世界中で愛され続けている大人気ダークファンタジー作品『鋼の錬金術師(ハガレン)』。緻密に練り込まれたストーリーや魅力的なキャラクターたちの裏側には、作者の荒川弘先生が込めた驚くような裏設定や意外なモデルがたくさん隠されていることをご存じでしょうか。
今回は、主人公エドワードの身長にまつわる秘密やキャラクター名の元ネタから、連載当時の知られざる制作秘話、そして感動のラストに繋がる深掘りするとさらに面白い豆知識・トリビアまで、誰かに話したくなる雑学を30個厳選してご紹介します!
1.エドの名前の意外な由来
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主人公エドワード・エルリックの「エドワード」という名前は、ティム・バートン監督の映画『シザーハンズ』の主人公から名付けられています。この映画の主人公は両手が金属製のハサミでできた人造人間という設定で、作者の荒川弘先生が大好きな作品なのだそうです。片腕が鋼の義手(機械鎧)であるエドのキャラクター像には、この映画の主人公のイメージが大きく影響を与えています。
2.エドの背が低い本当の理由
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作中でいつも「豆」や「チビ」とからかわれ、本人が猛烈に怒っているエドの低身長には、単なる体質ではない切実な理由があります。大嫌いな牛乳を飲まないことや、重すぎる機械鎧が体に負担をかけていることに加え、真理の扉の向こうにあるアルの肉体へ栄養が送られているためです。エドがたくさん食べても、2人分の体を維持するためにエネルギーが使われていたという感動的な伏線になっています。
3.エドがよく眠る隠れた伏線
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エドは物語の中で、大事な場面の前や移動中などによく居眠りをする姿が描かれています。一方で、鎧の体を持つ弟のアルフォンスは、魂を定着させてから一度も眠ることができません。実はこれも魂が混ざり合っている影響で、眠れないアルの睡眠までもエドが肩代わりしているからなのです。何気ない日常のコミカルな描写の中に、兄弟の強い繋がりを示す重要なヒントが隠されていました。
4.三つ編みとアホ毛の秘密
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エドのトレードマークといえば、頭頂部からピンと飛び出した一房のアホ毛と長い三つ編みです。エド本人は髪を伸ばしている理由を「切るのが面倒くさいから」と語っていますが、本当の裏設定は作者の荒川先生が単純に「三つ編み好き」だからなのだそうです。また、頭のアホ毛は作者いわく「アンテナ」とのことで、エドの感情に合わせてピョコピョコと動く可愛い演出にも使われています。
5.エドは88歳で大往生する
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コミックス14巻の特典ラフ画集では、荒川先生が「本気で考えている」というエドの未来のライフプランが公開されています。それによると、40代で頭髪の危機を感じてワカメとコンブを求めて東のシン国へ旅立ち、80歳でピナコばあちゃん並みに背が縮んだ後、88歳で家族に囲まれながら天寿を全うするのだそうです。過酷な旅を乗り越えたエドが、長生きして幸せな老後を送ると知ると心が温まりますね。
6.ホーエンハイムのモデル
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エルリック兄弟の父親であるヴァン・ホーエンハイムには、実在した歴史上の人物がモデルとして存在します。その人物とは、16世紀のヨーロッパで活躍したスイスの医師であり錬金術師のパラケルススです。彼の本名が「テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム」といい、作中で「奴隷二十三号」だったお父様が彼に付けた名前そのものとなっています。
7.アルの名前のモデル
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弟のアルフォンス・エルリックの名前にも、実在したフランスのオカルティストが関わっています。19世紀のヨーロッパで魔術復興の象徴的存在となった「エリファス・レヴィ」の本名がアルフォンス・ルイ・コンスタンという名前なのです。また、「エルリック」という兄弟の姓も、ファンタジー小説の古典『エルリック・サーガ』の主人公から取られており、随所に歴史や文学へのオマージュが散りばめられています。
8.軍人の名前は兵器が元ネタ
