プリプリとした食感と濃厚な旨味で、お寿司や天ぷら、エビフライなどあらゆる料理で大人気の「エビ(海老)」。普段の食卓からお祝いの席まで欠かせない身近な食材ですが、実はその体の構造や生き方には驚くような秘密がたくさん隠されているのをご存じでしょうか。
今回は、名前の意外な由来から、伊勢海老や甘エビにまつわる不思議な生態、そして「エビの尻尾は食べるべき?」といった食卓で盛り上がる話題まで、誰かに話したくなる面白い豆知識を30個厳選しました。次にエビを食べるのがもっと楽しみになる雑学を、さっそく見ていきましょう!
1.語源は果物のブドウ

「エビ」という名前の由来は、実は果物の「ブドウ(葡萄)」にあります。昔日本では、野生のブドウ(エビヅル)のことを「えび」と呼んでいました。海にいるエビの赤紫色が熟したブドウの房の色によく似ていたことから、同じ「えび」という名前で呼ばれるようになったのです。今でも日本の伝統色では「葡萄色」と書いて「えびいろ」と読み、着物の色名などとして美しく残っています。
2.「海老」は長寿の象徴

漢字で「海老」と書くのは、長いヒゲを蓄えて腰が曲がっている姿が、海の老人(お年寄り)のように見えることが由来です。そのため、日本では古くから「腰が曲がるまで長く元気に生きられるように」という願いを込めて、長寿を祝う縁起物として大切にされてきました。また、成長するにつれて何度も脱皮を繰り返すことから、「新しく生まれ変わる」「出世する」というおめでたい意味も込められています。
3.茹でると赤くなる理由

生きている時は黒や茶色っぽいエビも、茹でたり焼いたりすると鮮やかな赤色に変わりますよね。これは、エビの殻や身に含まれる「アスタキサンチン」という赤い色素が熱で現れるためです。生きている間はタンパク質と結びついて黒っぽく隠れていますが、加熱するとタンパク質と切り離されて本来の赤色が姿を現します。ちなみにこの色素には、強い抗酸化作用があり美容や健康にも嬉しい成分が含まれています。
4.食べる身はすべてお腹

私たちがエビフライやお刺身で「身」として食べているプリプリの部分は、実はすべて「お腹(腹部)」にあたります。そして、頭だと思って外している硬い殻の部分は「頭胸甲」と呼ばれ、頭と胸がひとつに合体した構造になっているのです。つまり、料理の下ごしらえでエビの頭を取る作業は、厳密に言うと「頭と胸をまとめて取り外し、お腹の筋肉だけを残している」ということになります。
5.心臓や胃袋は頭にある

エビの頭と胸が一体化した部分には、生きるために重要な臓器がぎっしりと詰まっています。人間なら胸やお腹にあるはずの心臓や胃袋、肝臓などもすべて「頭」の殻の中に収まっているのです。ちなみに、私たちが「エビミソ」と呼んで美味しく食べている濃厚な部分は、脳みそではなく「中腸腺(ちゅうちょうせん)」という、人間でいう肝臓とすい臓の役割を合わせた消化器官にあたります。
6.胃袋の中に歯がある

エビの口元にはエサを細かくちぎるための顎がありますが、さらに驚くべきことに「胃袋の中」にも歯が生えています。これは「胃歯(いし)」と呼ばれる器官で、飲み込んだ食べ物を胃袋の筋肉を動かしてゴリゴリとすり潰す役割を持っています。口でしっかり噛むことができない分、お腹の入り口にある第2の歯を使って消化を助けているという、とてもユニークな体の仕組みです。
7.エビの血は実は青色

エビをさばいている時に赤い血が出ないため、「エビには血がないの?」と思う人もいるかもしれません。実はエビの血液は透明に近く、空気に触れると淡い青色(青みがかった色)に変化する性質を持っています。人間の血液には鉄分を含む「ヘモグロビン」があるため赤くなりますが、エビやカニ、イカなどの血液には銅を含む「ヘモシアニン」という成分が含まれているため、酸素と結びつくと青くなるのです。
8.後ろ向きに速く泳ぐ

普段は海底をゆっくり歩いたり、お腹の小さな脚を使って前へ進んだりしているエビですが、敵に襲われそうになると一変します。お腹の筋肉をギュッと一気に折り曲げることで水を強く蹴り出し、後ろ向きに猛スピードでジャンプするように逃げるのです。前方にいる天敵から瞬時に距離をとるための見事な護身術であり、私たちが食べているエビの身が引き締まってプリプリしているのも、この強い筋肉のおかげです。
9.背ワタはエビの腸

