ふわふわの毛並みと愛らしい丸い耳、そして木の上でのんびり過ごす姿がたまらなく可愛いコアラ。動物園やお菓子のキャラクターとしてもおなじみですが、実はその穏やかな見た目の裏には、私たちの想像を超える驚きの進化やユニークな生態がたくさん隠されているのをご存知でしょうか。
今回は、主食であるユーカリにまつわる不思議な秘密から、体のちょっと変わった特徴、そして思わず誰かに出題したくなるクイズ向きの豆知識まで、コアラの面白い雑学をたっぷり30個ご紹介します。知れば知るほど奥が深いコアラの世界を、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
1.名前は水を飲まない意

「コアラ」という可愛らしい響きの名前は、オーストラリアの先住民族であるアボリジニの言葉に由来しています。彼らの言葉で「水を飲まない」という意味を持つ「ガルグ(gula)」などの発音が変化して、現在のコアラという呼び名になりました。実際に野生のコアラは、普段ほとんど水を直接飲むことなく生活しています。昔から人々の間で、その不思議な生態がよく知られていたことがわかる素敵な名前の由来ですね。
2.水分はユーカリから摂る

先住民の言葉で「水を飲まない」と呼ばれていた通り、コアラが地面に降りて水たまりや川から水を飲む姿はめったに見られません。その理由は、主食であるユーカリの葉に約50%〜70%もの豊富な水分が含まれているからです。新鮮な葉を毎日たくさん食べることで、食事と同時に必要な水分もしっかり補給しています。ただし、猛暑や干ばつで葉の水分が足りない時だけは、木から降りて直接水を飲むこともあります。
3.ユーカリの猛毒を分解

コアラが大好きで毎日食べているユーカリの葉には、実は他の動物にとっては命に関わるほどの強い毒素(青酸配糖体やフェノール類など)が含まれています。しかしコアラは、肝臓に特別な解毒酵素を持っており、毒を無害化して排出できるため、平気で食べることができるのです。他の動物が食べられない有毒な葉を主食に選んだことで、エサの奪い合いを避けて生き残ることができたという、見事な生存戦略なのですね。
4.睡眠は1日約20時間

動物園に行ってもコアラがずっと寝ていて、動いている姿を見られなかったという経験がある方も多いのではないでしょうか。コアラは1日のうち、なんと18時間から20時間近くを眠って過ごします。これは単なる怠け者なのではなく、ユーカリの葉の栄養価が非常に低く、しかも毒素の分解に莫大なエネルギーを使うためです。無駄な体力の消耗を極限まで抑えるために、起きて食事をする時間以外はほとんど寝て過ごしています。
5.実はグルメで好き嫌い大

オーストラリアには約700種類以上ものユーカリの木が自生していますが、コアラはそのすべてを食べるわけではありません。生息する地域や個体によっても異なりますが、そのうち食用にするのはわずか数十種類程度で、さらに普段好んで食べるお気に入りの葉は10種類ほどに厳選されているといわれています。しかも、毒が少なくて栄養や水分が豊富な「柔らかい新芽」ばかりを鼻で嗅ぎ分けて食べるという、意外な美食家なのです。
6.盲腸の長さが約2メートル

私たち人間の盲腸(虫垂)はとても小さく、あまり役に立たない器官として知られていますが、コアラの盲腸はまったく違います。体長が約60〜80センチメートルほどしかないにもかかわらず、お腹の中には自分の身長の約3倍にあたる約2メートルもの巨大な盲腸が収まっています。この長い盲腸の中にすむ無数の微生物の力を借りて、硬くて消化しにくいユーカリの繊維をじっくり時間をかけて発酵・吸収しているのです。
7.離乳食はお母さんのフン

生まれたばかりのコアラの赤ちゃんは、ユーカリの葉を消化するための微生物をお腹の中に持っていません。そこで離乳期になると、お母さんコアラのお尻から出る「パップ」と呼ばれる柔らかい特別なフンを食べて、腸内細菌を受け継ぐのです。パップは通常のフンとは違い、盲腸で半消化された栄養たっぷりのペースト状の物質です。少し驚いてしまいますが、赤ちゃんが大人と同じユーカリを食べられるようになるための大切な儀式なのですね。
8.育児嚢は後ろ向きに開く

