毎日なにげなく食べている料理にも、実は“知られざる誕生秘話”がたくさんあります。
たとえば、レトルト食品の元祖が日本発だったり、サンドイッチが貴族の遊びから生まれたり…。
身近なメニューほど、意外な歴史やユニークな由来が隠されているものです。
今回は、そんな「料理や食品の誕生」にまつわる面白い雑学をまとめてご紹介します。
読んだあと、きっといつもの食卓がちょっと違って見えるはずですよ。知らなきゃよかった、なんてことは決してありません!
料理メニューの誕生秘話
1.元祖レトルトは日本発
1968年、大塚食品が発売した「ボンカレー」は、世界初の市販レトルト食品です。ヒントになったのは、なんとアメリカ軍の携帯口糧でした。当時、お湯で温めるだけで食べられるカレーは画期的で、保存料を使わずに常温で長期保存できる技術は、後の防災食などにも応用されています。ちなみにパッケージの女優、松山容子さんは今でもホーロー看板でお馴染みですね。
2.最初のジャムは杏子味

現在はイチゴジャムが定番ですが、日本で初めて作られたジャムパンの中身は「杏子(あんず)ジャム」でした。考案したのはあんパンでも有名な木村屋です。明治時代、まだイチゴは高級で入手困難だったため、駄菓子として流通していた杏子ジャムが選ばれました。酸味のある杏子とパンの相性は抜群で、当時のハイカラな味として人気を博したと言われています。
3.元祖はすかいらーく

日本初の「ファミリーレストラン」という業態を確立したのは、1970年に東京都国立市にオープンした「スカイラーク1号店」だと言われています。それまで高級店か大衆食堂しかなかった外食産業に、セントラルキッチン方式を導入し、「安くて美味しい洋食」を家族連れに提供するスタイルは革命的でした。当時の看板メニューはハンバーグだったそうです。
4.サンドは賭博から誕生

サンドイッチの名前は、18世紀のイギリス貴族、第4代サンドウィッチ伯爵に由来します。彼は無類のトランプ好きで、食事の時間も惜しんでゲームに熱中していました。そこで「ゲームを中断せず、片手で食べられる食事を」と所望し、パンに具材を挟ませたのが始まりです。このスタイルが他の貴族たちの間でも「サンドウィッチと同じものを」と評判になり、広まったとされています。
5.トレイ方式は広島発祥

パンを自分でトレイにのせてレジへ持っていくセルフサービス形式は、1967年に広島のパン屋「アンデルセン」が日本で初めて導入しました。それまでは対面販売が常識でしたが、人手不足の解消と、お客様が好きなパンを自由に選ぶ楽しさを両立させるために考案されました。この画期的なシステムは瞬く間に全国のベーカリーへと広まり、現在の標準スタイルとなっています。
6.由来は画家の色使い

イタリア料理の「カルパッチョ」は、生の牛肉に白いソースをかけた料理です。この名前は、赤と白を印象的に使う作風で知られたルネサンス期の画家「ヴィットーレ・カルパッチョ」に由来します。1950年頃、ヴェネツィアのレストランでこの料理が考案された際、ちょうど彼の回顧展が開かれており、皿の彩りが彼の絵画を連想させたため名付けられました。
7.昔はちくわ型だった

平安時代の古文書にも登場する「蒲鉾(かまぼこ)」ですが、当時は現在の板付きの半月型ではなく、植物のガマの穂に似せて作られた筒状の形をしていました。つまり、現在の「ちくわ」のような形だったのです。後に板に盛り付ける形が登場した際、区別するために元々の筒状のものを「竹輪(ちくわ)」と呼ぶようになり、板付きの方が「かまぼこ」の名を受け継ぎました。
8.実は日本発の洋食たち

洋食や中華料理だと思われているメニューの中には、日本発祥のものが数多くあります。例えば「エビフライ」や「ドリア」「ナポリタン」は日本の洋食店で生まれました。また、現在のような甘辛いチリソースがかかった「エビチリ」も、陳建民氏が日本人の口に合うようにケチャップを用いてアレンジした日本生まれの中華料理です。日本人のアレンジ能力の高さがうかがえます。
9.ネギマの具は鮪だった

焼き鳥の「ネギマ」は、もともと江戸時代の鍋料理「ねぎま鍋(ネギとマグロの鍋)」が語源です。当時は保存技術が未熟で、脂の多いマグロのトロは人気がなく安価でした。そのマグロとネギを煮たのが「ねぎま鍋」です。その後、屋台でマグロとネギを串に刺して焼くようになり、マグロが価格高騰して鶏肉に代わっても、「ネギマ」という名前だけが残ったのです。
10.タコ型は母の愛から

お弁当の定番「タコさんウインナー」を考案したのは、料理研究家の尚道子さんです。彼女が、野菜嫌いで食の細い子供のために「どうすれば楽しく食べてくれるか」と悩み、ウインナーに切り込みを入れてタコの形にすることを思いつきました。このアイデアはテレビや雑誌で紹介されて爆発的に広まり、今ではお弁当に欠かせない「母の愛情」の象徴となっています。
11.羽根つきは蒲田発祥

パリパリの羽根が美味しい「羽根つき餃子」の発祥地は、餃子の激戦区である東京都大田区の蒲田です。1983年、「你好(ニイハオ)」の創業者・八木功氏が、中国の焼き肉まんの調理法をヒントに、水溶き小麦粉を流し込んで焼いたのが始まりです。当初は失敗作だと思われないか心配だったそうですが、その香ばしさと見た目のインパクトで大ヒットしました。
12.3食は江戸時代から

日本で1日3食(朝・昼・夕)の習慣が庶民に定着したのは、江戸時代中期(元禄時代頃)と言われています。それまでは朝夕の2食が基本でしたが、菜種油の普及で明かりが灯るようになり、人々の活動時間が夜まで延びたため、昼食が必要になったのです。また、大火事の復興作業にあたる大工や職人たちの体力を維持するために食事が増えたとも言われています。
13.仏料理は革命で普及

世界三大料理の一つであるフランス料理。かつては王侯貴族だけが楽しめる宮廷料理でしたが、1789年のフランス革命で状況が一変します。職を失った宮廷料理人たちが街に下り、一般市民向けのレストランを開業したことで、高度な調理技術や洗練された味が大衆に広まりました。革命は政治だけでなく、食文化の民主化も引き起こしていたのです。
14.ニンニク入は日本流

本場・中国の餃子には、基本的に具の中にニンニクを入れません。ニンニクは生のままスライスして、餃子のかじり・口直しとして食べるのが一般的です。日本の餃子にニンニクが入っているのは、戦後の食糧難の時代に、満州から帰国した人々が「スタミナ料理」として普及させた背景があるためです。労働者の活力を支えるためにアレンジされた日本独自のスタイルです。
15.寿司屋存続の裏技

戦後の1947年、GHQの飲食営業緊急措置令により飲食店の営業が厳しく制限され、寿司屋は存続の危機に瀕しました。しかし、東京の寿司組合が「客が米を持参し、店はそれを加工して返すだけ」という『委託加工』の形式を提案し、これが認められました。この苦肉の策により寿司屋は生き残り、現在の「1人前10貫程度」という提供スタイルもこの時に定着したと言われています。
16.明石焼は接着剤の残り

兵庫県明石市の名物「明石焼き(玉子焼)」は、ふわふわの食感が特徴です。実はこれ、江戸時代末期に明石で盛んだった「明石玉(模造サンゴ)」作りに関係しています。明石玉の接着剤として大量の卵白が使われ、余ってしまった大量の「卵黄」をどうにか活用しようとして生まれた料理なのです。捨てるはずだった食材から、絶品グルメが誕生しました。
17.英国名物は移民の味

