毎日の食卓に欠かせない食材といえば「卵(たまご)」ですよね。目玉焼きや卵かけご飯、お菓子作りまで幅広く活躍してくれますが、いつも何気なく割っている卵には、驚くほど精巧な科学の仕組みや面白い秘密がたくさん隠されています。
そこで今回は、明日の朝食からすぐに試したくなる卵の雑学や料理の裏ワザ、クイズにしたくなる豆知識を30個厳選してご紹介します。殻の色の違いから歴史のエピソードまで、親しみやすいトリビアをたっぷりお届けしますので、ぜひ最後まで楽しんでくださいね。
1.赤玉と白玉で栄養は同じ

スーパーに行くと、茶色い殻の「赤玉」の方が白い卵よりも値段が高く、栄養も豊富そうに見えますよね。しかし実際には、殻の色によって含まれている栄養価や味に違いはまったくないのです。殻の色は単純に親鳥の種類(品種)によって決まっており、茶色い羽の鶏が赤玉を産みます。赤玉を産む鶏は体が大きく、白玉を産む鶏よりもエサを多く食べるため、その飼育コストの差が価格に反映されているだけなのです。
2.黄身の色はエサで決まる

割ったときに現れる濃厚なオレンジ色の黄身を見ると、栄養がたっぷり詰まっているように感じますよね。実は黄身の色の濃さも栄養価とはほとんど関係がなく、親鳥が食べたエサに含まれる「パプリカ」や「トウモロコシ」の色素がそのまま移行したものなのです。ヨーロッパなどの海外では小麦を主食にした鶏が多く、レモン色のような淡い黄身が一般的ですが、日本人は濃い色を好むためエサを工夫して鮮やかな色に調整しています。
3.白いひもカラザは栄養の塊

生卵を割ったときについている白いひも状の「カラザ」を、見た目や食感が気になって取り除いてしまう人は多いのではないでしょうか。このカラザは卵白の中で黄身を中央に繋ぎ止めるハンモックのような役割を果たしている大切な器官です。さらに、インフルエンザ予防や美肌に役立つ「シアル酸」という希少な成分が豊富に含まれているため、捨てずにそのまま食べるのが断然おすすめです。
4.不足栄養素は2つだけ

卵はひよこが孵化するまでに必要な成分がすべて詰まっているため、「完全栄養食品」と呼ばれるほど優れた食材です。良質なたんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれており、人間が必要とする栄養素のうち「ビタミンC」と「食物繊維」以外のすべてを網羅しています。そのため、朝食の目玉焼きにブロッコリーや野菜サラダ、果物を添えるだけで、栄養バランスが完璧な食事が完成します。
5.サイズで黄身の量は同じ

卵にはS・M・Lといったサイズ規格がありますが、大きいLサイズを買えば黄身も大きくてお得だと思っていませんか。実は鶏が成長して大きな卵を産むようになっても、中に入っている黄身の大きさ(重さ)はほぼ変わらず、増えているのは白身の量だけなのです。そのため、濃厚な卵かけご飯やカスタードクリームを作りたいときは小ぶりなSやMサイズ、ふわふわのメレンゲやだし巻き卵を作りたいときは白身が多いLサイズを選ぶのが正解です。
6.新鮮な卵ほど殻がむきにくい

産みたての新鮮な卵でゆで卵を作ると、白身が殻にぴたりと張り付いてボロボロになってしまった経験はありませんか。これは、新鮮な卵の白身には「二酸化炭素(炭酸ガス)」がたっぷり含まれており、加熱すると膨張して白身を殻の内側に強く押し付けるためです。日数が経つと殻の小さな穴からガスが抜けていくため、ゆで卵にするなら買ってから5日〜1週間ほど冷蔵庫で寝かせた少し古い卵を使うと、驚くほどツルンと綺麗にむけます。
7.温泉卵は白身と黄身の温度差

黄身はねっとり固まっているのに、白身だけがとろりと柔らかい「温泉卵」は、家で作ろうとすると難しいですよね。あの独特の食感は、白身が固まる温度(約80度)と、黄身が固まる温度(約65〜70度)のギャップを利用して作られています。お湯の温度を65〜68度前後に保ってじっくり温めることで、高温でしか完全に固まらない白身は半熟のまま残り、低温で固まる性質を持つ黄身だけにしっとりと火が通るという理科の実験のような仕組みなのです。
8.尖った方を下にして保存する

