ころんとしたフォルムと愛嬌たっぷりの表情で、絵本やキャラクターとしても大人気の「豚(ブタ)」。食卓に欠かせないお肉としても私たちの暮らしに深く関わっていますが、実は私たちが持っているイメージとは正反対の驚きの生態や高い能力を秘めていることをご存知でしょうか。
今回は、思わず誰かに話したくなる豚の面白い雑学から、知っているようで知らない豚肉の豆知識、さらには歴史や文化にまつわる裏話までをたっぷりと30個集めました。会話のきっかけやクイズネタとしても盛り上がるトリビアばかりですので、ぜひ最後まで楽しみながら読んでみてくださいね。
1.実は体脂肪率が低い

太っていることの代名詞のように使われがちな豚ですが、実はそのイメージは大きな誤解です。一般的な健康な人間の体脂肪率は男性で15〜20%、女性で20〜25%ほどですが、食用として育てられている一般的な豚の体脂肪率は14〜18%前後しかありません。野生のイノシシに近い骨格や筋肉質な体つきを持っており、見た目以上に引き締まったアスリート体型をしているのです。
2.犬よりも知能が高い

のんびりとしている印象の豚ですが、動物の中でもトップクラスの賢さを持っています。さまざまな研究により、豚の知能は人間の3歳児や犬と同等かそれ以上であることが分かっています。自分の名前を覚えて呼ばれたら反応するのはもちろん、鏡に映った自分の姿を認識して隠されたエサを探し出したり、なんと鼻先を使ってテレビゲームのカーソルを操作したりすることまでできるのです。
3.本来は超キレイ好き

「豚は汚い場所が好き」と思われがちですが、本来は動物の中でも群れを抜いて清潔好きな性格をしています。十分な広さがある飼育環境では、寝る場所と食事の場所、トイレの場所を明確に分ける習性があり、自分の寝床を汚すことは決してありません。もし体が汚れている豚を見かけたら、それは狭いスペースに閉じ込められて、仕方なく汚れているだけなのです。
4.泥浴びは体温調節の為

清潔好きなはずの豚が泥だらけになって転げ回るのは、汚すのが好きだからではありません。実は豚の皮膚には汗腺がほとんど発達しておらず、人間のように汗をかいて体温を下げることができないのです。そのため、暑い日は水や泥を体に塗って気化熱で体を冷やしたり、泥のパックで強い日差しによる日焼けや寄生虫・虫刺されからデリケートな皮膚を守ったりしています。
5.祖先は野生のイノシシ

現在世界中で飼育されているすべての豚は、もともと野生のイノシシを人間が家畜化したものです。今から約8000年〜1万年ほど前に、アジアやヨーロッパの各地でイノシシを飼い慣らして品種改良を重ねたことで誕生しました。家畜化される過程で、警戒心が薄れて穏やかな性格になり、たくさんのお肉が取れるように胴体が長く、牙が小さくなるように姿が変化していったのです。
6.逃げ出せば野生に戻る

イノシシから進化した豚ですが、生物学的には現在もイノシシと非常に近い遺伝子を持っています。そのため、もし飼育されている豚が自然界へ逃げ出して野生化すると、数世代のうちに毛深くなり牙が伸びてイノシシに近い姿へと戻ってしまいます。また、豚とイノシシを掛け合わせることも可能で、生まれた子どもは「イノブタ」と呼ばれ、両方の良さを兼ね備えたお肉として重宝されています。
7.全速力は人間より速い

短い足でトコトコと歩くイメージがある豚ですが、本気を出して走ると驚くほどのスピードが出ます。豚の最高時速はおよそ17〜20キロメートルにも達し、一般的な大人が全力疾走するのと変わらない速さで駆け抜けることができます。さらに、原種であるイノシシにいたっては時速45キロメートル近くで走ることができるため、豚も本来は高い身体能力を秘めた動物なのです。
8.嗅覚は警察犬に匹敵

