が猛烈に強くなるからです。逆に左側(西側)は風同士が打ち消し合うため、相対的に風は弱まります(可航半円)。台風の右側に入る地域は、特に暴風への警戒が必要です。
17. 台風・ハリケーン・サイクロン
これらは全て同じ気象現象「熱帯低気圧」ですが、存在する場所によって呼び名が変わります。東アジア周辺にあるのが「台風」、北米周辺(大西洋・北東太平洋)にあるのが「ハリケーン」、インド洋や南半球にあるのが「サイクロン」です。最大風速の基準もそれぞれ異なりますが、基本的には生まれた場所によるローカルネームの違いです。
18. 台風は赤道を超えられない
台風の渦を巻く力は、地球の自転によって生じる「コリオリの力」を利用しています。この力は赤道上ではゼロになるため、赤道直下では渦を巻くことができず、台風は発生しません。また、北半球の台風は反時計回りですが、南半球に行くとコリオリの力が逆向きに働くため、サイクロンは時計回りになります。物理的に赤道を越えて移動することもできません。
19. ヨーロッパには台風は来ない

ヨーロッパで台風被害を聞かないのは、緯度と海水温の関係です。ヨーロッパは緯度が高く、周辺の海水温が低いため、熱帯低気圧が発達・維持できません。台風の発生には海面水温が26.5℃以上必要ですが、ヨーロッパ近海はその条件を満たさないのです。ただし、近年は温暖化の影響で「メディケーン」と呼ばれる地中海の嵐が問題になりつつあります。
20. 過去最多と最少の台風発生数
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気象庁の統計(1951年以降)によると、台風が最も多く発生したのは1967年の「39個」です。平均発生数が25個程度なので、異常な多さでした。逆に最も少なかったのは2010年の「14個」です。発生数はその年の海水温や偏西風の蛇行などに大きく影響され、年によって2倍以上の開きが出ることがあります。
21. 台風上陸のピーク時間帯

過去のデータを分析すると、台風が日本に上陸する時間帯には偏りがあります。最も上陸が多いのは「18時〜21時」の夜間です。逆に最も少ないのは「3時〜6時」の明け方です。夜間の上陸は、避難行動が遅れたり、周囲の状況把握が難しくなったりするため、被害が拡大しやすい傾向にあります。早めの避難が重要です。
22. 爆弾低気圧の定義

天気予報で聞く「爆弾低気圧」は、正式名称を「急速に発達する低気圧」と言います。定義は、中心気圧が24時間で24hPa以上低下すること(緯度による補正あり)。台風並みの暴風雨や大雪をもたらしますが、台風と違って冬場に発生しやすく、広範囲にわたって長時間荒れた天気が続くのが特徴で、非常に危険な現象です。
23. 蚊が多い年は暴風ありの根拠

「蚊が多い年は台風(暴風)が多い」という言い伝えには、科学的な裏付けがあります。蚊が大量発生するには「高温」と「多雨(水たまり)」が必要です。この「高温多湿」な気象条件は、そのまま「台風が発生・発達しやすい条件」と一致します。つまり、蚊が元気な年は、台風にとってもエネルギー豊富な年である可能性が高いのです。
異常気象と気候変動
24. 線状降水帯の定義

近年よく聞く線状降水帯とは、「次々と発生した積乱雲が、列をなして同じ場所を通過し続ける現象」です。風上で新しい積乱雲が生まれ(バックビルディング現象)、風下へ流れていくため、特定の地域だけに数時間にわたって猛烈な雨を降らせます。予測が非常に難しく、集中豪雨災害の最大の要因となっています。
25. 都市下水の想定雨量とゲリラ豪雨

都会のマンホールから水が溢れるのは、設計の限界を超えているからです。多くの都市の下水道は、1時間に50〜60mm程度の雨を処理できるように設計されています。しかし、近年のゲリラ豪雨は平気で「時間100mm」を超えてきます。バケツの容量を超えた水が一気に注がれる状態となり、排水が追いつかずに内水氾濫が起きてしまうのです。
26. エルニーニョ現象とは