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作中の世界ではまだ飛行機が開発されていませんが、アメストリス軍の登場人物には実在の戦闘機や戦車の名前が多く使われています。例えばマスタング大佐は米軍の戦闘機「P-51マスタング」、ホークアイ中尉は早期警戒機「E-2ホークアイ」、ブラッドレイ大総統はアメリカの歩兵戦闘車「M2ブラッドレー」が由来です。ミリタリー好きの荒川先生ならではの遊び心が詰まったネーミングですね。
9.作者は北海道の実家農家
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『鋼の錬金術師』の作者である荒川弘先生は、男性のようなペンネームですが実は女性の漫画家です。さらに漫画家としてデビューする前は、北海道の広大な実家で7年間も酪農や農業に従事していたという異色の経歴を持っています。作中で自身の自画像を「メガネをかけた牛」として描いているのも実家が酪農家だったためで、この時の経験がハガレンの重厚な生命観のベースになっています。
10.9年間で一度も休載なし
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2001年から2010年まで約9年間にわたって連載された本作ですが、なんと完結するまで一度も休載がありませんでした。さらに驚くべきことに、荒川先生は連載中の2007年に第一子を出産しており、妊娠・出産を経ながらも「産休なし」で毎月原稿を上げたのです。しかも減ページすらなく、その間に別作品の連載やアニメの監修までこなしていたという、漫画界でも伝説的な鉄人エピソードとして語り継がれています。
11.機械鎧のリアルな描写の謎
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エドが装着している鋼の義手・義足「機械鎧(オートメイル)」は、神経と接続する仕組みやメンテナンスの苦労などが驚くほどリアルに描かれています。これは荒川先生が漫画家になる前、リハビリセンターで交通整理のアルバイトをしていた経験が活かされているからです。そこで実際に義手や義足を使っている方々と接して得た知識が、単なるファンタジーに留まらない説得力を生み出しました。
12.読み切り版は水戸黄門風
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連載が始まる前に構想されていた読み切り版のストーリーは、現在の重厚な物語とは少し違うテイストでした。旅をするエルリック兄弟が砂漠の街に立ち寄り、そこで悪事を働く領主を懲らしめるという、勧善懲悪の『水戸黄門』のようなストーリーだったそうです。手に入れた賢者の石を街の人々のために使い切ってしまい、「また探せばいいさ」と旅立つ爽やかな結末が予定されていました。
13.2ヶ月弱で完成した世界観
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複雑に絡み合う伏線と壮大なスケールで描かれる本作ですが、連載決定から第1話が始まるまでの準備期間はわずか2ヶ月弱しかありませんでした。荒川先生はその短い期間で「等価交換」を軸にした独自の世界観を構築し、連載開始の時点で最終回までの構想をほぼ完成させていたといいます。だからこそ、全27巻という長編でありながら一切の矛盾や破綻がない見事な伏線回収が実現したのですね。
14.打ち切り用の構成もあった
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連載開始時点でラストまでの構想を固めていた荒川先生ですが、もし人気が出ずに連載が打ち切られた場合の対策もバッチリ考えていました。当時のインタビューによると、「5ヶ月終了バージョン」や「10ヶ月終了バージョン」の展開まであらかじめ複数パターン用意していたそうです。どんな状況になっても読者が満足できる結末を描き切るという、プロとしての凄まじい徹底ぶりがうかがえます。
15.少年漫画の王道を外した
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少年漫画といえば「友情・努力・勝利」の3つが王道とされていますが、荒川先生は本作をあえてその王道から外れた「邪道」として描いたと語っています。努力の結晶である母親の人体錬成が失敗するところから物語が始まり、エドが単独で敵を圧倒して勝利する場面もあえて少なくしているのです。最強ポジションをマスタング大佐たちに譲り、周囲の大人と共闘して泥臭く前に進む姿が逆に多くの読者の心を掴みました。
16.等価交換とバブル経済