イギリスを代表する料理フィッシュアンドチップスですが、そのルーツは移民文化にあります。1860年頃、ロンドンの下町でユダヤ人移民のジョセフ・マリンが、ユダヤ風の白身魚のフライと、当時普及し始めていたフライドポテトを組み合わせて売り出したのが始まりという説が有力です。安くて栄養価の高いこの料理は、産業革命期の労働者階級の胃袋を支えました。
18.高級豆は糞から発見

世界一高価とも言われるコーヒー「コピ・ルアク」は、ジャコウネコの糞から採取した豆を使います。これは元々、オランダ植民地時代のインドネシアで、現地の農民がコーヒー豆を飲むことを禁じられていたことに由来します。彼らがどうしてもコーヒーを飲みたくて、野生動物の糞に残った豆を洗って焙煎したところ、独特の芳醇な香りがすることを発見したのです。
19.昔は米を捨てていた

江戸時代以前の寿司(なれずし)は、現在の握り寿司とは全く異なるものでした。魚を塩とご飯に漬け込み、数ヶ月から数年かけて乳酸発酵させて保存するための食品だったのです。食べる際にはドロドロに発酵して酸っぱくなったご飯は捨てて、魚だけを食べていました。ご飯も一緒に食べるようになったのは、発酵期間を短くした「箱寿司」などが登場してからのことです。
20.冷食の初はイチゴ

日本初の市販冷凍食品は、1930年に発売された「イチゴシャーベット(冷凍いちご)」でした。その後、本格的な調理済み冷凍食品として百貨店で販売された初期の商品には「茶碗蒸し」が含まれていました。茶碗蒸しは再現が難しく、解凍してもス(気泡)が入らない技術開発に苦労したそうですが、家庭で料亭の味が楽しめるとあって注目を集めました。
食材・食品の意外な起源
21.氷の普及は明治から

江戸時代、夏になると「ひやっこい」という掛け声で「冷や水」が売られていましたが、これは井戸水に砂糖などを入れたもので、氷ではありませんでした。当時、氷は殿様しか口にできない貴重品だったのです。庶民が日常的に氷を手軽に楽しめるようになったのは、明治時代に入り、製氷技術が発展して「氷屋」が登場してからのことです。
22.芋品種は国の努力作

焼き芋やスイーツでおなじみのサツマイモ。「紅はるか」や「シルクスイート」など数多くの品種がありますが、その多くは日本の国立研究開発法人(農研機構)などが長年かけて品種改良を行ったものです。病気に強く、甘みが強く、食感が良いものを目指して交配を重ねた結果、現在のようなスイーツ並みの甘さを持つサツマイモが誕生しました。
23.養豚は台風復興から

日本の養豚業が愛知県や鹿児島県などで盛んな背景には、1959年の「伊勢湾台風」が関係しています。甚大な被害を受けた被災農家の生活再建支援として、国や自治体が豚の飼育を推奨したのです(災害復興としての導入)。子豚を送る「愛の豚」運動なども行われ、これがきっかけで養豚が本格的な産業として根付き、発展していきました。
24.いよかんは山口発祥

「伊予(愛媛県)」の名前がついているため愛媛原産と思われがちですが、「いよかん」が最初に発見されたのは明治時代の山口県です。当時は「穴門(あなと)みかん」と呼ばれていました。その後、愛媛県での栽培が非常に適していることが分かり、松山市を中心に生産が拡大。「伊予の国のみかん」として定着し、現在では生産量の9割を愛媛県が占めています。
25.梨はゴミ捨て場で発見

鳥取県の特産品として有名な「二十世紀梨」ですが、発祥は千葉県松戸市です。1888年、当時13歳の少年が、親戚の家のゴミ捨て場のような場所に生えていた小さな梨の木を偶然見つけたのが始まりです。この木から採れた梨が驚くほど美味しかったため、「新世紀の王者になる」という願いを込めて「二十世紀」と名付けられました。
26.キムチの赤は最近の話

韓国を代表する漬物キムチですが、最初からあのような赤い色をしていたわけではありません。もともとは野菜を塩漬けにしたシンプルなものでした。現在のように唐辛子を使って赤く辛くなったのは、豊臣秀吉の朝鮮出兵などを経て日本から朝鮮半島へ唐辛子が伝来し、18世紀頃に庶民の間で粉唐辛子の使用が一般的になってからのことです。
27.昔キャベツは胃腸薬

キャベツの歴史は非常に古く、紀元前より地中海沿岸やヨーロッパで栽培されていました。当時は現在のように丸く結球しておらず、ケールのような葉キャベツでした。古代ギリシャやローマでは「万能薬」として重宝され、胃腸の調子を整えたり、二日酔いを防いだりする健康野菜として食べられていました。丸いキャベツが普及するのはもっと後の時代です。
28.トマトは昔観賞用

現在では世界中で愛されているトマトですが、18世紀頃までヨーロッパでは「毒がある」と信じられ、食用ではありませんでした。有毒植物のベラドンナに似ていたため、恐れられていたのです。当時のトマトは、その赤い実の美しさを楽しむための「観賞用植物」として庭に植えられていました。食用として普及したのは、イタリアで飢饉の際に食べられたのがきっかけとも言われます。
29.ハギスは詩人の味

羊の内臓を使ったスコットランドの伝統料理「ハギス」。見た目や独特の風味で敬遠されることもありますが、スコットランドの人々にとっては魂の料理です。特に国民的詩人ロバート・バーンズの誕生日(1月25日)には、彼の書いた『ハギスに捧げる詩』を朗読し、ウイスキーと共にハギスを食べる晩餐会が各地で盛大に行われます。
30.無臭種はニンニク外

食べた後に臭いが残らないとして人気の「無臭ニンニク」。実はこれ、植物分類上はニンニクの品種改良品ではなく、「エレファントガーリック(ジャンボニンニク)」と呼ばれる別種の植物です。分類としてはリーキ(西洋ネギ)の仲間にあたります。そのため、ニンニク特有の臭い成分(アリシン)が元々少なく、マイルドな味わいが特徴なのです。
言葉・名称の意外な語源
31.チョコ語源は苦い水

甘いお菓子の代表チョコレートですが、その語源は古代メキシコの言葉(ナワトル語)で「苦い水」を意味する「ショコラトル」です。当時のカカオは砂糖を入れず、トウモロコシの粉や唐辛子などのスパイスを混ぜたドロドロの飲み物で、薬や強壮剤として王族や戦士に飲まれていました。現在のような甘い固形チョコになったのは19世紀のヨーロッパでのことです。
32.腐は固形物の意味

食品なのに「腐」という漢字が使われる豆腐。実は中国語における「腐」は、腐敗のことではなく「ぶよぶよした柔らかい固形物(ヨーグルトのような状態)」を意味します。つまり「豆を加工して固めた柔らかいもの」という、形状を表す真っ当な名前なのです。日本では字面を嫌って「豆富」と書くこともありますが、語源を知れば「豆腐」も悪い名前ではありません。
33.醍醐味はチーズの味

物事の本当の面白さや深い味わいを指す「醍醐味(だいごみ)」という言葉。仏教には、牛乳を精製していく5つの段階(乳→酪→生酥→熟酥→醍醐)という教えがあり、最後の「醍醐」は現在のチーズやバターオイルのような最上の味を指しました。この「最高に美味しいもの」という意味が転じて、物事の奥深い良さを表す言葉になったのです。
34.語源は医学用語説

