学校の体育で誰もが経験したことのある「陸上競技」。走る、跳ぶ、投げるといったシンプルな運動ですが、実は知れば知るほど奥が深いスポーツなんです。なぜトラックは左回りなのか? マラソンの距離が中途半端な理由は?
今回は、明日誰かに話したくなるような陸上の意外な雑学を30個集めてみました。これを読めば、テレビでの陸上観戦が今よりもっと楽しくなること間違いなしですよ!
1.昔のスタートは穴掘り
現在の短距離走ではスターティングブロックという器具を使いますが、これが普及したのは1930年代以降のこと。それ以前の選手は、なんと地面にスコップで穴を掘り、そこにかかとを固定してスタートしていました。「自分の足に合う穴を掘る」というのも、かつては重要な技術の一つだったんですね。
2.トラックが左回りの理由
陸上のトラックは世界共通で「反時計回り(左回り)」です。これには諸説ありますが、有力なのは「心臓を守るため」という説。心臓は左側にあるため、遠心力が右側にかかる左回りのほうが心臓への負担が少なく走りやすいと言われています。人間が本能的に左回りを好むという実験結果もあるそうですよ。
3.フライングの定義
スタートのピストルが鳴る前に動くのがフライングですが、実は「鳴ってから0.1秒未満」に動いた場合もフライングになります。医学的に人間が音を聞いて反応するまで0.1秒以上かかるとされているため、それより速く反応した場合は「予測して動いた」とみなされ、失格になってしまうのです。
4.マラソンの距離の謎
マラソンの42.195kmという距離、とても中途半端ですよね。第4回ロンドン五輪の際、当初は40kmの予定でしたが、イギリス王妃が「城の窓からスタートを見たい」と言い、ゴールも競技場のボックス席前に設定されました。その修正の結果、偶然この距離になったのが今も定着しています。
5.古代の走幅跳の重り
古代オリンピックで行われていた走幅跳は、現在とはスタイルが全く異なっていました。選手は「ハルテーレス」と呼ばれる石や鉄でできた重りを両手に持って跳んでいたのです。空中でその重りを後ろに勢いよく振ることで、その反動を利用して飛距離を伸ばしていたと考えられています。
6.背面跳びの革命
走高跳で現在主流の「背面跳び」は、1968年のメキシコ五輪でディック・フォスベリー選手が初めて世界に披露しました。それまではお腹を下にする「ベリーロール」が常識だったので、観客は仰天。当初は「ふざけている」と笑われましたが、彼が金メダルを獲ったことで最も効率的な跳び方として定着しました。
7.ハンマー投の起源
ハンマー投は、その名の通り工具のハンマーが起源です。アイルランドの鍛冶屋さんが、仕事の休憩中に柄のついた金槌を投げて距離を競ったのが始まりと言われています。現在の競技用ハンマーは丸い鉄球ですが、英語で「Hammer Throw」と呼ばれるのは、この鍛冶屋さんの名残なんですね。
8.風速2.0mの運命
短距離や跳躍種目では「追い風2.0m/s」を超えると、好記録が出ても「追い風参考記録」として公認されません。たった0.1mの違いで、世界新記録が幻になることもあります。逆に「向かい風」の場合はどんなに強くても記録は公認されるため、選手にとって風は最大の運の要素とも言えます。
9.三段跳の名称
三段跳は、リズミカルに3回跳んでその距離を競う種目ですが、それぞれのジャンプに名前がついているのをご存知ですか? 1歩目が「ホップ」、2歩目が「ステップ」、そして最後が「ジャンプ」です。実はこれ、同じ足、同じ足、反対の足という順序で着地しなければならない厳しいルールがあります。
10.砲丸投の角度
物理学的には物を一番遠くに飛ばす角度は「45度」と習いますよね。しかし、砲丸投においては約41~42度が理想とされています。これは、投げる位置(肩の高さ)が着地地点(地面)より高いため、45度で投げると少し高く上がりすぎて距離が伸びないからなんです。
11.ハードルの倒し方
ハードル走では、ハードルを倒しても失格にはなりません。わざと手で倒すのは反則ですが、足が当たって倒れる分にはOKなのです。とはいえ、ハードルを倒すと走るリズムが崩れ、減速に繋がります。トップ選手たちはギリギリを攻めつつ、いかに触れずに越えるかを競っています。
12.リレーのバトンパス
4×100mリレー(4継)と4×400mリレー(マイルリレー)では、バトンの渡し方が違います。4継はスピードを殺さないよう、前の走者を見ずに受け取る「アンダーハンドパス」などが主流ですが、マイルリレーは疲労困憊で渡すため、確実に顔を見て手渡すのが一般的です。
13.3000m障害の水
3000m障害には、大きなハードルの他に「水濠(すいごう)」と呼ばれる水たまりがあります。この深さは一定ではなく、障害に近いほど深く、遠くなるほど浅い構造になっています。つまり、ハードルを越えて遠くにジャンプできれば、水に濡れず浅い部分に着地できる仕組みなんです。
14.競歩の厳しさ
「早歩き」に見える競歩ですが、実は陸上で最も判定が厳しい種目の一つです。「両足が同時に地面から離れてはいけない(ロス・オブ・コンタクト)」と「着地した足は垂直になるまで曲げてはいけない(ベント・ニー)」というルールがあり、審判員の目視で違反が重なると失格になります。
15.棒高跳の棒の素材
棒高跳のポール(棒)は、材質や長さに制限がありません。昔は竹や金属が使われていましたが、現在は軽くてしなるグラスファイバーやカーボン製が主流です。選手は自分の体重や筋力、当日のコンディションに合わせて、硬さや長さの違うポールを何本も持ち込んで使い分けています。