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「何かを得るためには同等の代価が必要」という等価交換の法則について、荒川先生は日本のバブル経済と重なる部分があると語っています。北海道の農家で暮らしながら都会のバブル景気を外から見ていた先生は、「これほど大きな動きが代償なしに終わるはずがない」と不自然さを感じていたそうです。分不相応なものを求めれば必ず揺り戻しが来るという感覚が、人体錬成のリバウンドという設定に反映されています。
17.ニーナの悲劇の元ネタ
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作中で最も衝撃的なエピソードとして知られる、ショウ・タッカーが娘のニーナと愛犬を合成獣(キメラ)にしてしまう悲劇。このお話は、荒川先生が酪農の現場で目にした「クローン牛」に対する強い違和感と恐怖から生まれたものでした。当時のクローン牛は生後間もない死亡率が非常に高く、人間の技術で生命を操作することの凄さと恐ろしさを表現するために描かれたエピソードだったのです。
18.ホムンクルスは七つの大罪
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エドたちの前に立ちはだかる人造人間(ホムンクルス)の7人には、キリスト教における「七つの大罪」の名前がそのまま付けられています。傲慢(プライド)、色欲(ラスト)、暴食(グラトニー)、嫉妬(エンヴィー)、強欲(グリード)、怠惰(スロウス)、憤怒(ラース)の7つで、「お父様」が自身の人間的な感情を切り離して生み出した存在です。それぞれが自分の名前通りの性格や行動原理を持っているのも大きな特徴です。
19.ホムンクルスと皮肉の最期
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七つの大罪の名を持つホムンクルスたちは、自分の司る「罪」とは正反対の、皮肉な最期を迎えるように描かれています。例えば、色欲のラストは女好きのマスタング大佐に焼き尽くされ、強欲のグリードは仲間のために無欲の自己犠牲を選び、怠惰のスロウスは「死ぬのはめんどくさい」と全力で戦って消滅しました。それぞれのキャラクターの生き様と最期を照らし合わせると、物語の深みがより一層増してきます。
20.エンヴィーの予定外の最期
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ヒューズ中佐を殺害したエンヴィーに対して、荒川先生自身もマスタング大佐に強く感情移入し、当初は「けちょんけちょんに叩きのめすラスト」を用意していました。しかし実際に執筆を進めると、ホークアイやエドたちが作者の意図を超えて大佐を止めに入ったといいます。結果として、人間を見下していたエンヴィーが「人間に嫉妬していた自分」を認めて自害するという、屈指の名シーンが生まれました。
21.ハボックが生き残った理由
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マスタング大佐の頼れる部下であり、くわえタバコが似合うジャン・ハボック少尉。実は当初のプロットでは、ラストとの戦いで命を落とす予定のキャラクターでした。しかし担当編集者から「生かすことでもっと大きな感動を与えられるかもしれない」と提案を受け、下半身不随になりながらも生き残る展開へと変更されたのです。再起を誓う彼の姿は、多くの読者に勇気を与えました。
22.作者に一番似ているキャラ
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インタビューで「ご自身に一番近いキャラクターは誰ですか?」と聞かれた荒川先生は、周囲からアメストリス軍の女将軍オリヴィエ・ミラ・アームストロングがまさに自分から出てくるキャラだと言われたそうです。感情論を排して冷徹なまでに合理的な判断を下すオリヴィエですが、荒川先生自身も連載が決まった瞬間にやりかけのRPGゲームをスパッとやめて以来一度も遊んでいないほど、優先順位の切り替えが早い合理主義者なのだとか。
23.脇役ヨキが優遇された理由
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第1巻の炭鉱の街のエピソードで悪徳領主として登場し、その後まさかの再登場を果たして最終決戦まで同行したヨキ。最初はすぐに退場するモブの予定でしたが、荒川先生が「特別な力を持たない一般人が頑張る姿が好き」という理由から、ついつい出番を増やしてしまったそうです。小狡くて情けないけれど、いざという時に車でプライドに突っ込むなど、読者が一番共感しやすい愛されキャラへと成長しました。
24.錬成陣の元ネタはグルグル
