おでんや豚汁、煮物など、日本の食卓に欠かせない名脇役といえば「こんにゃく」ですよね。スーパーで手頃な価格で買えて、いつでも身近にある食材ですが、実は原料の正体や意外な歴史など、驚くような秘密がたくさん隠されているのをご存知でしょうか。
今回は、栄養やカロリーの仕組みから、思わず誰かに出題したくなるクイズ向きの豆知識まで、こんにゃくがもっと好きになる面白い雑学を30個厳選してご紹介します。明日からの食事がさらに楽しくなるトリビアを、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.約97%が水分でできている

独特の弾力と噛みごたえがあるこんにゃくですが、その成分のほとんどは水でできています。なんと全体の約96〜97%が水分で、残りの約3%が食物繊維などの成分なのです。ほぼ水と同じ割合なのに、液体にならずにあのプルプルとした固さを保っているのは不思議ですよね。主成分である「グルコマンナン」という食物繊維がたっぷりの水を抱え込んで固まる性質を持っているため、あの独特な食感が生まれています。
2.原料はサトイモ科の植物

白滝や刺身こんにゃくなどの見た目から、海藻の仲間だと思っている方も少なくありません。しかし、こんにゃくの原料は海で採れるものではなく、畑で育つサトイモ科の植物「こんにゃく芋」という立派な芋類です。大きな丸い塊茎(かいけい)と呼ばれる地下の芋の部分をすりおろしたり、乾燥させて粉にしたりして作られています。海の幸ではなく山の幸からあのぷるぷるした食品が作られているのは、意外なギャップですよね。
3.生の芋は毒があり食べられない

じゃがいもやサトイモのように、こんにゃく芋もそのまま蒸したり焼いたりして食べられそうに思えますよね。ところが、生のこんにゃく芋には「シュウ酸カルシウム」という針状の結晶が含まれており、そのまま食べると口の中が激しく痛むため危険です。この強烈なえぐみや刺激を取り除くために、芋をすりおろしてアルカリ性の水溶液(灰汁や水酸化カルシウム)を加えて加熱するという、先人の知恵が詰まった製法が生み出されました。
4.英語ではデビルズ・タンと呼ぶ

海外でこんにゃくを紹介するとき、英語では「Konjac(コンジャック)」のほかにもユニークな別名で呼ばれています。それは「Devil's tongue(悪魔の舌)」や「Elephant yam(象のヤムイモ)」という驚きの名前です。こんにゃく芋は数年に一度だけ非常に奇妙な形の花を咲かせるのですが、その赤紫色の花びらと長く突き出た先端が、まるで悪魔が舌を出しているように見えることからこのインパクト抜群な名前がつきました。
5.黒い粒の正体は海藻のひじき

スーパーの売り場には「白いこんにゃく」と「黒いこんにゃく」の2種類が並んでいますよね。昔のこんにゃくは生の芋を皮ごとすりおろして作っていたため、皮の破片が混ざって自然と黒っぽい色をしていました。しかし現在は精製された白い「こんにゃく粉」から作るのが主流になったため、昔ながらの黒っぽい見た目を再現するために「ひじき」や「アラメ」などの海藻粉末を混ぜて黒く色付けしているのです。
6.最初は薬として日本に伝わった

こんにゃくの原産地はインドシナ半島などの東南アジア周辺といわれています。日本へは縄文時代に伝わったという説や、飛鳥時代に仏教とともに中国・朝鮮半島経由で渡来したという説があります。当時は誰でも食べられる日常の食材ではなく、お腹の調子を整える貴重な「医薬」として貴族や僧侶の間で大切に扱われていたそうです。庶民の食卓に広く定着したのは、保存や運搬の技術が進んだ江戸時代になってからのことでした。
7.別名は「胃のほうき」

日本では古くから、こんにゃくのことを「胃のほうき」や「腸の砂おろし」と呼ぶ風習があります。こんにゃくに含まれる食物繊維のグルコマンナンは、人間の消化酵素では分解されずに胃や腸をそのまま通過していきます。その際、体内の余分な老廃物や有害物質を絡め取って外へ排出してくれる働きがあることから、お腹の中をきれいに掃除してくれる食材として重宝されてきました。現代の栄養学から見ても理にかなった呼び名ですね。
8.冷凍するとお肉のような食感に

通常、こんにゃくは冷凍保存に向かない食材とされています。なぜなら、凍らせてから解凍すると内部の水分が抜けてしまい、元のぷるぷるした弾力が完全に失われてしまうからです。しかし近年ではこの性質を逆手に取り、あえて一度冷凍して水分を抜くことで、スポンジ状になった繊維をお肉のような噛みごたえに変える調理法が大人気となっています。味が染み込みやすくなり、唐揚げや焼肉の代用としても大活躍します。
9.5月29日はこんにゃくの日