エビを調理する際、背中の部分に竹串などを刺して黒い筋のような「背ワタ」を取り除きますよね。この背ワタの正体は、エビの消化管(腸)と、その中に残っているフンや砂です。食べたプランクトンや海底の泥などが詰まっているため、そのまま調理するとジャリッとした食感になったり、独特の生臭さが出たりする原因になります。ひと手間かけて背ワタを取ることが、エビを美味しく食べる最大のコツです。
10.エビの尻尾の成分

エビフライや天ぷらを食べる時、「尻尾まで食べるか、残すか」はよく議論になるテーマですよね。エビの尻尾や殻の主成分は、カルシウムと「キチン」という動物性の食物繊維の一種です。キチンは人間の消化酵素ではほとんど分解されないため、お腹の調子を整える働きが期待できます。ただし、消化しにくい物質でもあるため、胃腸が弱い方や小さなお子様は無理に食べず、よく噛んで味わうのがおすすめです。
11.尻尾のトゲで鮮度確認

スーパーなどで美味しいエビを見分けたい時は、尻尾の先端に注目してみてください。エビの尻尾の真ん中には「尾節(びせつ)」という鋭く尖ったトゲのような部分があります。生きている間に狭い場所でストレスを感じたり、鮮度が落ちてきたりすると、この尻尾のトゲがすり減ったり黒ずんだりするのです。尻尾の先までピンと尖っていて、透明感があり綺麗に広がっているものほど新鮮な証拠です。
12.甘エビは途中で性転換

お寿司ネタとして大人気の「甘エビ」は、実は正式名称を「ホッコクアカエビ」といいます。この甘エビには驚くべき生態があり、生まれた時はすべて「オス」として成長します。そして生後4〜5年ほど経って体が大きくなると、なんとすべての個体が「メス」へと性転換するのです。体が大きく体力がついてから卵をたくさん産むことで、効率よく子孫を残すための自然界の知恵だと考えられています。
13.車海老は水なしで生存

高級食材として知られる「車海老(クルマエビ)」は、腹を丸めた時にしま模様が車輪のように見えることからその名がつきました。車海老は生命力が非常に強く、頭のエラの部分に少しの水分を蓄えておくことができます。そのため、湿らせたおがくずの中に入れておけば、水がない状態でも数日間は生きたまま輸送することが可能です。贈り物として活きた車海老が届けられるのは、この特殊な能力のおかげなのです。
14.伊勢海老はヤドカリに近い

エビの王様とも呼ばれる「伊勢海老(イセエビ)」ですが、実は生物学的な分類で見ると、車海老や甘エビよりもヤドカリやカニに近いグループ(異尾類・短尾類に近い系統)に位置づけられています。かつての分類ではヤドカリと同じ仲間に分けられていたこともあるほど、一般的なエビとは体のつくりが異なります。大きなハサミを持たず、頑丈な殻と太くて長い触角(ヒゲ)を持っているのが大きな特徴です。
15.伊勢海老は鳴き声を出す

伊勢海老を捕まえようとしたり、水から引き揚げたりすると、「ギイギイ」「ギュッギュッ」という不思議な音が聞こえることがあります。声帯があるわけではなく、長い触角の付け根にある関節を頭部の突起にこすり合わせることで、バイオリンのように音を鳴らしているのです。これは外敵を驚かせて追い払うための威嚇音や、仲間に危険を知らせるためのサインだと考えられています。
16.桜エビの漁は駿河湾だけ

春と秋に旬を迎え、かき揚げや釜揚げで親しまれている「桜エビ」は、海の中で透き通ったピンク色に輝くことから「海の宝石」とも呼ばれています。実は日本国内で桜エビの商業的な漁が許可されているのは、静岡県の「駿河湾(するがわん)」ただ1箇所だけです。大切な海の資源を守るため、漁ができる期間や船の数、漁獲量に厳しいルールを設けて、100年以上にわたり大切に保護され続けています。
17.桜エビは深海で光る