コアラはカンガルーと同じく、お腹の袋(育児嚢)で赤ちゃんを育てる有袋類の仲間です。しかし、カンガルーの袋が上向きに開いているのに対し、コアラの袋は下(後ろ向き)に向かって開いているという珍しい構造をしています。これは、木に登ったり枝の間を移動したりする際に、袋の中に木の枝や葉っぱが引っかかって入ってしまうのを防ぐためだといわれています。さらに、先述の離乳食「パップ」を赤ちゃんが食べやすいというメリットもあります。
9.新生児は約1グラム

コアラの赤ちゃんは、お母さんのお腹の中から出てくる時、わずか体長2センチメートル、体重1グラム前後という「ジェリービーンズ1粒」ほどの極小サイズで誕生します。この時点ではまだ目も見えず、耳も聞こえず、毛もまったく生えていません。しかし驚いたことに、生まれたばかりの赤ちゃんは誰の手も借りず、自らの前足の力だけでお母さんのお腹の毛をよじ登り、袋の中へとたどり着いておっぱいに吸い付くというたくましさを持っています。
10.前足の親指が2本ある

一生のほとんどを高い木の上で過ごし、寝ている間でさえ枝から落ちないコアラには、手足の指に秘密があります。人間の手は親指が1本で残りの4本と向かい合っていますが、コアラの前足は親指にあたる指が2本あり、残りの3本の指と向かい合う「2対3」の構造になっているのです。まるでペンチのようにガッチリと木の枝を挟み込むことができるため、ツルツルしたユーカリの幹でも滑らずにしっかりと掴まることができます。
11.人間にそっくりな指紋

指先に細かい渦巻き模様の「指紋」があるのは、人間やチンパンジーなどの霊長類だけだと思われがちですが、実はコアラにも指紋があります。しかもその模様は、電子顕微鏡で見ても人間の指紋とほとんど見分けがつかないほどそっくりなのだそうです。霊長類とは遠い親戚であるにもかかわらず、木の実や葉っぱをしっかりと掴むために、進化の過程で偶然にも人間とほぼ同じ構造の指紋を獲得したと考えられています。
12.お尻の皮がクッション

コアラはベッドや巣を作らず、硬いユーカリの木の枝の股(また)の部分にちょこんと座って1日20時間近くも眠ります。普通ならお尻が痛くなってしまいそうですが、コアラのお尻は分厚い皮膚と軟骨、そして密集した硬い毛で覆われており、天然の座布団のようになっているのです。このお尻のクッションのおかげで、ゴツゴツした木の枝の上でも体重を分散させ、長時間快適に座り続けることができます。
13.脳の割合が哺乳類最小級

頭が大きくて丸いコアラですが、実は頭蓋骨の中にある「脳」のサイズは驚くほど小さいことがわかっています。体重に対する脳の重さの割合はわずか0.2%ほどしかなく、頭蓋骨の内部の約40%は髄液という液体で満たされています。さらに、脳の表面には知能の高さを示す「シワ」がほとんどなく、ツルツルに近い状態です。これも、エネルギーを最も消費する臓器である脳を小さく退化させることで、低カロリーなユーカリだけで生き抜くための進化の結果なのです。
14.一番近い親戚はウォンバット

木の上に住んでいて英語で「コアラ・ベア(子熊)」と呼ばれていたこともあるため、クマやナマケモノの仲間だと思われがちですが、生物学的にはまったく異なります。コアラに最も近い現存の動物は、地面に穴を掘って暮らすずんぐりむっくりした有袋類「ウォンバット」です。数千万年前に同じ祖先から枝分かれし、一方は地面の下へ、もう一方は木の上へと住む場所を変えましたが、袋が後ろ向きに開いている点など多くの共通点が残っています。
15.オスの鳴き声は怪獣並み

大人しくてほとんど鳴かないイメージのあるコアラですが、繁殖期のオスは想像を絶する大声で鳴きます。「可愛い声で鳴くのかな?」と思いきや、実際は「グォォー!」「ゲップ」と豚のいびきや怪獣の咆哮を混ぜたような超低音のダミ声を森中に響き渡らせるのです。コアラのオスには声帯とは別に、喉の奥に特別な発声器官が備わっており、体格の何倍もの大きさの動物が出すような低い声を遠くのメスやライバルに届けることができます。
16.オスの胸には臭腺がある