南米ペルー沖の太平洋赤道域で、海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象です。通常は東から西へ吹く「貿易風」が弱まることで、暖かい海水が東側(南米側)に滞留してしまうのが原因です。この海水温の変化が大気の流れを変え、遠く離れた日本を含む世界中の天候に異常をもたらします。
27. エルニーニョの日本への影響

エルニーニョが発生すると、日本では「梅雨明けが遅れる」「冷夏になる」「暖冬になる」という傾向があります。太平洋高気圧の張り出しが弱くなるため、夏は気温が上がらず曇りや雨の日が増え、冬は西高東低の冬型の気圧配置が弱まり、雪が少なくなることが多いです。農作物の不作や景気への悪影響が懸念されます。
28. ラニーニャの日本への影響

エルニーニョの逆で、貿易風が強まり、ペルー沖の海水温が低くなるのがラニーニャ現象です。これが発生すると、日本は「猛暑」と「厳冬」になりやすいです。夏は太平洋高気圧が強まり記録的な暑さに、冬は寒気の吹き出しが強まり大雪になりやすいという、極端で厳しい気候になる傾向があります。
29. 貿易風と豆腐の価格の関係

風が吹けば豆腐が高くなります。貿易風が弱まりエルニーニョが起きると、ペルー沖でカタクチイワシが不漁になります。すると、イワシを原料とする家畜の飼料(魚粉)が不足し、代替品として「大豆」の需要が急増します。国際的な大豆価格が高騰した結果、日本のスーパーの豆腐や納豆の値段が上がるという、世界経済の連鎖が起きます。
30. スモッグの語源

大気汚染の代名詞「スモッグ(smog)」は、「煙(smoke)」と「霧(fog)」を合体させた造語です。1905年にロンドンの医師が、石炭の煙と濃霧が混じり合ったロンドンの汚染大気を表現するために考案しました。当時は呼吸器疾患で多くの死者を出す深刻な公害でした。
31. 光化学スモッグの発生条件

目がチカチカする光化学スモッグは、工場や車から出る排気ガスが、強い紫外線を受けて化学反応を起こし、有害な「光化学オキシダント」に変質することで発生します。「日差しが強い」「気温が高い」「風が弱い」という3条件が揃った日に発生しやすく、夏場の日中に警報が出やすいのはこのためです。
虹と空の色
32. 虹の発生メカニズム
虹は「太陽の光のプリズムショー」です。空気中を漂う雨粒の中に太陽光が入ると、光が水滴の中で「屈折」して「反射」し、再び出て行く時に色ごとに分かれます。光は色(波長)によって曲がる角度が違うため、赤、橙、黄、緑…と色が分解されて、空に美しい7色の帯を描くのです。
33. 虹は太陽の反対側にできる

虹を見つけるには、太陽を背にして立つのが鉄則です。虹は太陽の光が水滴に反射して戻ってくる光を見ている現象なので、必ず「太陽とは反対側の空」に現れます。そのため、太陽が東にある朝は西の空に、太陽が西にある夕方は東の空に見えます。真昼に虹が見られないのは、太陽が高すぎて虹が地平線の下に潜ってしまうからです。
34. 虹のふもとには行けない

虹の根元を掘ると宝があると言われますが、近づくことは不可能です。虹はそこに存在する物体ではなく、「観測者から見て42度の角度にある水滴」が光っているだけの光学現象だからです。自分が動くと、その動きに合わせて42度の角度の位置も移動するため、虹は永遠に同じ距離を保って逃げていきます。虹はあなただけの幻影なのです。
35. 虹を人工的に作る方法

