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雛人形の雑学8選~ひな祭りの面白い種類や由来の豆知識~

雛人形雑学

雛人形といえば、赤いひな壇にずらりと並ぶ華やかな姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実は小さな建物の中に飾るものや、布を組み合わせて作る立体的なものなど、時代や地域によってその形や種類は驚くほどさまざまなのです。

また、人形たちが手にしている小さな持ち物やお道具の一つひとつにも、宮廷の暮らしや親の願いが込められた意外な意味が隠されています。今回は、昔の絵や残された貴重な人形を眺めながら、誰かに話したくなる雛飾りの奥深い世界をのぞいてみましょう。

 

1.お雛さまの御殿飾り

1959年製の御殿飾り雛人形
1959年製の御殿飾り。田原市渥美郷土資料館収蔵。撮影:海獺(2020年)/
画像出典/
CC BY-SA 4.0 画像は当サイトで縮小・WebP形式に変換。

お雛さまが飾られる場所は、実は赤い段の上だけではありません。京都の御所を模した小さな建物の中に男雛と女雛を並べる様式も存在します。これは江戸時代後期の京阪地方で広く親しまれ、明治や大正時代になるとさらに豪華な造りのものも登場しました。ちなみに屋根のない開放的な形式もあり、すべてが屋根付きだったわけではありません。人形だけでなく立派な住まいまで用意するところが、なんともぜいたくで素敵ですね。

参考:日本玩具博物館「御殿飾り雛の移り変わり」

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2.雛段は少しずつ増えた

1910年刊行の本に描かれた雛祭り
『Home Life in Tokyo』(1910年)293ページの挿絵。挿絵作者不詳/
画像出典・権利表示/
パブリックドメイン

現代ではおなじみの七段飾りですが、最初からその段数だったわけではありません。最初は敷物の上に人形を並べ、後ろに屏風を立てるだけの簡素な形から始まりました。その後、お供の人形や嫁入り道具が増えるにつれて段数も増え、江戸時代の安永年間(1772~1781年)には四~五段の飾りが見られるようになります。さらに天保年間(1830~1844年頃)には、十畳の座敷いっぱいを使うほど豪華な飾りも登場し、準備も片づけも大仕事だったようです。

参考:日本玩具博物館「雛まつり」

※画像は1910年の挿絵で、江戸時代の飾りを直接記録したものではありません。

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3.三人官女はお酒の支度中

加銚子を持つ官女の雛人形
江戸後期の官女の人形。掲載ページでは「加えの銚子」を持つ官女と説明。撮影:Gryffindor(2023年)/
画像出典/
CC0

内裏雛の下の段に並ぶ三人官女の手元にある小物は、ただの雰囲気作りの飾りではありません。標準的な七段飾りでは、お祝いの席でお酒を注ぐための銚子や盃を載せた台をそれぞれ手に持っています。向かって右の官女は柄の長い「長柄銚子」、左は注ぎ足し用の「加銚子(くわえちょうし)」、そして中央には盃を載せた「三方(地域によっては嶋台)」を持つ官女を配置します。小さな持ち物に注目すると、宮廷での華やかなおもてなしの場面が浮かんできますね。

参考:日本人形協会「雛人形の飾り方」

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4.「右大臣」は警護役

右大臣と呼ばれる雛人形
江戸後期の人形。掲載ページでは「右大臣」と説明。撮影:Gryffindor(2023年)/
画像出典/
CC0

弓矢などを持って凛々しく座る「左大臣・右大臣」という呼び名は、実は後から広まった通称です。本来の人形の役どころは、政治を行う大臣ではなく、御所の要人を身の回りでお守りする「随身(ずいじん)」という武官にあたります。向かって右に年配の姿、左に若者の姿を配置するのが一般的で、宮廷の頼もしいボディガードを表しています。お雛さまのまわりには、おもてなしをする女性だけでなく、安全を守ってくれる強い味方も控えているのですね。

参考:日本人形協会「雛人形の飾り方」

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5.お出かけ用の乗り物まで

雛祭り用の小さな駕籠
雛祭り用の小さな駕籠。掲載ページによると、19世紀に日本から持ち帰られた資料。撮影:G.Garitan(2018年)/
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CC BY-SA 4.0 画像は当サイトで縮小・WebP形式に変換。