16.十種競技の王者
2日間で10種類の競技を行う十種競技(デカスロン)。走・跳・投のすべてにおいて高い能力が求められるため、この勝者は「キング・オブ・アスリート」と称えられます。ちなみに女子は七種競技(ヘプタスロン)が行われ、勝者は「クイーン・オブ・アスリート」と呼ばれます。
17.やり投の重心変更
1984年以前、男子やり投の世界記録は100mを超えてしまい、競技場の反対側まで届く危険性が出てきました。そこで1986年にルール改正が行われ、やりの重心を少し前に移動させました。これにより空気抵抗を受けて先端が早く落ちるようになり、飛距離が意図的に抑えられるようになったのです。
18.一番外側の不利
200mや400m走などのセパレートコースでは、外側のレーンほどスタート位置が前に設定されています。一見有利に見えますが、外側は自分より後ろにいる選手が見えないため、レース展開が把握しづらいという心理的な不利があります。逆に内側の選手は目標にしやすく、有利と言われています。
19.ゴールの判定基準
陸上競技のゴール判定は、頭でも手でも足でもなく、「トルソー(胴体)」がフィニッシュラインに到達した瞬間で決まります。たとえ頭や手が先にラインを超えていても、胸部が届いていなければゴールとは認められません。接戦で選手たちが胸を突き出すようにゴールするのはこのためです。
20.円盤投の風利用
円盤投は、向かい風の方が記録が伸びる珍しい種目です。円盤の形状が飛行機の翼のような役割を果たし、適度な向かい風を受けることで揚力が発生して滞空時間が長くなるからです。逆に追い風だと、風に押されて地面に叩きつけられてしまい、飛距離が落ちることがあります。
21.スターターの服
スターター(号砲を撃つ人)は、目立つ色の服や袖を着ていることが多いです。特に赤やオレンジの袖カバーをしていることがありますが、これは遠くにいる計時担当者や選手に「腕を上げた」という動作を視認しやすくするため。音だけでなく、視覚情報も正確な運営には欠かせないのです。
22.ボルトのナゲット
人類史上最速の男、ウサイン・ボルト選手。彼が2008年の北京五輪で世界記録を連発した際、現地で彼が食べていたのはなんとチキンナゲット1000個だったという逸話があります。現地の食事が合わず、安全パイとして選んだそうですが、それでも勝ってしまうのが天才の証ですね。
23.青いトラックの効果
最近の競技場では、従来の赤茶色(アンツーカー色)ではなく「青色」のトラックが増えています。青色には心理的な鎮静効果があり、選手が冷静に集中力を高められると言われています。実際、青いトラックが導入されてから好記録が増えたというデータもあるそうです。
24.ペースメーカー
マラソンや長距離トラック種目では、途中まで先頭を走り、記録をアシストする「ペースメーカー」が存在します。彼らは優勝を争うのではなく、設定されたタイムで正確に引っ張るのが仕事。良い記録が出るかどうかの鍵を握る、縁の下の力持ち的なプロフェッショナルです。
25.靴の技術革新
近年、長距離界を席巻しているのが「厚底シューズ」。カーボンプレートを内蔵し、着地時のエネルギーを推進力に変える技術が進化しました。これにより世界記録が次々と更新され、一時期は「技術ドーピング」ではないかと議論になるほど、道具の進化が競技そのものを変えています。
26.マラソンの給水
マラソン中継で見かける給水所。トップ選手には自分専用の「スペシャルドリンク」を置くことが認められています。中身はスポーツドリンクだけでなく、蜂蜜入りや炭酸抜きコーラなど様々。ボトルに長い棒や目立つ装飾をつけて、走りながらでも一瞬で見つけやすくする工夫もされています。
27.号砲の音の公平性
スタートのピストル音は、光の速さより遅いため、外側のレーンの選手ほど聞こえるのが遅れてしまいます。これを防ぐため、現在では各スターティングブロックの後ろにスピーカーが設置されており、どのレーンでも全く同時に音が聞こえるシステムが採用されています。
28.走高跳の計測ミス
走高跳や棒高跳で、バーに触れても落ちなければ成功ですが、かつては審判が旗を上げた後にバーが風で落ちてしまい、揉めるケースがありました。現在は、審判が白旗を上げれば、その直後にバーが落下しても記録は有効とルールが明確化されています。
29.100mの歩数
男子100mのトップ選手は、ゴールまで何歩で走ると思いますか? 実は多くの選手が43歩から45歩程度で走り抜けます。ウサイン・ボルト選手は身長が高くストライドが大きかったため、わずか41歩でゴールしました。1歩あたり平均2.4メートル以上進んでいる計算になります。
30.世界記録の賞金
世界陸上などの大きな大会で世界新記録を出すと、名誉だけでなく特別ボーナスがもらえます。大会によって異なりますが、例えば世界陸上では約1000万円以上の賞金が出ることも。たった数秒、数分のパフォーマンスで得られる額としては破格のドリームがありますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ただ走る、跳ぶだけのシンプルなスポーツに見えて、実は歴史的な背景や物理的な工夫、そして人間ドラマが詰まっているのが陸上競技の魅力です。
次にテレビで陸上中継を見かけたときは、ぜひこれらの雑学を思い出してみてください。「あ、今のスタート音はスピーカーから出てるんだな」とか「あの選手、風を計算してるな」なんて視点で見ると、今までとは違った面白さが発見できるはずです。陸上競技、知れば知るほど面白いですよ!