ホルモン焼きの語源は、大阪弁で捨てるものを意味する「放るもん」だという説が有名ですが、実は昭和初期に栄養豊富な内臓肉を、当時の流行語だった医学用語「ホルモン(活力を与える物質)」にあやかって名付けたという説が有力視されています。「スタミナ料理」としてのイメージ戦略だったわけですが、関西人のユーモアある「放るもん説」も根強く愛されています。
35.当初メロンなし

メロンパンという名前は、表面のビスケット生地のひび割れや格子模様が「マスクメロン」の皮に似ていることに由来します。当初はメロン果汁などは一切入っておらず、単に形が似ているだけのパンでした。ちなみに、関西の一部ではラグビーボール型のパンを「メロンパン」と呼び、丸い形の方を「サンライズ」と呼ぶ独自の文化が残っている地域もあります。
36.ビスは二度焼く意味

お菓子のビスケット(biscuit)の語源は、ラテン語の「ビス・コクトゥス(二度焼かれたもの)」です。もともとは航海や遠征のための保存食として作られたパンの一種で、水分を極限まで抜くために二度焼く製法がとられていました。この「保存のためにしっかり焼く」という製法が名前の由来となり、現在でもサクサクした食感のお菓子を指しています。
37.食パンは消しゴム対比

なぜ「食べるパン」と当たり前の名前がついているのでしょうか。有力な説の一つに、美術の世界では木炭デッサンの修正にパンの白い部分(消しパン)を使うため、それと区別するために、人間が食べる方を「食パン(主食用のパン)」と呼ぶようになったというものがあります。また、西洋料理の「本食」のパンだからという説もあります。
38.ショートは脆い意味

ショートケーキの「ショート(short)」は、長さが短いという意味ではなく、「サクサクした」「崩れやすい」という意味です。お菓子作りに使う油脂「ショートニング」と同じ語源です。もともと欧米のショートケーキは、ビスケットのようなサクサクした生地にクリームを挟んだものでした。日本のスポンジケーキ形式は、不二家が日本人好みにアレンジしたものです。
39.ハヤシ語源は謎だらけ

ハヤシライスの語源には諸説入り乱れています。丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)医師が考案した栄養食説、上野精養軒の林シェフが作った賄い飯説、そして英語の「ハッシュド・ビーフ(細切れ肉)」が訛った説などです。決定的な証拠はありませんが、明治時代に西洋料理が日本に定着する過程で生まれた傑作であることは間違いありません。
40.名は「安心です」略

スーパーでよく見かける「アンデスメロン」。南米のアンデス山脈原産かと思いきや、実は日本生まれの品種です。病気に強く栽培しやすいことから「作って安心」、安価で供給できるから「売って安心」、味も良くて「買って安心」。この「安心です(アンシンデス)」から「シン(芯)」を取って「アンデス」と名付けられました。ダジャレのような本当の話です。
41.語源は「ねぎ取る」

回転寿司の定番「ねぎとろ」の語源は、野菜のネギではありません。マグロの骨の隙間にある肉(中落ち)や皮の裏の脂身を、スプーンなどで「ねぎ取る(こそげ取る)」という動作が由来です。建築用語で土を掘る「根切り」から来たという説もあります。現在では薬味のネギを散らすのが一般的になったため、ダブルミーニングのように定着しています。
42.胡椒は唐辛子のこと

九州発祥の調味料「柚子胡椒」の原材料は、柚子の皮、塩、そして唐辛子です。一般的な「コショウ(ペッパー)」は入っていません。これは、九州の一部地域では古くから唐辛子のことを「胡椒」と呼ぶ方言があったためです。「青い唐辛子」を使ったものを青柚子胡椒、「赤い唐辛子」を使ったものを赤柚子胡椒と呼び、鍋や刺身の薬味として親しまれています。
43.あの紙は骨隠し

ローストチキンなどの持ち手に巻かれている白いひらひらした紙飾り。これには「マンシェット(フランス語で袖口)」や「チャップ花」という正式名称があります。手が油で汚れるのを防ぐ実用的な役割に加え、調理で露出してしまった骨の断面や焦げた部分を隠し、料理を華やかに見せるための装飾としての意味合いも強く持っています。
栄養・成分と健康効果
44.トマト汁は温めて飲め

トマトに含まれる赤い色素「リコピン」は、強力な抗酸化作用を持つことで知られていますが、実は生のまま食べるよりも、加熱した方が吸収率が高まります。加熱によって細胞壁が壊れ、成分が外に出やすくなるからです。トマトジュースをレンジで温め、吸収を助けるオリーブオイルを少量垂らして飲むと、美容と健康に最適な特製スープになります。
45.丸グラスは飲み過ぎる

お酒を飲む時、グラスの形には注意が必要です。イギリスの研究によると、底が丸く膨らんだグラスや飲み口が広がっているグラスでビールを飲むと、真っ直ぐなグラスに比べて飲むスピードが速くなり、総摂取量が増える傾向があるそうです。これは視覚的な錯覚で「まだ半分ある」という感覚が狂いやすいためと言われています。飲み過ぎ防止にはストレートなグラスが推奨されます。
46.レンゲは油をすくう

ラーメンのスープ表面には、保温効果もある厚い油の膜が張っています。レンゲを使わずスープを飲むと、麺に絡む油だけでなくスープ表面の油脂も多くすくい取ってしまいがちです。結果として脂質の摂取量が大幅に増えてしまいます。ダイエット中だけどスープを飲みたい時は、レンゲを使わず器に口をつけて飲む方が、油を避けやすくなります。
47.カロリー誤差20%

食品パッケージのカロリー表示(栄養成分表示)は、実は絶対的な数値ではありません。食品表示法では、表示値と実際の分析値との間に「±20%」の誤差が許容されています。つまり「100kcal」と書いてあっても、実際は80kcalかもしれないし、120kcalかもしれないのです。カロリー計算をする際は、あまり神経質になりすぎず、目安程度に考えるのが賢明です。
48.レタスの繊維は少ない

「レタス○個分の食物繊維」というキャッチコピーのせいで、レタスは食物繊維が豊富だと思われがちです。しかし実際は95%以上が水分で、100gあたりの食物繊維量は1.1g程度と、野菜の中では決して多くありません(ゴボウは5.7g、ブロッコリーは5.1g)。あの表現は「レタスならイメージしやすい」という理由で単位として使われているだけなのです。
49.植物油は元々ゼロ

サラダ油などで大きく書かれている「コレステロール0」の表示。健康に良さそうに見えますが、そもそもコレステロールは動物性脂肪に含まれる成分であり、植物性脂肪には元々含まれていません。つまり、どんなに安い植物油でも、高級なオリーブオイルでも、基本的にはすべて「コレステロール0」なのです。当たり前のことを強調したマーケティング手法の一つです。
50.冷や飯は太りにくい

炊きたてのご飯は美味しいですが、ダイエットの観点からは「冷や飯」に軍配が上がります。ご飯に含まれるデンプンは、冷めると「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」という物質に変化します。これは小腸で吸収されにくく、食物繊維と同じような働きをするため、血糖値の上昇を抑え、摂取カロリーを減らす効果が期待できるのです。
51.食欲は栄養不足の合図

夜中に無性に特定の味が食べたくなる現象は、体が特定の栄養素を欲しているサインかもしれません。例えば「チョコレート」が食べたい時はマグネシウム不足、「揚げ物」が食べたい時はカリウム不足、「氷」をガリガリ食べたい時は鉄分不足の可能性があります。単なる食欲ではなく、体のSOSかもしれないと考えると、不足しているミネラルを補う食事選びができます。
52.焼き梅干しで痩せる