豚のチャームポイントである丸くて平らな鼻には、非常に優れた嗅覚が備わっています。嗅覚受容体の数が極めて多く、その能力は訓練された警察犬にも引けを取らないほどです。地面の下に埋まっているわずかな匂いも正確に嗅ぎ分けることができ、平らで丈夫な鼻先をスコップのように器用に使って土を掘り起こし、木の根や昆虫などの食べ物を探し出します。
9.トリュフを探すのは豚

世界三大珍味のひとつである高級キノコ「トリュフ」を探す際、古くからヨーロッパではメスの豚が大活躍してきました。これはトリュフが放つ独特の香りが、オスの豚が出す性フェロモンの成分とよく似ているため、メスの豚が夢中になって掘り当てるからです。ただし、豚はトリュフを見つけるとその場で食べてしまうことが多いため、近年ではしつけがしやすい犬を使って探すケースが増えています。
10.首の構造上空を見ない

豚は普段から地面の匂いを嗅ぎながら食べ物を探して暮らしているため、それに適した骨格へと進化しています。首の骨(頸椎)の構造と、首の後ろについた分厚い筋肉や脂肪のせいで、立ったまま頭を真上に持ち上げることが物理的にできないのです。もし豚が空を見上げたいときは、その場で立つのではなく、地面にゴロンと寝転がるか坂道を利用して視線を上げる必要があります。
11.実は泳ぎがとても得意

ずんぐりとした体型の豚は水に沈んでしまいそうですが、実は生まれつき泳ぎが得意なスイマーです。水の中に入ると自然と犬かきのような動きで上手に水面を進むことができます。カリブ海に浮かぶバハマの「ピッグ・ビーチ(ビッグ・メジャー・ケイ)」という無人島には、透き通った美しい海をスイスイと泳いで観光客を出迎える野生の豚たちが暮らしており、世界的な人気スポットになっています。
12.しっぽの巻きには理由

絵本やイラストで描かれる豚のしっぽは、くるんと可愛らしく丸まっているのが定番ですよね。実は祖先のイノシシのしっぽは真っ直ぐ垂れ下がっており、家畜化される過程で突然変異や品種改良によって巻くようになったと言われています。また、しっぽの動きは感情のバロメーターにもなっており、機嫌が良いときはくるりと巻き、体調が悪いときや怯えているときはダランと垂れ下がります。
13.英語の鳴き声はブーブー

日本では豚の鳴き声といえば「ブーブー」と表現しますが、言葉が変われば聞こえ方も大きく変わります。たとえば英語圏では「オインク・オインク(oink)」と表現されるのが一般的です。これは、豚が驚いたときに出す高い鳴き声なのか、普段鼻を鳴らすときの低い音なのか、どの瞬間の音に注目するかによって国ごとの擬音語が生まれたためだとされています。
14.仲間と20種以上の声

豚はただ無意味にブーブーと鳴いているわけではなく、鳴き声を使って仲間と高度なコミュニケーションを取っています。研究によると、豚は状況や感情に応じて20種類以上の異なる鳴き声を使い分けていることが判明しています。「お腹が空いた」「ここは危険だ」「ご機嫌だよ」といったメッセージだけでなく、母親の豚は授乳中に子どもたちに歌うような優しい声をかけて安心させています。
15.味蕾の数は人間の約2倍

何でも美味しそうに食べるイメージの豚ですが、実は味覚が驚くほど繊細に発達しています。舌にある味を感じる器官「味蕾(みらい)」の数は、人間が約7000〜1万個程度なのに対し、豚には約1万5000〜2万個もの味蕾が存在すると言われています。特に甘いものや旨味を強く好む一方で、苦いものや酸っぱいものには敏感に反応して避けるなど、かなりのグルメなのです。
16.内臓が人間と似ている