小さな桜エビですが、実は水深200メートルから300メートルほどの暗い海で暮らす「深海エビ」の一種です。昼間は光の届かない深海に潜んでおり、夜になるとエサであるプランクトンを求めて海面近くまで大群で浮かび上がってきます。さらに桜エビの体にはたくさんの「発光器」が備わっており、暗い海の中で青白く光を放つ神秘的な性質を持っています。この光は、下から見上げる敵に自分の影を悟られないためのカモフラージュだと言われています。
18.衝撃波を放つエビ

温かい海に暮らす「テッポウエビ」という小さなエビは、左右で大きさが違うハサミを持っています。この大きな方のハサミを「パチン!」と猛スピードで閉じると、時速100キロを超える水流と衝撃波が発生し、近くにいる小魚やカニを一瞬で気絶させてしまいます。ハサミを閉じる瞬間に発生する泡が弾ける時には、一瞬だけ太陽の表面温度に匹敵するほどの超高温と光が生じることも科学的に判明しています。
19.ハゼと共同生活するエビ

先ほど紹介したテッポウエビの中には、視力がとても弱い代わりに巣穴を掘るのが得意な種類がいます。彼らは視力の良い「ハゼ(魚)」とルームシェアをして暮らすことで有名です。エビがせっせと砂を掘って住処を作り、ハゼが巣穴の入り口で見張り役を務めるという見事な協力関係を築いています。エビは常に長い触角をハゼの体に触れさせており、ハゼが尾ひれを振って危険を知らせると、一緒に素早く巣穴へ逃げ込みます。
20.魚の口を掃除するエビ

サンゴ礁の海には、大きな魚に食べられることなく、むしろ魚たちから大歓迎されるエビがいます。「アカシマシラヒゲエビ」などのクリーナーシュリンプ(掃除屋エビ)と呼ばれる仲間です。彼らは魚の体表やエラ、さらには開いた口の中にまで入り込み、魚についた寄生虫や古い皮膚を綺麗に食べて掃除してくれます。魚の方も気持ちよさそうにじっとして順番待ちをするほど、海の健康を支える大切な存在です。
21.英語では3つの呼び方

日本語ではどんな種類でもまとめて「エビ」と呼びますが、英語では大きさや姿によって主に3つの単語に使い分けられています。小ぶりで殻が柔らかい小エビ(甘エビなど)は「Shrimp(シュリンプ)」、車海老やブラックタイガーのような中〜大型のエビは「Prawn(プローン)」、そして伊勢海老やオマール海老のような巨大で硬い殻を持つものは「Lobster(ロブスター)」と呼ばれます。海外のレストランで注文する時に知っておくと便利な知識です。
22.シャコはエビではない

お寿司屋さんでよく見かける「シャコ」は、漢字で「蝦蛄」と書き、英語でも「Mantis shrimp(カマキリエビ)」と呼ばれるため、エビの仲間だと思われがちです。しかし生物学的には、エビやカニが属する「十脚目(じっきゃくもく)」とは異なる「口脚目(こうきゃくもく)」という独自のグループに分類されます。カマキリのような鋭い鎌(捕脚)を持ち、驚異的なパンチ力で貝殻を割って食べる、エビとはまったく別の進化を遂げた生き物です。
23.オキアミもエビではない

クジラの主食として知られ、釣りエサやふりかけの原料としても使われる「オキアミ」。見た目は小さなエビにそっくりですが、実はこれも厳密にはエビの仲間ではありません。エビは胸の脚が10本(5対)あり、エラが殻の中に隠れていますが、オキアミはエラが殻の外にむき出しになっており、一生プランクトンとして海中を漂うという違いがあります。姿が似ているため、スーパーなどでは便宜上「アミエビ」と混同されることもあります。
24.エビと昆虫は親戚関係

エビと陸上の「昆虫」は、見た目がずいぶん違うように思えますが、実は進化の歴史をたどると非常に近い親戚関係にあります。どちらも外骨格(硬い殻)を持ち、脱皮をして成長する「節足動物」という大きなグループに属しています。近年の遺伝子研究では、昆虫は太古の昔に海から陸上へと進出した甲殻類(エビなどの仲間)から進化したということが明らかになっており、科学的には「昆虫は陸に上がったエビの仲間」とも言えるのです。
25.エビの脚は全部で20本