梅干しに含まれる「バニリン」という成分には、脂肪細胞を刺激して燃焼を促進する効果があると言われています。面白いことに、このバニリンは梅干しを「加熱」することで増える性質があります。レンジで温めたり、フライパンで焼いたりした「焼き梅干し」を1日2〜3個食べると、ダイエット効果がより期待できるという研究結果があります。ただ実際のところ塩分が多いため、一日1個以内が現実的でしょう。
53.生鰻の血には毒がある

ウナギやアナゴの新鮮な刺身をあまり見かけないのは、彼らの血液に「イクチオヘモトキシン」という毒素が含まれているからです。大量に摂取すると吐き気や呼吸困難を引き起こす危険があります。しかし、この毒は60度以上の加熱で完全に無毒化されます。だからこそ、ウナギは蒲焼きや白焼きといった「火を通す料理」が基本となっているのです。
54.きゅうりにも栄養ある

きゅうりはギネスブックに「Least calorific fruit(最も熱量の低い果実)」として登録されています。これがいつの間にか「世界一栄養がない野菜」という誤解に変わって広まってしまいました。実際にはカリウムやビタミンK、シトルリンなどが含まれており、むくみ解消や夏バテ防止に効果的な、夏にぴったりの立派な栄養野菜です。
55.海苔消化は日本人のみ

生の海苔(スサビノリなど)の細胞壁を分解できる腸内細菌を持っているのは、日本人など海苔を日常的に食べる習慣のある一部の民族だけだという研究論文が、2010年に科学誌『ネイチャー』で発表されました。長年の食習慣によって、海中のバクテリアから遺伝子を取り込んだ腸内細菌が定着したと考えられています。食文化が遺伝子レベルで影響を与えている好例です。
56.船旅救ったキャベツ

冷蔵庫のない大航海時代、船乗りたちを苦しめた最大の敵は、ビタミンC不足による「壊血病」でした。18世紀、キャプテン・クックなどの探検家は、日持ちのするキャベツの酢漬け「ザワークラウト」を船に積み込みました。キャベツに含まれる豊富なビタミンCのおかげで、壊血病による死者を劇的に減らすことができ、長い航海が可能になったと言われています。
57.アボカドは動物に毒

「森のバター」と呼ばれる栄養豊富なアボカドですが、人間以外の多くの動物にとっては命に関わる猛毒です。アボカドに含まれる「ペルシン」という成分が、犬、猫、ウサギ、鳥類などに中毒症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。人間だけがこの毒を分解できる特殊な耐性を持っています。ペットがいる家庭では、アボカドの取り扱いに十分注意が必要です。
58.生食は結石のリスク

ほうれん草には「シュウ酸」という成分が多く含まれており、これを生のまま大量に摂り続けると、体内でカルシウムと結合して結石(尿路結石など)の原因になることがあります。通常はお湯で茹でて水にさらす「あく抜き」の工程でシュウ酸を減らします。生で食べたい場合は、品種改良でシュウ酸を減らした「サラダほうれん草」を選ぶのが賢明です。
59.期限は短めの設定

食品メーカーが設定する賞味期限は、検査で「安全に美味しく食べられる」と確認された期間ギリギリではありません。通常、その期間に「0.8」程度の安全係数を掛け算して、少し短めに設定されています。つまり、賞味期限が切れた瞬間に腐るわけではなく、ある程度の猶予(バッファ)があるのです。もちろん、開封後は期限に関わらず早めに食べる必要があります。
調理科学と化学反応
60.黄色は発酵の証

大根は白いのに、たくあんが黄色いのはなぜでしょうか。本来の伝統的な製法では、大根を米ぬかに長期間漬け込むことで、大根の辛味成分が分解され、別の成分と結合して黄色い色素に変化するからです。これは着色料ではなく、発酵熟成がうまくいった証拠です。ただし、市販の安価な製品には、最初からクチナシ色素や食用色素で着色しているものも多くあります。
61.雨の日は味を変える

ラーメン職人の間では「天気によってスープの味を変える」というのは常識です。低気圧や湿度の高い雨の日は、匂いが拡散しにくく強く感じるため、スープの香りを抑えたり、客の出足を見て塩分濃度を調整したりします。また、麺に含まれるかん水は湿度に敏感で食感が変わりやすいため、茹で時間を微調整することもあります。職人の技が光るポイントです。
62.無洗米処理にタピオカ

ブームになったタピオカですが、実は「無洗米」作りにも活躍しています。無洗米の製法の一つ(NTWP方式)に、精白米に少量の水を加えて肌ヌカを柔らかくし、そこに熱したタピオカでんぷんを投入してヌカを吸着させて取り除く方法があります。タピオカの強い粘着力を利用したこの技術のおかげで、水を汚さずに美味しい無洗米が作られているのです。
63.層は27が黄金比

サクサクのクロワッサン。あの食感は生地とバターを何度も折り重ねることで生まれますが、一般的な作り方では「3つ折り」を「3回」繰り返すことが多く、計算すると3×3×3で「27層」になります(折り方によって数は変わります)。層が少なすぎるとパンっぽくなり、多すぎるとバターが溶け出してサクサク感が失われるため、この回数がベストバランスとされています。
64.ヨーグルトで肉柔化

安い鶏肉でも高級店のような柔らかい唐揚げにする裏技が「ヨーグルト」です。ヨーグルトに含まれる乳酸菌や酵素が肉の繊維をほぐし、保水性を高めてくれます。下味をつける際に大さじ1〜2杯のヨーグルトを混ぜて15分〜30分ほど漬け込むだけで、揚げた時にパサつかず、肉汁あふれるジューシーな仕上がりになります。ヨーグルトの味は残りません。
65.糖度高く菌が繁殖せず

コンビニパンの中で、あんパンだけ保存料が使われていないことがあります。これは、中身の「あんこ」の糖度が非常に高いためです。砂糖には食品の水分を抱え込む性質(浸透圧)があり、細菌が繁殖するために必要な「自由水」を奪ってしまいます。細菌が利用できる水がないため、保存料を使わなくても腐りにくいという、先人の知恵が詰まった保存食なのです。
66.加熱パイン効果なし

酢豚にパイナップルが入っているのは、酵素「ブロメライン」が肉を柔らかくする効果を期待してのことだと言われます。しかし、この酵素は60度以上で加熱されると失活(効果を失う)してしまいます。調理の最後にサッと炒め合わせたり、缶詰のパイン(加熱済み)を使ったりしている場合は、肉を柔らかくする効果はなく、単に味のアクセントとして入っているだけなのです。
67.味噌汁にヨーグルト

「味噌汁にヨーグルト?」と驚くかもしれませんが、実は理にかなった隠し味です。味噌もヨーグルトも同じ発酵食品なので相性は抜群。お椀一杯につきスプーン1杯程度のプレーンヨーグルトを加えると、乳製品のまろやかさと酸味が加わり、減塩味噌汁でも物足りなさを感じさせない深いコクが生まれます。沸騰させると分離するので、火を止めてから入れるのがコツです。
68.つなぎは麩で肉汁爆発

ハンバーグのつなぎにはパン粉が一般的ですが、これを砕いた「お麩」に変えると劇的にジューシーになります。パン粉よりも吸水力が高いお麩は、焼いている間に出てくる肉汁や脂をスポンジのようにがっちり吸収し、外に逃がしません。食べた瞬間に口の中でその肉汁が溢れ出します。カサ増しにもなり、冷めても固くなりにくいのでお弁当にも最適です。
69.水分抜き菌が住めない