豚は雑食性で体格も人間に近いことから、体の内部構造が人間と驚くほどよく似ています。心臓や肝臓、腎臓などの臓器の大きさや血管の仕組み、生理機能が人間に極めて近いため、医学の研究や新薬の開発において重要な役割を果たしてきました。近年では、遺伝子操作によって拒絶反応を抑えた豚の臓器を人間に移植する「異種移植」の医療技術も、世界中で研究が進められています。
17.ミニブタは意外と巨大

ペットとして人気の「ミニブタ」ですが、名前から小型犬くらいのサイズを想像して飼い始めると驚くことになります。ミニブタが成長すると体重は40〜80キログラム前後になり、大型犬と同じかそれ以上の大きさになります。なぜこれで「ミニ」と呼ぶかというと、一般的な食用の豚が大人になると200〜300キログラムを超える超巨体になるため、「普通の豚に比べれば小さい」という意味で名付けられたからです。
18.一度に10頭以上出産

豚は非常に繁殖力が高い動物で、1回の妊娠期間は「3ヶ月・3週間・3日(約114日)」と覚えられています。そして1回のお産で平均して10〜14頭ほどの子豚を一度に出産し、年に2回以上出産することも珍しくありません。生まれたばかりの子豚たちは、おっぱいを巡って喧嘩にならないよう、生後数日のうちに「自分が吸う専用の乳首」を決めて、卒乳するまで同じ場所から母乳を飲むという可愛いルールを持っています。
19.「豚」の漢字の成り立ち

「豚」という漢字をじっくり見てみると、左側の「月(にくづき)」と右側の「豕(いのこ)」という2つのパーツからできています。左の「月」は身体や食用のお肉を表し、右の「豕」はお腹がぷっくりと膨らんだ豚の姿を横から見た象形文字です。つまり「お肉として食べるための丸々とした豚」という意味がそのまま一文字に込められており、大昔から人間の食生活を支えてきたことが分かります。
20.「家」の漢字にも豚が

私たちが毎日使っている「家」という漢字にも、実は豚が深く関わっています。「家」の冠部分である「宀(うかんむり)」は屋根や建物を表しており、その下に入っている「豕」はまさに豚を意味しています。古代の中国では、建物の1階で大切な財産である豚を飼い、2階に人間が住むスタイルがあったことや、神様へ豚を供える神聖な建物を表したことから、屋根の下に豚を書いて「家」という字が生まれました。
21.貯金箱が豚の意外な訳

世界中で貯金箱といえば豚の形が定番ですが、その由来は中世イギリスの「言葉遊び(ダジャレ)」にあるという説が有力です。当時、お金を貯めておく壺は「pygg(ピグ)」と呼ばれるオレンジ色の安価な粘土で作られていました。やがて時代が流れてその粘土が使われなくなると、発音が同じである動物の「pig(ピッグ=豚)」と混同され、職人たちが本当に豚の形の貯金箱を作るようになったと言われています。
22.世界では幸運のシンボル

日本では悪口に使われてしまうこともある豚ですが、世界を見渡すと「幸運と繁栄の象徴」として非常に愛されています。たとえばドイツでは「豚を手に入れた」という慣用句が「思いがけない幸運に恵まれた」という意味で使われ、新年には豚の形をしたお菓子(マジパン)を贈り合います。中国や韓国でも、一度にたくさんの子どもを産むことから、子孫繁栄や金運アップをもたらす縁起の良い動物とされています。
23.3月1日は「豚の日」

毎年3月1日は「豚の日(National Pig Day)」という記念日になっています。これは1972年にアメリカのテキサス州とノースカロライナ州に住む姉妹が、「人間にとって最も賢く、役に立っている家畜である豚に感謝しお祝いしよう」と提唱したのが始まりです。現在ではアメリカの動物園や農場、学校などで豚にちなんだイベントが開かれるほか、日本でも美味しい豚肉を味わう日として少しずつ知られるようになっています。
24.英語で肉と動物が違う