冷蔵庫の卵ケースに卵を並べるとき、丸い方と尖った方のどちらを下にするか意識したことはありますか。卵の殻は一見どこも同じ硬さに見えますが、実は尖っている先端の方がドーム構造で強度が高く、丸いお尻側には「気室」という空気の部屋があるという特徴を持っています。丸い方を下にしてしまうと、呼吸するための気室が塞がり、黄身が浮き上がって殻に触れやすくなり鮮度が落ちるため、必ず尖った方を下にして保存しましょう。
9.冷蔵庫のドアポケットはNG

多くの冷蔵庫ではドアポケットに卵置き場がついていますが、実はここは卵の保存場所としてはあまり適していません。卵は「急激な温度変化」と「扉を開閉する際の振動」に非常に弱いというデリケートな性質を持っているからです。ドアの開け閉めで温かい空気に触れると、殻の表面に結露が生じて雑菌が入り込む原因にもなるため、購入時のパックに入れたまま冷蔵庫の奥の棚に置いておくのが最も長持ちさせるコツです。
10.保存前に水で洗うのは厳禁

たまに殻に汚れがついている卵を見かけると、綺麗に水洗いしてから冷蔵庫にしまいたくなりますよね。しかし、卵の殻の表面には「クチクラ層」という目に見えない薄い保護膜があり、雑菌の侵入を防いでいるため、水で洗うとこのバリアが剥がれ落ちてしまいます。さらに、殻には呼吸のための極小の穴(気孔)が約1万個も開いているため、水と一緒に菌が内部へ吸い込まれてしまいます。汚れは乾いた布で拭き取るか、使う直前に洗うようにしましょう。
11.賞味期限は生食できる期間

パックに印字されている卵の賞味期限が1〜2週間ほどしかなく、意外と短いと感じたことはありませんか。日本の卵の賞味期限は、卵が腐る日ではなく、「サルモネラ菌の増殖リスクがなく、安心して生卵のまま食べられる期間」を基準に設定されています。そのため、冷蔵庫で適切に保存していれば、賞味期限を数日過ぎてしまってもすぐに捨てる必要はなく、中心までしっかりと75度以上で1分以上加熱調理すれば美味しく食べられます。
12.生卵で食べれる国は珍しい

熱々のご飯に生卵を落とす「卵かけご飯(TKG)」は日本の国民食ですが、海外から来た観光客には驚かれることが多い料理です。海外では卵の殻や内部に食中毒を引き起こすサルモネラ菌が付着しているリスクが高く、生食する習慣がほとんどありません。日本で生卵が安全に食べられるのは、親鳥の段階からの徹底したワクチン管理と、GPセンターでのミリ単位の洗浄・殺菌・検卵システムという世界最高水準の衛生管理があるからなのです。
13.TKGは醤油が先が正解

卵かけご飯を作るとき、溶いた卵に醤油を混ぜてからご飯にかける人が圧倒的に多いですよね。しかし、卵本来の濃厚なコクを楽しみたいなら、「先に温かいご飯に醤油を回しかけて混ぜておき、後から溶き卵を絡める」のがプロの推奨する食べ方です。卵と醤油を先に混ぜてしまうと、醤油の塩分がダイレクトに舌に触れて黄身の繊細な甘みが消えてしまいますが、ご飯に醤油を吸わせておくことで、ふわっとした卵の旨味が際立ちます。
14.ゆで卵は生卵より傷みやすい

「生ものよりも火を通した方が日持ちする」というのが料理の常識ですが、卵に関してはまったく逆の現象が起きます。生卵の白身には「リゾチーム」という強力な殺菌作用を持つ酵素が含まれており、菌の繁殖を自ら抑えているのですが、加熱してゆで卵にするとこの酵素が働かなくなってしまいます。さらに、お湯で茹でることで殻の表面の保護膜も溶けてしまうため、殻付きのゆで卵は冷蔵庫に入れても3〜4日以内に食べ切る必要があります。
15.生卵とゆで卵は回転で見分ける

冷蔵庫に殻付きのゆで卵をしまっておいたら、生卵と混ざってしまい、どちらかわからなくなったことはありませんか。そんなときは割らずに平らなテーブルの上でコマのようにクルクルと回してみましょう。中まで固まっているゆで卵は重心が安定しているため高速で軽やかに回り続けますが、生卵は中の液体が慣性でブレーキをかけるため、すぐにフラフラと止まってしまうのです。クイズや手品のように楽しく判別できる便利な裏ワザです。
16.電子レンジで爆発する理由