生ハムは加熱処理をしていないのに、なぜ長期間保存できるのでしょうか。それは塩漬けにして脱水し、さらに長期間乾燥熟成させることで、肉の中の水分活性(微生物が利用できる水分)を極限まで下げているからです。細菌が生きていけない環境を作り出しているため、冷蔵庫のない時代から保存食として重宝されてきました。
70.薄皮は薬品で溶かす

ミカンの缶詰に入っている実は、薄皮まできれいにむかれています。あれは手作業ではなく、化学反応を利用しています。まず「塩酸(酸性)」の溶液に通して薄皮を溶かし、次に「水酸化ナトリウム(アルカリ性)」の溶液に通して中和・除去し、最後に水洗いします。食品衛生法で認められた安全な処理方法で、家庭では真似できない工業的な技術です。
71.酒造り中は納豆禁止

酒造りの職人「杜氏(とうじ)」たちは、酒造りの期間中、納豆を絶対に食べません。納豆菌は自然界最強クラスの繁殖力を持ち、熱にも乾燥にも強いため、もし衣服などに付着して酒蔵に入り込むと、酒造りに必要な「麹菌」や「酵母」を駆逐したり、お酒にヌメリや異臭をつけたりする恐れがあるからです。美味しいお酒は職人の忍耐の上に成り立っています。
72.一丁焼きが天然物

たい焼きには「天然」と「養殖」という呼び分けがあります。明治時代からある、重い鋳型のハサミで一匹ずつ焼く「一丁焼き」で作られたものが「天然」。一度に何匹も焼ける大きな鉄板で作られたものが「養殖」です。天然物は手間がかかりますが、火通りが良く、皮が薄くてパリッとした香ばしい仕上がりになるため、あえて天然物を探すファンも多くいます。
73.油は重量管理が正確

スーパーで売られている水や醤油は「ml(ミリリットル)」や「L(リットル)」表示ですが、食用油だけは「g(グラム)」や「kg」で表示されています。これは、油は温度による体積の変化(膨張・収縮)が水よりも大きいためです。体積で管理すると季節や気温によって量が変わってしまうため、温度変化の影響を受けない「重量」で取引・表示する決まりになっています。
味覚・風味・食感の秘密
74.魚の味は脂で決まる

人間の舌は、魚の味の違いを主に「脂の量」と「旨味成分(イノシン酸など)」で判断しています。そのため、脂が極端に少ない白身魚などは、目隠しをして鼻をつまんで食べると、プロでも魚種の区別がつかないことがあるそうです。逆に言えば、脂の乗り具合こそが魚の個性を決定づける重要な要素であり、旬の魚が美味しい理由もそこにあります。
75.種よりワタが辛い

唐辛子を調理する際、「種を取れば辛くない」と言われますが、正確には種そのものには辛味成分カプサイシンはほとんど含まれていません。最も辛いのは、種がくっついている白い綿状の部分「胎座(たいざ)」です。ここがカプサイシンの生産工場です。種が辛いと感じるのは、胎座の辛味成分が表面に付着しているためです。辛さを抜くなら、種だけでなく白いワタを徹底的に取る必要があります。
76.溶けるほど高品質

「すぐ溶けるソフトクリームは安物」と思っていませんか?実は逆です。美味しいソフトクリームほど、口溶けを良くするために空気の含有量(オーバーラン)を最適に調整し、乳脂肪分を高く設定しているため、融点が低く溶けやすい傾向にあります。逆に、植物性油脂や安定剤を多く使ったものは形が崩れにくいですが、口溶けの良さは劣ります。溶ける速さは品質の証でもあるのです。
77.違いは筋肉のタイプ

マグロは赤身、タイは白身。この色の違いは、筋肉中に含まれる色素タンパク質「ミオグロビン」の量の違いです。マグロのような回遊魚は、寝ている間も泳ぎ続ける「持久力」が必要なため、酸素を蓄える赤いミオグロビンを大量に持っています(赤筋)。一方、タイやヒラメは獲物を捕る時だけ瞬発的に動くため、赤い筋肉が少なくて済む(白筋)のです。
78.ホコリでなく産毛

急須で入れたお茶の表面に、ホコリのような白い粉が浮いていることがあります。これは汚れではなく「毛茸(もうじ)」と呼ばれる、お茶の新芽の裏に生えている産毛です。成長した硬い葉にはなく、柔らかい若芽にしかないので、これがたくさん浮いているお茶は、若くて良質な茶葉を使っている証拠です。捨てずに安心して味わってください。
79.うま味は世界共通

甘味、酸味、塩味、苦味。これら4つの基本味に続く5番目の味として発見されたのが「うま味(Umami)」です。1908年に日本の池田菊苗博士が昆布から発見しました。長らく欧米では「味ではなく風味や感覚だ」と懐疑的でしたが、舌にうま味を感じる受容体が見つかったことで正式に認められました。今や「Umami」は世界中のシェフが注目するキーワードです。
80.合わせ出汁で7倍美味

和食の出汁(だし)が美味しいのは「合わせ技」を使っているからです。昆布に含まれるグルタミン酸(アミノ酸系)と、カツオ節に含まれるイノシン酸(核酸系)。この2種類を組み合わせると、単独で味わうよりも旨味を7〜8倍も強く感じる「相乗効果」が起きます。トマト(グルタミン酸)と肉(イノシン酸)を煮込む料理なども、この化学反応を本能的に利用したものです。
81.釣りたてより熟成

「釣りたて新鮮!」は魚の褒め言葉ですが、マグロなどの大型魚に関しては当てはまりません。釣り上げた直後の筋肉はエネルギー源(ATP)が残っており、旨味成分(イノシン酸)がまだ生成されていないため、味気なく食感も固いだけです。数日から1週間ほど低温で寝かせる「熟成」を経ることで、ATPが分解されて旨味が爆発的に増え、ねっとりとした美味しい刺身になります。
82.脳が脂を欲している

人がラーメンや焼肉などの脂っこいものを「美味しい」と感じるのは、生存本能によるものです。進化の過程で、カロリーが高い脂質は生きていくために最も重要なエネルギー源でした。そのため、脳は脂を摂取すると快楽物質(ドーパミンやβエンドルフィン)を放出し、「もっと食べろ」と指令を出します。ダイエット中に脂が恋しくなるのは、脳が生存のために欲しているからです。
83.鉄分が生臭さの原因

「肉には赤、魚には白」という定説には化学的な根拠があります。赤ワインに豊富に含まれる鉄分や亜硫酸塩が、魚介類の脂質と反応すると、生臭さの元となる物質を一瞬で発生させてしまうのです。特に鉄分の多いフルボディの赤ワインは魚の生臭さを強調してしまいます。魚に合わせるなら鉄分の少ない白ワインや、軽めの赤ワインが選ばれるのはこのためです。
84.強く擦ると辛くなる

大根おろしの辛味成分(アリルイソチオシアネート)は、大根の細胞が壊れて酵素が反応することで初めて生まれます。そのため、おろし金に直角に当てて力任せにガリガリすりおろすと、細胞が多く壊れて辛くなります。逆に、円を描くように優しくすりおろすと、辛味が抑えられてまろやかになります。「大根おろしは怒ってすれ」という昔の言葉は、辛くするための正攻法なのです。
85.熱いと甘味感じにくい