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本作で錬金術を発動する際に描かれる緻密な「錬成陣」。実はこのアイデアのベースには、荒川先生がデビュー前にアシスタントを務めていた衛藤ヒロユキ先生の大人気ギャグファンタジー漫画『魔法陣グルグル』の影響が少なからずあるそうです。荒川先生はパーフェクトガイドブックのインタビューでこの事実を明かしており、師匠の作品から受けた刺激がハガレンの代名詞とも言える設定に繋がっていました。
25.懐中時計の10月3日の意味
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エドが肌身離さず持っている国家錬金術師の銀時計。その蓋の裏には「Don't forget 3.Oct.10(10年10月3日を忘れるな)」という文字が刻まれています。この日はエルリック兄弟が帰る場所をなくす覚悟で自分の家を焼き払い旅立った決意の日です。毎年10月3日になると、世界中のハガレンファンがSNSなどでこの日付を投稿し、兄弟の旅立ちをお祝いするのが恒例行事になっています。
26.最終回掲載号が完売の伝説
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2010年6月に発売された『月刊少年ガンガン』7月号に最終回が掲載された際、出版社のスクウェア・エニックスは普段より発行部数を2割も増やして対策していました。ところが発売直後に全国の書店から雑誌が消え、異例の完全完売となって買えないファンが続出する事態となったのです。そのため、2ヶ月後の同年9月号に「最終回をもう一度そのまま再掲載する」という、漫画雑誌の歴史でも極めて珍しい神対応が行われました。
27.アニメが2度作られた理由
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『鋼の錬金術師』は2003年版と2009年版の2回にわたってテレビアニメ化されています。2003年版が放送された当時はまだ原作が連載の途中だったため、荒川先生が「根っこのテーマさえ外れなければオリジナルでOK」と快諾し、アニメ独自の重厚な結末が描かれました。その後、原作が完結に向かってから、原作のストーリーを最後まで忠実に描く2009年版『FULLMETAL ALCHEMIST』が制作され、1つの作品で2つの名作アニメが誕生したのです。
28.アニメ制作への2つの注文
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2009年版のアニメが制作される際、原作者の荒川先生からアニメスタッフへたった2つだけお願いしたルールがありました。1つ目は命の重みを扱う作品として「登場人物のセリフで絶対に『死ね』と言わせないこと」、そして2つ目はリアリティを保つために「どれほど錬金術が便利でも空は飛ばないこと」です。激しいバトルシーンでもキャラクターが「死ね」と言わないのは、先生の強い信念が守られているからなのですね。
29.英語タイトルの和製英語
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本作の英語タイトルであり、2009年版アニメの副題にもなっている『FULLMETAL ALCHEMIST』。実は英語圏の文法としては「Full Metal」と単語を2つに分けるのが正しく、1単語に繋げた「Fullmetal」は本作独自の造語(和製英語)にあたります。しかし作品が世界中で8000万部を超える大ヒットを記録したことで、今では海外のファンの間でも「Fullmetal=ハガレン」として完全に定着しています。
30.プロポーズが等価交換違反
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物語のラストで、旅立つエドがウィンリィに「俺の人生半分やるからおまえの人生半分くれ!」と等価交換の法則になぞらえてプロポーズする名場面。これに対しウィンリィは「半分どころか全部あげるわよ」と返し、エドが「等価交換の法則が嘘っぱちだった」と照れ笑いする結末を迎えます。すべてを等価交換で考えていた少年が、人の心や愛は計算式では測れないと気づく、最高のハッピーエンドですね。
まとめ
『鋼の錬金術師』に隠された30個の雑学や裏設定をご紹介しましたが、いかがでしたか?何気ないキャラクターの癖や名前に込められたモデル、そして荒川弘先生の農業経験から生まれた深い死生観を知ることで、作品の世界観がこれまで以上に立体的で魅力的に見えてくるのではないでしょうか。
連載開始からわずか2ヶ月弱で緻密なプロットが組まれ、休載なしで完結まで駆け抜けた本作には、何度読み返しても新しい発見があります。ぜひ今回ご紹介した面白いトリビアや伏線の数々を思い出しながら、もう一度コミックスやアニメでエルリック兄弟の旅路を楽しんでみてくださいね!
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