ゆで卵や生卵を電子レンジで温めると、庫内で大爆発を起こすため絶対にやってはいけないと注意書きされていますよね。これは、電子レンジのマイクロ波が卵の内部の水分を急激に加熱して沸騰させ、黄身の膜や殻の中に閉じ込められた水蒸気の圧力が限界を超えて一気に破裂するためです。殻をむいたゆで卵や、黄身に楊枝で穴を開けていない目玉焼きでも同様に爆発し、取り出した後に噛んだ瞬間にはじけて火傷することもあるため大変危険です。
17.江戸時代の卵は高級品だった

現代では「物価の優等生」と呼ばれ、1パック数百円で手軽に買える卵ですが、江戸時代には庶民がなかなか口にできない超高級品でした。当時の養鶏は現在のような大量飼育ではなく庭先で数羽飼う程度だったため、卵1個の値段が現代の貨幣価値に換算すると約300円〜500円前後もしたといわれています。そのため、病気見舞いの特別な贈り物として重宝されたほか、江戸時代にはすでに百種類以上の卵料理レシピ本『万宝料理秘密箱(玉子百珍)』が大ベストセラーになっていました。
18.「卵」と「玉子」の使い分け

普段の生活の中で「卵」と「玉子」という2つの漢字を見かけますが、どのように使い分けているかご存知でしょうか。実は明確なルールがあり、孵化して生き物になる性質を持った状態や、調理前の生の食材を指すときは「卵」と書きます。一方で、ゆで玉子や厚焼き玉子のように、食用として調理された後の状態(または食用としての鶏卵そのもの)を指すときは「玉子」を使うのが一般的です。魚卵(イクラやタラコ)に「玉子」という字を使わないのもこのためです。
19.1日1個までという説は誤解

「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」という話を、子どもの頃に親や先生から聞いたことがある人は多いはずです。しかし、これは100年以上前に草食動物であるウサギに卵を与えた実験結果から広まった古い誤解でした。人間は食事からコレステロールを多く摂取しても、肝臓で作られる量を自動的に減らして体内のバランスを保つ仕組みを持っています。そのため現在では、健康な人であれば1日に2〜3個食べても問題ないと厚生労働省の基準でも改められています。
20.世界最大の卵はダチョウ

地球上で最も大きな卵を産む鳥は、飛べない巨鳥として知られる「ダチョウ」です。ダチョウの卵は重さが約1.5キログラムもあり、一般的な鶏のMサイズ卵の約25〜30個分に相当する大迫力のサイズを誇ります。殻の厚さも2ミリメートルほどあり、大人が上に乗っても割れないほど頑丈なため、調理するときは金槌や電動ドリルを使って穴を開けます。ちなみに、すべてを固ゆでのゆで卵にするには、沸騰したお湯でなんと約1時間半から2時間も茹で続ける必要があります。
21.鶏は1年に約300個も産む

野生の鳥は繁殖期にしか卵を産みませんが、養鶏場の鶏がなぜ毎日途切れることなく卵を産み続けられるのか不思議に思いませんか。これは人間が長い年月をかけて、鶏の祖先である「セキショクヤケイ」を品種改良してきた結果です。現代の採卵鶏は、卵が1個作られるのにかかる時間が約24〜25時間という驚異的なハイペースになっており、休む日を差し引いても1年間でなんと約300個もの卵を産んで私たちの食卓を支えてくれています。
22.割る時は平らな場所にぶつける

生卵を割るとき、ボウルやフライパンの「角(フチ)」にコンッとぶつけてヒビを入れている人がほとんどではないでしょうか。しかし、角にぶつけると殻が内側に鋭くめり込んでしまい、細かな殻の破片が白身に混ざりやすくなります。プロの世界では、まな板や調理台などの「平らな面」に軽く打ちつけて、卵の表面にある薄い膜(卵殻膜)を傷つけずに蜘蛛の巣状のヒビを入れるのが鉄則です。こうすることで、殻が入らず綺麗にパカッと割ることができます。
23.落ちた殻は指を濡らすと取れる

ボウルの中にうっかり小さな卵の殻が落ちてしまい、箸やスプーンで取ろうとしてもツルツルと逃げてしまってイライラした経験はありませんか。これは白身の表面張力と粘り気によって、近づけた箸の圧力で殻が押し流されてしまうためです。そんなときは、自分の指先を水で少し濡らしてから殻にそっと触れるか、割った後の大きな卵の殻をスプーン代わりにしてすくい上げると、表面張力の働きで磁石のようにピタッと吸い付いて一瞬で取り出せます。
24.二黄卵は若い鶏がよく産む