大人のオスのコアラを正面から観察すると、白い胸の中央あたりが茶色く汚れているように見えることがあります。これは食べこぼしのシミではなく、「胸腺(臭腺)」と呼ばれるフェロモンや匂い物質を分泌する特別な器官です。繁殖期になるとオスはこの胸をユーカリの木の幹にスリスリと擦り付け、自分の縄張りであることを他のオスにアピールしたり、メスを引き寄せたりするためのマーキングを行います。
17.木に抱きついて体温調節

オーストラリアの夏は非常に暑く、気温が40度近くまで上がることも珍しくありません。汗腺がほとんどなく人間のように全身で汗をかけないコアラは、暑い日には木の幹にペタッと全身で抱きつくことで、熱を逃がして涼んでいることが研究で判明しました。木の幹は根から吸い上げた水分が通っているため、外気よりも温度が5度以上低いことがあり、コアラにとっては「天然のひんやり抱き枕」の役割を果たしているのです。
18.北方と南方で体格が違う

コアラは世界に1種類しかいませんが、生息する地域によって見た目や大きさにかなりの違いがあり、大きく「北方系」と「南方系」に分けられます。涼しい南部に住む南方系のコアラは、寒さに耐えるために毛が長くてフサフサしており、体重も北方の約2倍近くある大型体型です。日本の動物園で多く飼育されているのは温暖な地域出身のスマートな北方系が多いため、南方系のコアラを見るとそのモコモコ感と大きさに驚くかもしれません。
19.地面を走る時は意外と速い

木の上ではスローモーションのようにゆっくりと動くコアラですが、お引っ越しや繁殖相手を探すために地面に降りた時は、意外な俊敏さを見せます。外敵であるディンゴ(野生の犬)などに襲われないよう、地上では四足歩行でピョンピョンと跳ねるように走り、時速約10キロ〜30キロメートル近いスピードで素早く駆け抜けることができるのです。普段ののんびりした姿からは想像もつかないギャップですね。
20.実は泳ぎも上手な動物

「水を飲まない」という名前を持ち、一生を木の上で過ごすコアラですが、なんと水の中を泳ぐことができます。洪水や森林火災から逃げる際や、川を渡って別の森へ移動する際には、犬かきのような器用な動きでスイスイと水面を泳いで渡る姿が目撃されています。もちろん好んで水に入るわけではありませんが、いざという時には立派なスイマーに変身できる運動神経を秘めているのです。
21.日本初来日は1984年

日本で初めて本物のコアラが見られるようになったのは、1984年(昭和59年)10月のことでした。オーストラリアからの親善大使として、東京都の多摩動物公園、名古屋市の東山動植物園、鹿児島市の平川動物公園の3園に合計6頭のコアラが同時に来日し、日本中に空前の「コアラブーム」を巻き起こしました。当時は一目コアラを見ようと動物園に長蛇の列ができ、テレビや雑誌でも連日のように特集が組まれるほどの大人気ぶりでした。
22.エサ代が年間約1千万円

日本の動物園でコアラを飼育するのは、実は大変なコストと労力がかかります。コアラは新鮮な特定のユーカリしか食べないため、国内の温暖な地域にある専用農場で無農薬のユーカリを何種類も栽培し、動物園まで新鮮な状態で冷蔵輸送しなければなりません。そのため、コアラ1頭あたりの年間のエサ代(ユーカリの栽培・輸送費)は約800万〜1,000万円以上にもなり、動物園の動物の中でもトップクラスのグルメぶりとなっています。
23.お菓子の発売は来日前

ロッテの大人気お菓子「コアラのマーチ」は、1984年のコアラ初来日ブームに合わせて発売されました。しかし、実はコアラが日本にやってきたのが1984年10月だったのに対し、お菓子の発売日は同年3月だったため、本物のコアラが来日する半年以上も前に店頭に並んでいたのです。「もうすぐ日本にコアラがやってくる!」というワクワク感を見事に先取りしたことで、発売直後から記録的な大ヒット商品となりました。
24.一般人は抱っこ禁止の州も