虹は自分でも作れます。晴れた日に、太陽を背にして立ち、ホースで霧状の水を前方に撒いてみてください。水滴のスクリーンに太陽光が反射して、小さな虹が浮かび上がります。背景が暗い場所(日陰の壁など)を選ぶと、色がより鮮やかに見えます。理屈さえ分かれば、いつでも虹の架け橋を作ることができるのです。
36. 空が青い理由(レイリー散乱)

太陽の光は白っぽく見えますが、実は7色が混ざっています。光が大気中の酸素や窒素の分子にぶつかると散乱しますが、特に波長の短い「青い光」は激しく散乱して空一面に広がります。これを「レイリー散乱」と呼びます。私たちは、空いっぱいに散らばったこの青い光を見ているため、空は青く見えるのです。
37. 夕焼けで空が赤くなる理由

夕方になると太陽は沈み、光が空気中を通る距離が昼間よりもずっと長くなります。すると、散乱しやすい青い光は私たちの目に届く前に散らばって消えてしまい、散乱しにくい「赤い光」だけが長い距離を通って届きます。この生き残った赤い光が雲や空を照らすため、夕焼けは赤く見えるのです。
38. 月の光で見る虹「ムーンボウ」

虹は昼間だけの現象ではありません。満月の明るい夜には、月の光で虹ができることがあり、「ムーンボウ(月虹)」と呼ばれます。光が弱いため肉眼では白っぽく見えますが、「見た人に幸せが訪れる」と言われる神秘的な現象です。ハワイなどが有名ですが、条件が揃えば日本でも見ることができます。
39. 虹の色の数は世界で違う
日本では「赤橙黄緑青藍紫」の7色と教わりますが、これは世界共通ではありません。アメリカやイギリスでは6色(藍色を含まない)、ドイツでは5色、アフリカのある部族では2色〜4色と認識されています。虹のスペクトルは連続的なグラデーションなので、どこで区切るかはその国の文化や言語による「解釈」の違いなのです。
40. 二重の虹は主虹と副虹

条件が良いと、虹の外側にもう一つ薄い虹が見える「ダブルレインボー」が現れます。内側の明るい虹を「主虹(しゅこう)」、外側の薄い虹を「副虹(ふくこう)」と呼びます。副虹は、水滴の中で光が2回反射して出てくるため、光が弱くなり、色の並び順も逆転するという特徴があります。
41. 副虹は色が逆転する
よく観察すると、ダブルレインボーの色の順序は逆になっています。内側の主虹は「上が赤・下が紫」ですが、外側の副虹は「上が紫・下が赤」です。これは、主虹が水滴内で「1回反射」した光であるのに対し、副虹は「2回反射」して出てきた光だからです。鏡に映すと左右が逆になるように、反射回数が増えることで色の配列がひっくり返るのです。
42. 虹は丸い(円形である)

地上からはアーチ状に見える虹ですが、空の上(飛行機など)から見ると、完全な「円形」に見えます。地上では地平線によって下半分が隠されてしまっているだけなのです。条件が揃えば、高い山や塔の上などからも、丸い虹の一部や、ほぼ円に近い虹を観測できることがあります。
43. 虹の数え方は決まっていない

虹をどう数えますか?実は正式な数え方は決まっていません。「1本、2本」が一般的ですが、その形状から「1つの橋(きょう)」と数えたり、光の帯であることから「1筋(すじ)」と数えたりすることもあります。文学的な表現では「一輪」と数えることもあり、虹の捉え方によって言葉が変わるのも風情があります。
雲と霧の性質
44. 雲の正体は水と氷の粒

雲は水蒸気(気体)だと思われがちですが、水蒸気は目に見えません。雲の正体は、水蒸気が冷えて凝結した「小さな水滴(液体)」や「氷の結晶(固体)」の集まりです。その粒の大きさはわずか0.01mmほど。これが無数に集まって、光を散乱させることで白くモクモクとした姿に見えているのです。
45. 雲が落ちない理由