アイスコーヒーにはガムシロップ、ホットには砂糖(グラニュー糖など)が添えられます。これは溶けやすさだけでなく、甘味の感じ方の違いによるものです。ガムシロップの主成分である果糖は、低温だと甘く感じますが、高温になると甘味を感じにくくなる性質があります。熱いコーヒーに入れても甘さがぼやけてしまうため、熱でも甘さが変わらない砂糖が選ばれているのです。
86.縦長の気泡が良品

食パンの断面にある無数の気泡を「目(クラム)」と呼びます。パン職人や通は、この「目」を見て美味しさを判断します。目が縦に長く伸びていて、薄い膜で細かく均一に入っているものは、発酵と焼き上げが上手くいった証拠で、口溶けが良く美味しいパンです。逆に目が丸く詰まっていたり、大きさがバラバラだったりするものは、食感が悪い可能性があります。
世界の食文化・食習慣
87.関東正方形、関西長方形

玉子焼き器には正方形と長方形があります。一般的に、関東では砂糖を多く入れた甘い厚焼き玉子が好まれるため「正方形(東型)」、関西では出汁をたっぷり入れた柔らかい出汁巻き玉子を巻きやすくするため「長方形(西型)」が使われます。玉子焼き器の形にも、地域ごとの味の好みが現れているのです。
88.うどん汁は蕎麦に負ける

お蕎麦屋さんのメニューには「うどん」があることが多いですが、うどん専門店に「そば」があることは稀です。これは「つゆ」の違いにあります。蕎麦屋の濃い目の出汁は醤油が効いており、うどんに入れても美味しく食べられます。しかし、うどん屋の繊細で淡い色の出汁は、風味が強い蕎麦に合わせると負けてしまい、蕎麦の味しかしなくなってしまうため、共存が難しいのです。
89.敷葉は抗菌と彩り

高級な和食店で焼き魚の下に敷かれている緑の葉(笹の葉やハランなど)。これは「あしらい(掻敷・かいしき)」と呼ばれ、単なる飾りではありません。葉の抗菌作用による食中毒防止、魚の脂や匂いが器に移るのを防ぐ役割、そして緑色を添えることで魚の赤や白を引き立てる視覚効果など、機能性と美しさを兼ね備えた日本料理の知恵なのです。
90.最高具材はキュウリ

かつて19世紀のイギリス貴族の間で、サンドイッチの具として最もステータスが高かったのは、肉やチーズではなく「ただのキュウリ」でした。寒冷なイギリスで新鮮なキュウリを手に入れるには、高価な温室を維持できる財力が必要だったからです。薄く切ったキュウリだけのサンドイッチは、贅沢の象徴であり、最高のおもてなしメニューでした。
91.昔は皿で飲んでいた

紅茶のカップに必ずついているソーサー(受け皿)。現在はスプーンを置く場所ですが、18世紀頃のヨーロッパでは、熱い紅茶をソーサーに移し替え、ズルズルと音を立てて冷ましながら飲むのが正式なマナーでした。猫舌の人が多かったとも言われます。現在ではマナー違反とされる行為ですが、その名残で今もカップとソーサーはセットになっているのです。
92.回転卓は日本発祥

中華料理店でおなじみの回転テーブル。中国の伝統かと思いきや、実は日本発祥です。昭和初期(1932年)、東京の目黒雅叙園の創業者が「客が席を立たずに料理を取り分けられるように」と考案しました。大皿料理をシェアする中華のスタイルと見事にマッチし、その後中国本土や世界中の中華料理店へと逆輸入されて広まったのです。
93.ワサビは冷、七味は温

お蕎麦屋さんでは、冷たい「もりそば」にはワサビ、温かい「かけそば」には七味唐辛子が添えられるのが一般的です。これは、ワサビの命である辛味と香りの成分が揮発性で、熱い汁に入れると一瞬で飛んでしまうからです。逆に七味唐辛子は、熱い汁に溶け出すことで唐辛子や山椒の香りが引き立ち、体を温める効果もあるため、温かいそばに最適なのです。
94.巨大ナンは日本独自

日本のインドカレー店で出てくる巨大なナン。あれを見てインド人は驚きます。本場インドの家庭で日常的に食べられているのは、全粒粉を使った薄いクレープ状の「チャパティ」や「ロティ」です。ナンはタンドールという大きな窯が必要な高級品で、しかもあんなに巨大ではありません。日本のナンは「ご馳走感」や「お得感」を出すために独自に進化したスタイルなのです。
95.千切りは銀座生まれ

とんかつに山盛りの千切りキャベツ。この黄金コンビは明治時代の銀座の洋食店「煉瓦亭」で生まれました。当時は温野菜を添えていましたが、日露戦争で若手料理人が出征して人手不足になり、手間のかかる温野菜の代わりに、生のキャベツを刻んで出したのが始まりです。これが「油っこいカツで胃もたれするのをキャベツが防ぐ(キャベジン効果)」と理にかない、定着しました。
96.中国は水餃子が主流

日本人は「餃子=焼き餃子」でおかずとして食べますが、中国(特に華北)では「餃子=水餃子」で、それだけで食事を済ませる主食です。皮も厚くモチモチしています。焼き餃子(鍋貼)は、前の日に余った水餃子を翌日温め直して食べる時の調理法、あるいはスナック感覚の屋台料理という位置付けが強く、レストランのメイン料理として扱われることは少ないのです。
97.関東背開き関西腹開き

うなぎの蒲焼きは、関東では「背開き」、関西では「腹開き」が主流です。関東は武士の文化が強く、「腹を切る(切腹)」ことを嫌ったため背開きになったと言われます。一方、関西は商人の町であり、「腹を割って話す」ことが良しとされたため腹開きになったという説があります。また、蒸してから焼く関東風には、背開きの方が身が崩れにくいという技術的な理由もあります。
98.Xマスチキンは日本流

「クリスマスにはケンタッキー」というのは、日本独自の文化です。欧米では七面鳥やローストビーフを食べるのが一般的で、フライドチキンを食べる習慣はまずありません。1970年代、日本に住む外国人が七面鳥の代わりにチキンを買ったことにヒントを得て、KFCが「クリスマスにはケンタッキー」というキャンペーンを大々的に展開し、それが定着したなのです。
99.干物は叩いて食べる

アイスランドには「ハルズフィスクル」というタラの干物がありますが、保存性を高めるためにカチカチに乾燥されており、そのままでは歯が立ちません。そこで、食べる前に金槌や専用のローラーで叩いて繊維をほぐし、ふわふわの状態にしてからバターをたっぷり塗って食べるのが一般的です。おやつやお酒のつまみとして国民に愛されているソウルフードです。
100.地熱で蒸す豪快料理

ニュージーランドの先住民マオリ族の伝統料理「ハンギ」。これは地面に穴を掘り、焼けた石を底に敷き詰め、その上に肉や野菜を入れたカゴを置いて土を被せ、数時間かけて蒸し焼きにする豪快な料理です。地熱と蒸気でじっくり加熱された食材は、スモーキーな香りと素材本来の旨味が凝縮されています。冠婚葬祭や特別な集まりで振る舞われるお祝いの味です。
101.食習慣が世界遺産

2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、これは寿司や天ぷらといった特定のメニューが登録されたわけではありません。「自然の尊重」という日本人の精神に基づいた「食に関する社会的慣習」全体が評価されたのです。正月のおせち料理のように、自然の恵みに感謝し、家族や地域の絆を深めるという食文化そのものが遺産として認められました。
102.饅頭は湯あたり防止