エビは「十脚目」に分類されるため脚は10本だと思われがちですが、実は役割の違う脚をすべて合わせるともっとたくさんあります。胸の部分にある歩くための「歩脚(ほきゃく)」が5対(10本)、そしてお腹の部分にある泳いだり卵を抱えたりするための「遊泳脚(ゆうえいきゃく)」が5対(10本)あり、合計で20本もの脚を持っています。さらに口の周りにも、エサを掴んで口に運ぶための「顎脚(がっきゃく)」という小さな脚が備わっています。
26.脱皮した殻は自分で食べる

エビは体を大きくするために、生涯を通じて何度も硬い殻を脱ぎ捨てる「脱皮」を行います。脱皮した直後のエビは全身がぶよぶよと柔らかく、外敵に狙われやすい最も危険な状態です。そこでエビは、新しい殻を少しでも早く硬くするために、自分が脱ぎ捨てたばかりの古い殻をパクパクと食べてカルシウムを補給します。自分の殻をリサイクルして身を守るという、無駄のない生存戦略ですね。
27.折れたヒゲや脚は再生

敵に襲われたり仲間とケンカをしたりして、エビの長いヒゲ(触角)や脚が途中でちぎれてしまうことがあります。しかし心配はいりません。エビには高い再生能力が備わっており、脱皮を繰り返すごとに失った脚やヒゲが少しずつ元通りに再生していきます。それどころか、敵に脚を掴まれた時には、自分の意思で脚の付け根を切り離して逃げる「自切(じせつ)」という技まで持っているのです。
28.エビの日は敬老の日

日本海老協会によって、毎年「敬老の日(9月の第3月曜日)」は「海老の日」という記念日に制定されています。これは、曲がった腰と長いヒゲを持つエビが古くから長寿のシンボルとして敬老のお祝いに親しまれてきたことにちなんでいます。また、秋から冬にかけては鍋料理やおせち料理などでエビを食べる機会が増える季節でもあるため、家族みんなでエビを食べて長寿と健康を願おうという素敵な意味が込められています。
29.ブラックタイガーの和名

エビフライやエビチリなど、家庭料理でもおなじみの大型エビ「ブラックタイガー」。英語のようなカッコいい名前で呼ばれていますが、実はちゃんとした標準和名(日本語の正式名称)が存在します。その名も「ウシエビ(牛海老)」という、少し意外で迫力のある名前です。最大で30センチ近くまで大きく育ち、体色が黒っぽくてどっしりとした姿が「牛」を連想させることから名付けられました。
30.バナメイエビの人気の秘密

現在のスーパーで最もよく見かける手頃なエビといえば「バナメイエビ」ですよね。かつてはブラックタイガーが主流でしたが、病気の流行などで養殖が難しくなったことをきっかけに、2000年代後半から急速に普及しました。バナメイエビは病気や環境の変化に強く、狭い生け簀で群れを作って育つため効率よく養殖できるという特徴があります。加熱しても身が縮みにくく、プリッとした食感と甘みがあるため、今や日本の食卓を支える主役となっています。
まとめ
今回は、食卓の人気者である「エビ(海老)」にまつわる雑学を30個ご紹介しました。何気なく食べているプリプリの身がすべてお腹の筋肉であったり、頭の中に心臓や歯があったりと、普段見ている姿からは想像もつかない驚きの体の仕組みがたくさんありましたね。
お寿司屋さんで甘エビや車海老を注文する時や、ご家庭でエビフライを食べる時に、「実はエビの血って青いんだよ」「甘エビは途中で性別が変わるんだよ」と話せば、食事の場が盛り上がること間違いなしです。ぜひお気に入りの豆知識を家族や友人にシェアして、美味しいエビ料理をもっと楽しんでくださいね!
▼合わせて読みたい
-
-
食べ物の雑学150選~知らなきゃよかった!? 面白くも怖い豆知識~
毎日なにげなく食べている料理にも、実は“知られざる誕生秘話”がたくさんあります。たとえば、レトルト食品の元祖が日本発だっ ...
続きを見る
-
-
海の雑学30選~深遠なる青の世界を冒険しよう~
皆さん、こんにちは!突然ですが、最後に海を眺めたのはいつですか?広くて青い海を見ていると、心が洗われるような気持ちになり ...
続きを見る
-
-
【動物雑学まとめ】めっちゃすごい! 可愛いけど怖い豆知識100選
地球には、私たちがまだ知らない驚くべき生態やユニークな能力を持つ動物たちがたくさんいます。「そんな理由だったの!?」と驚 ...
続きを見る