水や氷の粒には重さがあるのに、なぜ落ちてこないのでしょうか。実は雲の粒もゆっくり落下しています。しかし、粒が非常に小さいため落下速度は毎秒数ミリ〜数センチ程度です。雲のある場所ではそれ以上の速さの「上昇気流」が吹いているため、落下分がキャンセルされて空に浮かんでいられるのです。
46. 雲が白く見える理由

雲の粒は、太陽光をプリズムのように分けるのではなく、あらゆる色の光をそのまま反射・散乱させます(ミー散乱)。太陽光に含まれる全色が混ざったまま目に届くため、雲は「白く」見えます。牛乳が白いのと同じ原理です。晴れた日の雲が輝いて見えるのは、太陽の光をたっぷりと反射しているからです。
47. 雨雲が灰色に見える理由

雨を降らせる雲が黒っぽく見えるのは、雲が汚れているわけではありません。雲が分厚く、中の水滴の密度が高すぎるため、太陽の光が雲の中で散乱しきってしまい、雲の底まで光が届かなくなるからです。光が遮断されて影になっている状態を見ているため、地上からは灰色や黒色に見えるのです。
48. 雲は全部で10種類に分類

空に浮かぶ雲は無数に形を変えますが、気象学的には「十種雲形(じっしゅうんけい)」という基本の10種類に分類されます。高さによって「上層雲」「中層雲」「下層雲」に分けられ、さらに形によって「巻雲」「積雲」「層雲」などに区別されます。これを知っていると、空を見るだけで天気の変化が読めるようになります。
49. 雲の名前の分類ルール

雲の漢字には意味があります。
「積(せき)」:縦に積み重なってモクモクした雲。
「層(そう)」:横に層状に広がる雲。
「巻(けん)」:上空高い場所にある薄い雲。
「乱(らん)」:雨や雪を降らせる厚い雲。
これらを組み合わせて「積乱雲(縦に大きい雨雲)」のように名前が付けられています。
50. 雲ができるにはチリが必要

きれいな空気だけでは雲はできません。水蒸気が水滴になるには、核となる「凝結核(ぎょうけつかく)」が必要です。これは空気中のチリ、ホコリ、海水の塩分、排気ガスなどの微粒子です。これらが芯になって水蒸気が集まることで雲粒が生まれます。皮肉にも、空気が少し汚れている方が雲や雨はできやすいのです。
51. 霧と雲の定義の違い

霧と雲は、成分としては全く同じ(小さな水滴)です。違いは場所だけ。地面に接しているものを「霧」、空に浮いているものを「雲」と呼びます。山の下から見れば山頂にかかるのは「雲」ですが、山頂に登ってその中に入れば、それは「霧」になります。見る場所によって呼び名が変わる同一人物のような存在です。
52. 空以外にもできる雲

雲は自然現象によって局地的にも作られます。例えば、火山の噴火による灰を核にしてできる「火災雲」、森林からの蒸散でできる「森林雲」、巨大な滝の水しぶきが上昇してできる「瀑布雲(ばくふぐも)」などがあります。水蒸気と上昇気流、そして核となる微粒子があれば、場所を問わず雲は生まれるのです。
53. 飛行機雲はマイナス50度で作られる

飛行機雲は煙ではなく「氷の粒」です。高度1万メートル付近は気温マイナス40〜50℃の極寒の世界。エンジンの排気ガスに含まれる水分が、外気で急激に冷やされて凍り、雲になります。冬に吐く息が白くなるのと同じ原理です。また、翼の後ろの気圧が下がって雲ができることもあります。
54. 積乱雲の限界高度

夏の入道雲(積乱雲)はどこまでも高くなれそうですが、限界があります。高度10〜15km付近にある「対流圏界面」という天井にぶつかると、それ以上寒くならないため上昇できなくなります。行き場を失った雲は横に広がり、平らな形になります。これを「かなとこ雲」と呼び、これが見えたら積乱雲が最強に発達している証拠です。
55. 細氷(ダイヤモンドダスト)の条件