温泉旅館のテーブルに置かれているお茶菓子。あれは単なるウェルカムサービスではなく、湯あたり防止のための重要なアイテムです。空腹状態で熱いお風呂に入ると、血糖値が下がって貧血を起こすリスクがあります。入浴前に甘い饅頭を食べて糖分を補給し、お茶を飲んで水分を摂ることで、安全に温泉を楽しむ準備ができるように考えられているのです。
103.パスタは油吸い役

ハンバーグや唐揚げの下に敷いてある少量のスパゲッティ。「味がない」「パサパサする」と言われがちですが、重要な役割があります。一つは揚げ物の余分な油を吸い取ってベタつきを防ぐこと。もう一つは、おかずが配送中に動かないようにするクッション材の役割です。さらに、容器の熱変形を防ぐ断熱材の役目も果たしています。残さず食べてあげてください。
104.機長と副は別食事

飛行機の操縦席に座る機長と副操縦士は、機内食を食べる際、必ず「異なるメニュー」を選ばなければならないというルールがあります(多くの航空会社で採用)。これは、万が一食中毒が起きた際、二人同時に体調を崩して操縦不能になるリスクを避けるためです。空の安全は、食事のメニュー選びから徹底して管理されているのです。
流通・販売の裏事情
105.ひよ子は福岡発祥
銘菓「ひよ子」は、東京土産として有名ですが、発祥は福岡県飯塚市です(1912年誕生)。東京オリンピックを機に東京へ進出したところ、「可愛くて美味しい」と爆発的にヒットし、東京駅や空港で大量に販売されたため、「東京銘菓」というイメージが定着しました。現在は福岡と東京でそれぞれ販売会社が異なり、限定味などで個性を競っています。
106.沖縄牛乳は米国基準

日本の牛乳パックは1000ml(1L)が標準ですが、沖縄県だけは「946ml」という中途半端なサイズで売られています。これは戦後のアメリカ統治時代の名残です。アメリカの液量単位である「1クォート(約946ml)」に合わせて製造ラインが作られたため、日本復帰後もその設備や容器サイズがそのまま使われ続けているのです。
107.包むならホイル推奨

おにぎりを包む時、ラップを使う人が多いですが、美味しさを保つなら「アルミホイル」がおすすめです。ラップは密閉性が高すぎて水分がこもり、ご飯がベチャッとしがちですが、アルミホイルはくしゃくしゃにした隙間から適度に湿気が逃げるため、ご飯の粒立ちが保たれます。また、遮光性があるため、日光による傷みも防いでくれます。
108.持ち帰り防止で開栓

居酒屋で瓶ビールを注文すると、店員さんが栓を抜いてから持ってきてくれます。これはサービスの一環でもありますが、「未開封の瓶を持ち帰らせないため」という防犯上の理由があります。酒類販売の免許がない飲食店は、お酒を「開栓して提供」しなければならず、未開封のまま売ると酒屋(小売業)の扱いになって法律違反になる可能性があるのです。
109.ツナ缶の中身は鰹も

「ツナ缶」と言えばマグロだと思っていませんか?実は、商品名に「ツナ」とあっても、原材料が「カツオ」であることは珍しくありません。日本では、ビンナガマグロやキハダマグロを使ったものを「マグロ油漬」、カツオを使ったものを「カツオ油漬」と表記しますが、広義の「ツナ(Tuna)」にはカツオも含まれるため、海外では区別されないことも多いのです。
110.王冠ギザギザ21個

ビール瓶のフタ(王冠)のギザギザの数は、世界中のどのメーカーも共通して「21個」です。これは力学的に最も安定する数字だからです。3点で支えるのが安定の基本ですが、その倍数の21点は、ガス圧を均等に分散させて密閉しやすく、かつ栓抜きで開けやすい絶妙なバランスなのです。これより多くても少なくても、締め付けが甘かったり開けにくかったりします。
111.生ダコは傷みやすい

鮮魚コーナーで、他の魚は生なのに、タコだけは茹でて赤くなった状態で売られているのが一般的です。これは、タコが生のままだと急速に鮮度が落ち、表面のぬめりから雑菌が繁殖しやすいためです。また、生のタコは皮がデロデロしていて扱いが難しく、茹でることで身が締まり、独特の食感と保存性が生まれるため、流通の段階でボイルされるのです。
112.白い口は耐熱仕様

ペットボトルの飲み口を見ると、透明なものと白いものがあります。白い飲み口は「耐熱性」があるタイプです。熱いお茶を充填したり、殺菌のために高温で処理したりする場合、熱で変形しないように飲み口部分を結晶化させて白くしています。逆に、透明な飲み口は炭酸飲料や水など、常温や低温で充填される飲み物に使われています。
113.生食用は断食洗浄済

「生食用」の牡蠣は、加熱用よりも鮮度が良いと思われがちですが、実は鮮度の違いではありません。「指定された綺麗な海域で獲れた」か、あるいは「紫外線殺菌した海水で数日間断食させて菌を吐き出させた」ものが生食用になります。この洗浄プロセスで身が少し痩せて水っぽくなることもあるため、フライや鍋にするなら、栄養たっぷりの「加熱用」の方が濃厚で美味しい場合が多いのです。
114.上級は具が多い

カップラーメンのパッケージにJASマーク(日本農林規格)が付いている場合、よく見ると「標準」や「上級」と書かれています。この違いは「かやく(具材)」の量です。麺の重さに対してかやくが15%以上(カップ焼きそば等は色々な規定あり)入っていると「上級」と表示できます。具だくさんのリッチなカップ麺を探す時の目安になります。
115.凸凹は粘り出すため

納豆の四角いパックの底を見ると、細かい凸凹があります。これは、納豆が容器にべったり張り付くのを防ぐためです。製造ラインで納豆を充填する際、凸凹があることで空気が抜けやすく、高速できれいに詰めることができます。また、食べる時に箸で混ぜると、この凸凹が抵抗になって空気を効率よく巻き込み、粘りを出しやすくする効果もあります。
116.ギザギザで光乱反射
伊藤園の「お~いお茶」のペットボトルは、上部にギザギザのカットが入っています。これはデザインではなく、お茶を劣化させる「光」を乱反射させて中身を守るための工夫です。緑茶は光に弱く、すぐに変色したり味が落ちたりします。中身を美味しく見せつつ、品質を守るために、容器の形状まで計算し尽くされているのです。
117.黒色はカラメル色素

ウスターソースや中濃ソースのあの黒っぽい色は、野菜や果物の色だと思われがちですが、実は「カラメル色素」で着色されていることが多いです。製造直後のソースはもっと薄い色や不均一な色をしていることがあり、商品として安定感のある「美味しそうな濃い色」にするために着色しています。色が濃い=味が濃厚、という消費者のイメージに合わせているのです。
118.缶詰は熟成で旨くなる

缶詰は「保存食」ですが、実は「熟成食品」でもあります。製造直後は、調味液と具材の味が馴染んでいません。特に魚の油漬けや煮付けの缶詰は、半年から1年ほど常温で寝かせることで、魚の油と調味液が混ざり合い、身の中まで味が染み込んでまろやかになります。賞味期限内であれば、買ってすぐ食べるより、しばらく置いてから食べた方が美味しいのです。
119.サイズは四合瓶由来

海外のワインボトルは750mlが標準ですが、日本では720mlのボトルが多く使われてきました。これは、日本酒の「四合瓶(720ml)」の影響です。日本のガラス工場には四合瓶を作る金型やラインがあったため、ワインもそれに合わせて720mlで作るのが効率的でした。また、配送用の箱なども四合瓶サイズが標準だったため、流通の都合でもこのサイズが定着したのです。
商品ブランドの秘話
120.昔はドライアイス入