英語では、生きている豚のことは「pig(ピッグ)」や「swine(スワイン)」と呼びますが、食卓に並ぶ豚肉になると「pork(ポーク)」と名前が変わります。これは11世紀にフランス(ノルマンディー公国)がイギリスを征服した際、家畜を育てる英語話者の農民が「pig」と呼び、肉を食べるフランス語話者の支配階級が「porc(ポーク)」と呼んだという歴史的な背景がそのまま現代の英語に残ったためです。
25.ハムは本来「もも肉」

スーパーなどでよく見かける「ロースハム」という言葉、実は英語として直訳すると少しおかしな意味になってしまいます。もともと英語の「ham(ハム)」という言葉は、加工品全般ではなく「豚のもも肉(およびその塩漬け燻製)」そのものを指す言葉だからです。つまり「ロースハム」は「背中のお肉のもも肉」という意味になってしまいますが、日本では製法の名前として定着したため広く使われています。
26.鳴き声以外は全て使う

中国や日本の沖縄県など、豚肉文化が深く根付いた地域には「豚は鳴き声以外はすべて食べられる」という有名な言葉があります。ロースやバラなどの精肉はもちろん、耳(ミミガー)や顔の皮(チラガー)、足(テビチ)、内臓、さらには血液に至るまで余すところなく美味しい料理に変身します。さらに皮は革製品に、毛は高級なブラシに、骨はスープの出汁や肥料になるなど、文字通り捨てるところがありません。
27.疲労回復ビタミンが1位

「疲れたときは豚肉を食べると元気が出る」とよく言われますが、これにはしっかりとした科学的な根拠があります。豚肉には、糖質をエネルギーに変えて疲れを癒やす働きがある「ビタミンB1」が、あらゆる食品の中でもトップクラスに多く含まれているのです。その含有量はなんと牛肉の約8〜10倍にもなり、玉ねぎやニンニクに含まれる「アリシン」と一緒に食べると、さらに吸収率がアップします。
28.生焼け厳禁の本当の理由

牛肉はレアのステーキなどで食べられますが、豚肉は「必ず中心までしっかり火を通すこと」が鉄則とされています。これは豚の筋肉や内臓の内部に、食中毒を引き起こすE型肝炎ウイルスやトキソプラズマなどの寄生虫・細菌が潜んでいる可能性があるためです。これらは新鮮なお肉であっても内部に存在することがあるため、中心部が白っぽく変わるまで十分に加熱して安全に楽しむことが大切です。
29.どんぐりで育つ高級豚

スペインが誇る世界的な高級豚「イベリコ豚」。その中でも最高峰とされる「ベジョータ」というランクの豚は、放牧されて森の中の「どんぐり(スペイン語でベジョータ)」を主食としてたっぷり食べて育つことで知られています。どんぐりに含まれる良質なオレイン酸のおかげで、イベリコ豚の脂身は人間の体温ほどの低さでもとろけるようになり、ナッツのような芳醇な香りと甘みが生まれるのです。
30.徳川慶喜は豚肉が大好き

仏教の影響で長く肉食が禁じられていた江戸時代の日本ですが、江戸幕府最後の将軍である徳川慶喜は無類の豚肉好きとして知られていました。慶喜は薩摩藩などから献上された豚肉を好んで食べ、周囲から「豚一(ぶたいち)様」というあだ名をつけられるほどだったと言われています。明治維新後に日本中でとんかつや豚鍋などの食文化が一気に広まった背景には、こうした先人たちの好奇心もあったのかもしれませんね。
まとめ
今回は、身近な動物である「豚」にまつわる30個の雑学をご紹介しました。太っていて汚いというイメージとは裏腹に、体脂肪率が低くて清潔好き、さらには犬をしのぐほどの高い知能を持っているという事実に驚いた方も多いのではないでしょうか。
また、漢字の成り立ちや貯金箱の由来、美味しい豚肉の秘密など、私たちの生活や歴史のいたるところに豚との深い関わりが隠されています。次に食卓で豚肉料理を味わうときや、可愛い豚のグッズを見かけたときは、ぜひ今回知った面白い豆知識を家族や友人にシェアして会話を盛り上げてみてくださいね。
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