空気中の水蒸気が、水滴にならずに直接凍って微細な氷の結晶となり、キラキラと舞う現象を「細氷(ダイヤモンドダスト)」と呼びます。「氷点下10℃以下」「快晴」「無風」という厳しい条件が揃った朝にしか現れません。太陽光を反射して光の柱ができる「サンピラー」を伴うこともあり、極寒の地ならではの絶景です。
56. 氷霧は氷点下30度以下

ダイヤモンドダストよりもさらに気温が下がり、氷点下30℃以下になると、空気中の水蒸気が凍って霧のように漂う「氷霧(ひょうむ)」が発生します。視界が悪くなるほどの濃い霧ですが、その成分はすべて氷の結晶です。日本では北海道の内陸部など、ごく一部の地域でしか見られない非常に珍しい現象です。
雨、雪、雹の性質
57. 雨粒の形は肉まん型

雨粒といえば「涙型」をイメージしますが、実際は違います。小さな雨粒は球形ですが、大きくなると落下する際の空気抵抗(下からの風圧)を受け、底が平らで上が丸い「肉まん(まんじゅう)」のような形につぶれます。さらに大きくなると、真ん中がくぼんでドーナツ状になり、最後は空気抵抗に耐えられずに分裂してしまいます。
58. 0℃以上でも雪が降る

「気温0℃=雪」とは限りません。上空でできた雪の結晶は、落ちてくる途中で溶けて雨になりますが、空気が乾燥していると、雪の表面が昇華して熱を奪うため、気温が数度あっても溶けずに地上まで届くことがあります。湿度が低ければ、地上気温が5℃以上でも雪が降ることがあるのです。
59. 雪の結晶は121種類

雪の結晶は六角形だけではありません。針のような形、鼓(つづみ)のような形、砲弾型など、その形状はなんと121種類(グローバル分類)にも及びます。雲の中の「気温」と「水蒸気の量」の組み合わせによって、結晶の成長パターンが変化するため、千差万別の美しい形が生まれるのです。
60. 雪は天から送られた手紙

世界で初めて人工雪を作った物理学者・中谷宇吉郎博士の名言です。雪の結晶の形を見れば、上空の気温や湿度が分かります。つまり、雪の結晶には上空の気象情報が刻まれており、それを地上に伝える「手紙」のような存在だという意味です。科学とロマンが融合した美しい言葉です。
61. 雹(ひょう)のサイズ基準
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空から降ってくる氷の粒には名前の区別があります。直径5mm未満のものを「霰(あられ)」、5mm以上のものを「雹(ひょう)」と呼びます。雹は積乱雲の中で上昇と落下を繰り返し、雪だるま式に氷の層が重なって大きくなります。中にはゴルフボールやソフトボール大の雹が降ることもあり、車や屋根を破壊するほどの威力があります。
62. 雹(ひょう)が降りやすいのは初夏と秋
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氷の塊である雹は、真冬にはあまり降りません。地上の気温が高く、上空に強い寒気がある「大気の状態が不安定」な初夏(5〜7月)や秋(10月)に多発します。強い上昇気流を持つ巨大な積乱雲が必要だからです。冬は積乱雲があまり発達しないため、大きな雹になる前に霰として落ちてくることがほとんどです。
63. 雹(ひょう)からの避難方法

雹が降ってきたら、傘は役に立ちません。氷の弾丸のようなものなので、傘を貫通したり骨を折ったりする危険があります。すぐに頑丈な建物の中へ避難してください。車の中も比較的安全ですが、フロントガラスが割れることもあるので窓から離れましょう。木の下は落雷の危険も高いため避けるべきです。
64. 人工的に雨を降らせる技術