卵を割ったときに黄身が2つ入っている「二黄卵(におうらん)」が出ると、なんだか宝くじに当たったような幸運な気分になりますよね。この双子の卵は、卵を産み始めたばかりの生後半年ほどの「若鶏」が、まだ排卵のリズムが安定せずに2つの黄身をほぼ同時に送り出してしまうことで生まれます。通常は検卵の機械で弾かれて加工用や「二黄卵パック」として別売りされるため、普通のパックに紛れ込んでいる確率は1%未満という本当にレアなラッキーアイテムなのです。
25.ゆで卵の黒ずみは鉄と硫黄

お弁当に入っている固ゆでのゆで卵を切ると、黄身の表面がうっすらと黒っぽく(緑がかった灰色に)変色していることがありますよね。傷んでいるのではないかと心配になりますが、これは長時間の加熱によって白身から発生した「硫化水素」と、黄身に含まれる「鉄分」が化学反応を起こして「硫化鉄」になったものです。温泉の成分と同じようなもので食べても体に害はありませんが、茹で時間を12分以内に抑え、茹で上がったらすぐに冷水で急冷すると防ぐことができます。
26.ウミガメの卵は茹でても固まらない

鶏やウズラの卵は茹でればしっかり固まりますが、実はウミガメの卵はどれだけグツグツと長時間煮込んでも、白身が固まらずトロトロのままなのをご存知でしょうか。これは、ウミガメの卵白には熱で固まる性質を持つたんぱく質(アルブミン)が極端に少なく、ほとんどが水分でできているためです。ウミガメは乾燥した砂浜の中に卵を産み落とすため、孵化するまでの長い期間、赤ちゃんが水分不足にならないよう白身が水筒のような役割を果たしているのです。
27.卵の日の由来は春分の日

実は卵には記念日が年に複数あり、その代表的なものが3月21日頃の「卵の日」と、11月5日の「いいたまごの日」です。春の「卵の日」は、生命が芽吹く春分の日にちなんでおり、欧米の復活祭(イースター)で生命の象徴である卵を飾ったり食べたりする文化が由来となっています。また、春分の日は「昼と夜の長さが同じになるため卵が立ちやすい」という中国の古い言い伝えもあり、実は1年中いつでも集中すれば卵は立つのですが、春の楽しい風物詩として親しまれています。
28.生の白身は大量に食べると注意

トレーニングや美容のために卵をたくさん食べる人が増えていますが、「生の白身」だけを毎日大量に食べ続けるのは少し注意が必要です。生の卵白に含まれる「アビジン」というたんぱく質には、髪や皮膚の健康を保つ「ビオチン(ビタミンB群の一種)」と強く結びつき、腸からの吸収を妨げてしまう性質があるからです。とはいえ、1日に数個の生卵を食べる程度なら全く問題ありませんし、加熱して半熟や固ゆでにすればアビジンの働きは無効化されるため安心して食べられます。
29.煮卵に味が染みるのは浸透圧

ラーメンのトッピングとしても大人気の「味玉(煮卵)」は、表面だけでなく中の黄身までしっかり醤油ダレの味が染み込んでいて美味しいですよね。ツルツルした白身の奥まで味が入っていくのは、濃度の低い卵の水分が外へ出ていき、濃度の高い調味液が中へ入り込もうとする「浸透圧」の力が働いているからです。キッチンペーパーを被せてジップロックに入れ、空気を抜いて半日ほど漬けておくと、少ない調味液でもムラなく均一に極上の煮卵が作れます。
30.鶏が先か卵が先かの科学的結論

「鶏が先か、卵が先か」という古くからの有名なパラドックスには、現代の進化生物学や遺伝学によって明確な答えが出されています。結論から言うと、遺伝子レベルの突然変異は受精卵の段階で起こるため、「卵が先」というのが科学的な正解です。遠い昔、「鶏にとてもよく似た祖先(まだ完全な鶏ではない鳥)」が産んだ卵の中でDNAの突然変異が起こり、その卵から世界で最初の「鶏」が孵化したため、鶏よりも先に鶏の卵が存在していたことになります。
まとめ
今回は、私たちの暮らしに最も身近な食材である「卵(たまご)」の雑学を30個ご紹介しました。赤玉と白玉の栄養が同じであることや、尖った方を下にして保存する理由など、知っていると毎日の料理や買い物がちょっと楽しくなる発見がたくさんあったのではないでしょうか。
普段は何気なく割っている1個の卵にも、命を育むための緻密なバリア機能や科学の不思議がぎっしり詰まっています。ぜひ今夜の食卓や明日の朝ごはんで卵料理を食べるときに、家族や友人にクイズとして出題して会話を盛り上げてみてくださいね。
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