昭和20年代、東京の下町で「焼酎ハイボール(チューハイ)」が生まれた頃の逸話です。当時、炭酸水は高価で入手しにくかったため、一部の店では焼酎の水割りに「ドライアイス」のかけらを入れて炭酸ガスを発生させ、シュワシュワ感を出していたと言われています。現在では食品衛生、安全面の観点から行われませんが、安く酔うための庶民の知恵でした。※危険なので絶対に真似をしないでください。
121.きのこの山が先輩
明治の人気お菓子論争。「きのこの山」は1975年発売、「たけのこの里」は1979年発売で、きのこの山の方が4年先輩です。開発当時、チョコスナックといえば板チョコか麦チョコくらいしかなく、クラッカーにチョコをつけたきのこの山は画期的でした。その成功を受けて、クッキー生地を使ったたけのこの里が開発されたのです。
122.三元豚は3種交配

レストランやスーパーで高級そうに書かれている「三元豚(さんげんとん)」。これは特定の銘柄や地名ではなく、「3つの品種を掛け合わせた豚」という養豚用語です。一般的に、繁殖に優れた豚、肉質が良い豚、病気に強い豚など、それぞれの長所を持つ3種を掛け合わせて美味しい豚肉を作ります。日本で流通している豚肉のほとんどは、実はこの三元豚なのです。
123.ヒントはコロッケ

「カントリーマアム」や「雪見だいふく」のような、外側と内側で食感が異なる人気商品。これらは、食品メーカーの開発者が「冷めても美味しいコロッケ」の構造(外はサクサク、中はしっとり)からヒントを得て開発されたという逸話があります。「食感のコントラスト」が美味しさを生むという法則は、惣菜もお菓子も共通しているのです。
124.あられは元乾燥剤

永谷園の「お茶づけ海苔」に入っている細長い「あられ」。香ばしくて美味しいですが、発売当初(1952年)は「乾燥剤」としての役割がメインでした。当時の包装技術では湿気を完全に防ぐことが難しく、海苔よりも先に湿気を吸ってくれるあられを入れることで、海苔のパリパリ感を保とうとしたのです。現在では技術が向上しましたが、味の重要パーツとして残っています。
125.みりんは飲むお酒

現在は調味料として使われる「本みりん」ですが、江戸時代には甘口の高級酒として飲まれていました。特に、お酒に弱い女性や下戸の人たちが、焼酎にみりんを混ぜて「直し(柳陰)」として楽しんだり、寝酒として飲んだりしていました。正月に飲む「お屠蘇(とそ)」にみりんが使われるのは、みりんがあくまで「お酒」であることの名残です。
126.臭わない納豆開発

金沢の納豆「そらなっとう」は、JALの機内食に納豆を採用したいという思いから開発されました。狭い機内では納豆独特のにおいが充満してしまい、周囲の乗客から「くさい」という苦情が出る懸念がありました。そこで、におい成分を発生させない納豆菌を研究・開発し、におい控えめで美味しい納豆が完成。見事、機内食として空を飛ぶことができたのです。
127.金型踏んで誕生
亀田製菓の「柿の種」。もともとは小判型のあられを作っていましたが、ある日、創業者の奥さんが金型を踏みつけて歪ませてしまいました。修理する時間がなく、そのまま歪んだ型であられを作ったところ、細長い形になって焼き上がりました。これを見た客が「柿の種に似ている」と言ったことから商品名となり、大ヒット商品になったという偶然の産物です。
128.中国土産のアレンジ
永谷園のロングセラー「麻婆春雨」。これは1970年代、当時の社長が社員に「2年間、世界中を食べ歩いてこい」という夢のような命令を出したことから生まれました。その社員が中国で食べた「春雨と挽肉の煮込み料理」に感動し、日本人の口に合うようにご飯に合うおかずとしてアレンジして発売。インスタント惣菜の先駆けとなりました。
129.ゴマ色で中身判別

パン屋さんのあんパンには、真ん中にゴマが乗っていることが多いですが、これには意味があります。一般的に、黒ゴマ(または黒ケシ)が乗っているのは「粒あん」、白ゴマ(または白ケシ、塩漬け桜)が乗っているのは「こしあん」という暗黙のルールがあります。外見が同じあんパンを区別するために明治時代に考案された、職人と客をつなぐサインです。
130.Aは歩留まり評価

高級牛肉の代名詞「A5ランク」。実はアルファベットの「A, B, C」は、肉の味ではなく「一頭の牛からどれだけ商品になる肉が取れるか(歩留まり)」という生産者向けの評価基準です。Aが最も効率よく肉が取れる牛という意味です。味や霜降りの良さを表すのは数字の「1〜5」の方です。つまり「A5」と「B5」の味は、理論上は同じ最高級レベルということになります。
131.昔ケチャップは薬

1830年代のアメリカでは、トマトケチャップは調味料ではなく「薬」として特許が取得され、薬局で販売されていました。トマトのリコピンなどが消化不良、下痢、リウマチなどに効くと考えられ、「トマト・ピル(錠剤)」まで売られていたそうです。その後、ハインツ社などが品質の良い調味料として普及させ、食卓の定番へと変わっていきました。
132.コーラは元頭痛薬

コカ・コーラの発明者ジョン・ペンバートンは薬剤師でした。彼は当初、ワインにコカの葉などを混ぜた薬用酒を販売していましたが、禁酒運動の影響でアルコールを使えなくなり、代わりに砂糖と炭酸水を使ったシロップを開発しました。これが「スカッとして頭痛や神経疲労に効く」と評判になり、清涼飲料水として世界中に広まったのです。
133.チーズ担保に融資

イタリアには、巨大なチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」を担保にお金を貸してくれる銀行があります。チーズは完成までに2年ほどの熟成期間が必要で、その間生産者は収入がありません。そこで銀行は、熟成中のチーズを倉庫で預かり、その価値に見合った融資を行います。もし返済できなければ、銀行がチーズを売って回収する、という合理的で美味しいシステムです。
134.バニラは銀より高い

アイスやプリンに欠かせないバニラ。その香料の原料となるバニラビーンズは、近年価格が高騰し、一時「銀の重量単価」を上回るほどの高級品になりました。主産地マダガスカルを襲ったサイクロン被害や、栽培の手間(受粉が手作業)、さらに投機マネーの流入が原因です。天然バニラを使っているスイーツは、実は宝石のように貴重な存在なのです。
135.完熟は尻が黄色い

スーパーでリンゴを選ぶ時、全体が赤いものを選びがちですが、本当に甘いリンゴを見分けるポイントは「お尻(底)」です。お尻の部分が緑色だとまだ若く酸味が強いですが、ここが「黄色」や「あめ色」になっているものは完熟しており、蜜が入っている可能性も高くなります。赤さよりも、お尻の黄色さが美味しさのサインです。
136.泣かない玉ねぎ
玉ねぎを切ると涙が出るのは、硫化アリルというガスが発生するからです。しかし、ハウス食品が開発した「スマイルボール」という品種は、この成分をほとんど生成しないため、切っても全く涙が出ません。さらに生で食べても辛味がなく、フルーツのように甘いため、水にさらす必要もありません。料理の常識を覆す、夢のような玉ねぎです。
まとめ
私たちが何気なく食べている料理も、もとは誰かの発想や偶然から生まれたもの。
その一皿一皿に、時代や文化、人の物語が詰まっています。
次に食卓を囲むとき、そんな背景を少し思い出してみると、いつもの料理がもっと面白く感じられるかもしれませんね。
食の歴史を知ることは、“味わう”楽しみをもう一段深くしてくれる小さなスパイスです。