雨を人工的に降らせる技術は実用化されています。「クラウド・シーディング(種まき)」と呼ばれ、雨雲の中にドライアイスやヨウ化銀を散布し、雨粒の核を作って雨を降らせます。水不足対策としてダムの上流で行われたり、イベント前に雨を降らせて当日を晴れにする(人工消雨)ために使われることもあります。
65. 日本一雨が降る屋久島の雨量

小説『浮雲』で「月に35日雨が降る」と表現された鹿児島県の屋久島。山間部の年間降水量は4,000mm〜10,000mmにも達し、日本の平均(約1,700mm)の数倍以上です。海からの湿った風が高い山々にぶつかって雲ができる地形的な要因が大きく、この豊富な雨が屋久杉や苔むした太古の森を育んでいます。
66. 世界で雪が最も降る都市は青森

世界中の人口10万人以上の都市の中で、最も年間降雪量が多いのは日本の「青森市」です(年間約8m)。2位は札幌市、3位は富山市と、なんとトップ3を日本の都市が独占しています。シベリアからの寒気と日本海の湿気が生む雪雲、そして山脈という条件が揃った日本は、世界でも類を見ない「豪雪都市国家」なのです。
気温と気圧の記録・影響
67. 日本の最高気温記録41.8℃

日本の歴代最高気温は、群馬県伊勢崎市で観測された「41.8℃」(伊勢崎、浜松などで記録あり)など、41度台が記録されています。近年の猛暑により記録は更新され続けており、人間の体温を遥かに超える危険な暑さが、もはや珍しいことではなくなりつつあります。
68. 日本の最低気温記録-41.0℃

逆に、日本の公式な最低気温記録は1902年1月25日に北海道旭川市で記録された「マイナス41.0℃」です。100年以上破られていない記録です。想像を絶する寒さですが、この日は日本史上最悪の山岳遭難事故「八甲田山雪中行軍遭難事件」が起きた日でもあり、日本列島全体が異常な寒波に覆われていたことが分かります。
69. 猛暑日最少は沖縄、最多は京都

「沖縄は暑い」というイメージがありますが、実は35℃を超える「猛暑日」はほとんどありません。海風が常に吹き抜け、ヒートアイランド現象も少ないため、気温が上がりにくいのです。逆に猛暑日が多いのは京都などの「盆地」です。風が通らず熱がこもるため、体感的な暑さは南国沖縄よりも内陸の盆地の方が過酷な場合があります。
70. 富士山頂の年間平均気温

日本一高い富士山の山頂は、極寒の世界です。年間平均気温は「マイナス7.1℃」。真夏でも最高気温が10℃に届くことは稀です。冬場はマイナス20℃以下になり、風速数十メートルの暴風が吹き荒れます。日本国内でありながら、気象条件は南極やヒマラヤに近い過酷な環境なのです。
71. フェーン現象の始まりの風

山を越えて熱風が吹き下ろす「フェーン現象」。この名前は、アルプス山脈を越えてドイツなどに吹く局地風「フェーン(Föhn)」に由来します。湿った空気が山にぶつかって雨を降らせた後、乾燥した空気となって山を下る際に、圧縮されて温度が上がる現象です。日本では日本海側の猛暑の主な原因となります。
72. 東北の地域風「やませ」
夏に東北地方の太平洋側に吹く、冷たく湿った北東風を「やませ」と呼びます。親潮(寒流)の上を通ってくるため冷気が運ばれ、夏なのに気温が上がらず、霧が発生して日照不足を引き起こします。これが続くと稲が育たない「冷害」の原因となり、昔から東北の農家にとっては恐ろしい「飢饉の風」として知られてきました。
73. 天気が西から東に変わる理由

日本の天気予報で「西から天気が下り坂」とよく聞くのは、日本の上空に常に西から東へ向かって吹く強い風「偏西風(へんせいふう)」があるからです。高気圧や低気圧、雲などは、このベルトコンベアのような風に乗って移動してきます。そのため、西にある天気はいずれ東へやってくるのが日本の天気の基本ルールです。
74. 湿度が高いと暑く感じる理由