オーストラリア旅行といえば「コアラを抱っこして記念撮影」を思い浮かべる方も多いですが、実はオーストラリアのすべての場所で抱っこができるわけではありません。コアラは繊細でストレスを感じやすいため、動物保護の観点からシドニーがあるニューサウスウェールズ州やメルボルンがあるビクトリア州などでは、一般観光客によるコアラの抱っこが法律で禁止されています。現在も抱っこができるのは一部の州や限られた施設のみとなっています。
25.木から落ちて怪我をする

木登りのプロフェッショナルであるコアラですが、絶対に木から落ちないわけではありません。強い風が吹いた時や、オス同士で縄張り争いのケンカをした時、さらには熟睡しすぎてうっかり手が緩んでしまった時などに、木から落下してしまうことがあるのです。実際、オーストラリアの動物病院には、木から落ちて骨折や打撲をしたおっちょこちょいな野生のコアラが運ばれてくることが珍しくないそうです。
26.群れを作らない孤独好き

可愛い見た目から仲間同士で仲良く寄り添って暮らしていそうですが、野生のコアラは基本的に群れを作らない「単独行動」の動物です。1本の木には1頭のコアラが自分のスペースを持って過ごしており、子育て中の母子や繁殖期のカップルを除けば、他のコアラと触れ合うことはほとんどありません。むしろ自分の縄張りの木に他のコアラが登ってくると、激しい取っ組み合いのケンカになることもあるほど、一人の時間を大切にする性格なのです。
27.視力は弱いが鼻と耳が良い

コアラのつぶらな瞳はとても愛らしいですが、視力はあまり良くありません。暗い夜や夕方に活発に動く夜行性・薄明薄暮性の動物であるため、視覚に頼るよりも、大きな丸い耳による「聴覚」と、黒い大きな鼻による「嗅覚」をフル活用して生活しています。特に鼻は非常に優秀で、数あるユーカリの葉の中から、その日の体調に合わせて毒素の少ない葉や栄養価の高い葉を匂いだけで正確に選別することができます。
28.土や樹皮を食べることも

コアラが食べるのはユーカリの葉だけだと思われがちですが、時折地面に降りて「土」や「小石」、あるいは木の「樹皮」などを舐めたり食べたりすることがあります。これはお腹が空いているからではなく、ユーカリの葉だけでは不足してしまうナトリウムやカルシウムなどの「ミネラル分」を補給するためです。また、食べた土が胃腸の中で毒素を吸着し、消化を助ける働きもしていると考えられています。
29.自分のフンはユーカリの香り

動物のフンというと臭いイメージがありますが、コアラのフンはまったく悪臭がしません。1日中ユーカリの葉ばかりを食べているため、排出されるオリーブのような形をしたコロコロのフンからは、まるでハーブやのど飴のような爽やかなユーカリの香りが漂うのです。さらに、コアラ自身の体からもほんのりとユーカリの香りがするため、世界で最もいい匂いがする動物の一つともいわれています。
30.実は絶滅危惧種に指定

世界中で愛されているコアラですが、悲しいことに野生の生息数は年々激減しています。都市開発によるユーカリの森の減少や、交通事故、クラミジアなどの感染症、そして近年の大規模な森林火災の影響により、2022年にはオーストラリア政府によって東部の多くの地域で「絶滅危惧種」に指定されました。この愛らしくて不思議な生態を持つコアラを未来へ残すため、現在世界中で保護活動や植林プロジェクトが進められています。
まとめ
今回は、みんなが大好きな人気者・コアラにまつわる面白い雑学を30個ご紹介しました。1日20時間眠る理由や、猛毒のユーカリを食べられる秘密、さらにはお尻のクッションや人間そっくりの指紋など、のんびりした見た目の裏にある驚くべきサバイバル能力に感心してしまった方も多いのではないでしょうか。
次に動物園でコアラを見かける機会や、「コアラのマーチ」を食べる機会があったら、ぜひ今回知った豆知識を家族や友人に話してみてくださいね。コアラのユニークな生態を知ってから観察すると、木の上で眠る姿がこれまで以上に愛おしく見えてくるはずです!
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