精巧に作られた雛道具の中には、タンスや鏡台、食器類といった室内の家具だけでなく、人を乗せて運ぶための「御駕籠(おかご)」まで含まれています。標準的な七段飾りでは、一番下の段の向かって左側に御駕籠、右側に牛が引く「御所車(ごしょぐるま)」を並べるのが習わしです。お雛さまたちの暮らしには、優雅なお出かけの支度までしっかりとそろっているのですね。細部まで作り込まれた道具を眺めると、小さな宮廷の世界がぐっと広がります。

参考:日本人形協会「雛人形の飾り方」

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6.布を組み合わせたお雛さま

筑後川流域に伝わるおきあげ雛
筑後川流域に伝わる「おきあげ雛」。福岡県うきは市で撮影。撮影:Nissy-KITAQ/
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福岡県の筑後川流域などに伝わる「おきあげ雛」は、伝統的な押絵(おしえ)の仲間です。厚紙で作った型の上に綿を載せ、美しい端切れでふっくらと包んだ部品を貼り合わせて人形の姿を作り上げます。つまり、立体的な胴体に後から着物を着せる一般的な雛人形とは、根本的な作り方が違うのです。江戸後期に都市部で親しまれ、明治以降には地方の城下町にも広がりました。当時の人々が色や柄を選んだ楽しさまで伝わってくる温かい雛人形ですね。

参考:日本玩具博物館「ふるさとの押絵雛」

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7.男の子のための雛飾りも

男児のために飾られる天神さま
男児のために雛祭りに飾られる天神さま。田原市渥美郷土資料館収蔵。人形の制作年代は掲載ページに記載なし。撮影:海獺(2020年)/
画像出典/
CC BY-SA 4.0 画像は当サイトで縮小・WebP形式に変換。

ひな祭りといえば「女の子のためのお祝い」という印象が強いですが、地域によっては長男が生まれた際などに学問の神様である「天神さま(菅原道真公)」の人形を飾る習わしがあります。写真は愛知県の田原市渥美郷土資料館に収蔵されている人形で、資料説明にも男児のために雛祭りに飾られるものと記されています。男雛と女雛の華やかな一対だけが、ひな祭りの主役というわけではないのですね。

参考:
画像の資料説明、
田原市博物館「ひな人形展」

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8.人形の前にもお酒を用意

石川豊雅による雛祭りの浮世絵
石川豊雅『The Festival of Dolls (Third Month)』、1767年頃。メトロポリタン美術館所蔵、JP851。Gift of Estate of Samuel Isham, 1914/
作品・画像出典/
画像のCC0確認ページ/
CC0

昔の雛飾りには、人形やミニチュアの道具だけでなく、本物のお供え物も丁寧に並べられていました。江戸時代の1767年頃に描かれたこの浮世絵には、国酒デジタルミュージアムの解説によると、雛段のすぐ下にお神酒と盃を供えて祝う当時の風景が生き生きと描かれています。ただ人形を並べて眺めるだけでなく、実際にお供えをして家族で祝う、温かいお祝いの場そのものだったことを感じさせる一枚ですね。

参考:国酒デジタルミュージアム「The Festival of Dolls (Third Month)」

※浮世絵に描かれた場面であり、当時のすべての家庭が同じように飾ったことを示すものではありません。

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まとめ

豪華な御殿や、おもてなしの酒器、頼もしい警護役にお出かけ用の駕籠まで、雛飾りをじっくりと観察してみると、人形たちのまわりに小さな宮廷の暮らしが広がっていることがわかります。飾る場所や人形の作り方にも時代や地域ごとの個性があり、普段見慣れた段飾りだけが雛人形の姿ではありません。

次にひな祭りの季節を迎えてお雛さまを眺める機会があれば、ぜひ美しい顔立ちや着物だけでなく、手元の小さな道具や地域ならではの飾り方にも注目してみてください。きっと、いつもの雛飾りにワクワクするような新しい発見が見つかるはずですよ。

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