同じ30℃でも、湿度が違うと体感が全く違います。人間は汗が蒸発する時の「気化熱」で体温を下げていますが、湿度が高いと空気が水分で満たされているため、汗が蒸発できずに肌に残ってしまいます。体温を逃がす冷却システムが働かなくなるため、熱が体内にこもり、不快な蒸し暑さを感じるのです。
75. 露点の定義と蒸し暑さの関係

「露点(ろてん)」とは、空気を冷やしていった時に、中の水蒸気が水滴(露)になり始める温度のことです。露点が高いということは、空気中にたっぷりと水蒸気が含まれていることを意味します。気温が同じでも露点が高い日は、空気が湿っぽくジメジメしており、不快指数が高くなります。
76. 露点18度以上で蒸し暑い

体感的な目安として、露点が18℃を超えると多くの人が「蒸し暑い」と感じ始めます。21℃を超えるとかなり不快、24℃を超えると我慢できない蒸し暑さになります。天気予報で「湿度」だけでなく、この「露点温度」に注目すると、その日の不快度合いがより正確に予想できます。
観天望気と生物のサイン
77. 観天望気は85%を補う

「夕焼けは晴れ」などの言い伝えを「観天望気(かんてんぼうき)」と言います。現代の科学予報の的中率は約85%ですが、局地的な天気の変化など、科学だけではカバーしきれない残りの部分を補うのが観天望気です。空の様子や生き物の行動は、その場所ごとの微細な空気の変化を敏感に捉えており、現代でも有効な予知手段となり得ます。
78. 朝焼けは雨、夕焼けは晴れ

最も有名な天気のことわざです。天気は西から東へ移動します。「夕焼け(西が晴れ)」なら、その晴れ間が翌日やってくるので晴れ。逆に「朝焼け(東が晴れ)」ということは、高気圧がすでに通り過ぎて東へ行ってしまい、西からは次の低気圧(雨)が近づいていることを示唆するため、天気は下り坂になる確率が高いのです。
79. 夕焼けの日は晴れが続く

夕焼けが見えるということは、西の空に雲がない証拠です。日本の天気は西から変わるため、西に高気圧(晴れをもたらす空気)があることを意味します。この高気圧が夜の間に移動してきて、翌日は自分の真上にやってくるため、晴れる可能性が高くなります。世界中で共通して使われている信頼度の高い経験則です。
80. すぐ消える飛行機雲は晴れ

飛行機雲は、上空の水分で作られた雲です。出来てもすぐに消えてしまう場合、上空の空気が乾燥している(湿度が低い)証拠です。上空が乾燥しているときは高気圧に覆われていることが多く、雲が発達しにくいため、これからも良い天気が続くと予想できます。
81. 長く残る飛行機雲は雨

逆に、飛行機雲がいつまでも消えずに長く残っていたり、太く広がっていったりする場合は、上空の湿度が非常に高く、飽和状態に近いことを示しています。これは低気圧や前線が近づいて湿った空気が流れ込んでいるサインであり、じきに雨雲が発達して天気が崩れる可能性が高いと言えます。
82. 早朝暖かいと雨が降る

晴れた日の朝は「放射冷却」で冷え込みますが、早朝なのに生暖かいと感じる場合、夜の間に雲が空を覆って布団のような役割をし、地上の熱を逃がさなかった可能性があります。すでに雲が広がっているということは、低気圧が接近している証拠であり、その後に雨が降る確率は高くなります。
83. 鳥が低く飛ぶと雨の科学的根拠

ツバメなどが低く飛ぶと雨、と言われます。これは鳥自身の予知能力ではなく、餌となる「虫」の動きによるものです。雨が近づいて湿度が高くなると、羽の薄い虫たちは水分が付着して重くなり、高く飛べなくなります。それを捕食する鳥たちも、虫に合わせて低空飛行をするようになるため、結果として雨のサインとなるのです。
天気と生活への影響
84. 雷が鳴っている時のお風呂の危険

家の中にいても雷には注意が必要です。特に危険なのがお風呂。水道管や排水管は金属製で外部と繋がっていることが多く、近くに落雷すると管を伝って高圧電流が浴室内に侵入する「誘導雷」のリスクがあります。感電する恐れがあるため、雷鳴が聞こえている間は入浴やシャワー、水回りの使用は控えるのが鉄則です。
85. 雷の距離計算方法

光ってから音が鳴るまでの時間を数えることで、雷までの距離が分かります。光は一瞬で届きますが、音は1秒間に約340m進みます。「秒数 × 340m」が距離です。もし3秒で音が聞こえたら、距離は約1km。これはすでに落雷の危険範囲内です。「まだ遠い」と油断せず、すぐに安全な場所へ避難しましょう。
86. 雷から身を守る最も安全な場所

屋外で雷に遭った時、最も安全な避難場所は「鉄筋コンクリートの建物」か「車の中」です。車はボディが金属で覆われているため、万が一雷が落ちても、電気はボディの表面を通ってタイヤから地面へ流れます(ファラデーケージ効果)。車内には電気が入ってこないので、金属部分に触れずにじっとしていれば安全です。
87. 雨音は70デシベルで集中力アップ

雨の日は勉強や仕事がはかどると言われます。雨音には「1/fゆらぎ」というリラックス効果のあるリズムが含まれているほか、約70デシベル程度の雨音は、周囲の雑音を消してくれる「ホワイトノイズ」の効果があります。静かすぎるよりも適度な環境音がある方が集中力や記憶力が高まることが研究で示唆されています。
88. 雨の日は交感神経が活発になる

一般的に低気圧(雨)は副交感神経を優位にさせリラックス(やる気低下)させると言われますが、一方で気圧の低下は体にストレスを与え、対抗するために交感神経を刺激する場合もあります。また低気圧で血管が拡張し血流が変わることで、ある種の興奮状態や心理的な変化をもたらすという説もあります。雨の日の独特なアンニュイな気分は、この自律神経の揺らぎによるものかもしれません。
89. 気圧変化は内耳で感知される

天気が悪くなると頭痛がする「気象病」。この犯人は耳の奥にある「内耳(ないじ)」です。内耳には気圧の変化を感じ取るセンサーがあり、気圧が下がると脳に信号を送ります。敏感な人はこの信号が過剰なストレスとなり、自律神経が乱れて頭痛やめまいを引き起こします。耳のマッサージで血行を良くすると緩和されることがあります。
90. 風速1m/sで体感温度1℃低下

気温が同じでも、風がある日は寒く感じます。これは風が体の表面の熱を奪っていくからです。目安として、「風速が1m/s増すごとに、体感温度は約1℃下がる」と言われています。気温10℃でも風速10mの風が吹けば、体感は0℃の真冬並みです。冬の外出時は、気温だけでなく風速もチェックすることが重要です。
91. 電線がゆるい理由

電柱の電線を見ると、ピンと張らずに少したわんでいます。これは手抜き工事ではなく、計算された設計です。金属は「熱くなると伸び、寒くなると縮む」性質があります。もし夏にピンと張ってしまうと、冬の寒さで縮んだ時に張力に耐えきれず切れてしまいます。季節による伸縮を見越して、あえて「あそび」を持たせているのです。
まとめ
天気予報や空の現象には、ちょっとした理屈とたくさんの驚きが詰まっています。
何気ないニュースや空模様の中にも、「へぇ~」と思える科学が隠れているんですね。
次に空を見上げるとき、本記事の雑学をちょっと思い出すと、今日の天気が少し違って見えるかもしれません。