カレンダーの中にはさまざまな食べ物の記念日がありますが、こんにゃくにも公式な記念日が存在します。全国こんにゃく協同組合連合会によって、「こ(5)んに(2)ゃく(9)」の語呂合わせから5月29日が「こんにゃくの日」に制定されました。さらに、本格的なこんにゃく芋の種植えが5月に行われることや、夏に向けて健康やダイエットへの関心が高まる時期であることも、この日が選ばれた理由となっています。
10.収穫まで約3年もかかる

多くの野菜や芋類は春に植えて秋に収穫できますが、こんにゃく芋は一人前の大きさになるまでに大変な年月がかかります。なんと、小さな種芋から育て始めて、出荷できるサイズになるまで約3年もの歳月が必要なのです。しかも寒さや湿気に弱いため、毎年秋に一度掘り起こして冬の間は温度管理された屋内で保管し、翌春にまた畑へ植え直すという非常に手間のかかる作業を繰り返して育てられています。
11.生産量の約9割が群馬県

日本のこんにゃく作りを支えている圧倒的なナンバーワン産地といえば群馬県です。農林水産省の統計でも、国内で収穫されるこんにゃく芋のなんと約9割以上が群馬県産という圧倒的なシェアを誇っています。水はけのよい火山灰土壌と、赤城山や榛名山周辺の昼夜の寒暖差、そして日照時間の長さが、デリケートなこんにゃく芋の栽培にぴったり合っているため、日本一のこんにゃく大国となりました。
12.風船爆弾の接着剤に使われた

第二次世界大戦中の日本では、こんにゃくが意外な軍事兵器の材料として使われていました。和紙を何枚も貼り合わせて気球を作り、偏西風に乗せてアメリカ本土へ飛ばす「風船爆弾」という兵器があったのですが、和紙同士を隙間なく強力に貼り合わせるための接着剤として「こんにゃく糊」が採用されたのです。そのせいで戦時中は食用のこんにゃくが市場から姿を消し、国の重要物資として厳しく管理されていたという歴史があります。
13.包丁より手でちぎる方が美味

煮物やお吸い物を作るとき、こんにゃくを包丁で綺麗に切るよりも、手やスプーンでちぎる方が良いとよく言われますよね。これにはちゃんとした科学的な理由があります。手で不規則にちぎることで、包丁でスパッと切ったときに比べて断面の表面積が大幅に増え、凹凸にだし汁や調味料がしっかり絡みつくようになるのです。少し手間を省けるだけでなく、味染みが格段に良くなる一石二鳥の調理テクニックです。
14.しらたきと糸こんにゃくの違い

すき焼きや肉じゃがに欠かせない「しらたき」と「糸こんにゃく」ですが、現在では基本的に同じものを指しています。もともとは江戸を中心とする関東では「しらたき」、大阪を中心とする関西では「糸こんにゃく」と呼び分けられていたのが始まりです。かつては製造方法や太さに違いがありましたが、現代の食品表示基準では統一されており、地域やメーカーの習慣によって呼び名や太さが少しずつ異なっています。
15.袋の水は捨ててはいけない

市販のこんにゃくを開封したとき、袋の中に入っている独特の匂いがする液体を全部捨ててしまっていませんか。実はあの水はただの水道水ではなく、雑菌の繁殖を防ぎ、こんにゃくの弾力や鮮度を保つための「アルカリ性の保存液(水酸化カルシウム水溶液)」なのです。一度に使い切らずに冷蔵庫で保存する場合は、水道水に入れ替えるよりも、もともと入っていた袋の水に浸したまま密閉しておく方がずっと長持ちします。
16.ごぼうと一緒に煮ると緑色に

筑前煮や豚汁を作ったとき、こんにゃくの周りがなぜか青緑色に変色して驚いた経験はありませんか。これはカビや腐敗ではなく、ごぼうに含まれるポリフェノール(クロロゲン酸)と、こんにゃくのアルカリ成分が化学反応を起こして変色した現象です。見た目は少しびっくりしてしまいますが、食べてしまっても体にはまったく害はありません。こんにゃくをしっかり下茹でしてアクを抜いておくと、この変色を防ぐことができます。
17.花は数年に一度しか咲かない

こんにゃく芋は非常にユニークな生態を持っており、種芋から育てて4〜5年ほど経ち、十分に栄養を蓄えた株にだけ花が咲きます。しかも、一生に一度だけ花を咲かせると、親芋はすべてのエネルギーを使い果たして枯れてしまうという儚い性質を持っています。さらに驚くべきことに、その花からは腐ったお肉のような強烈な匂いが放たれ、ハエなどの虫をおびき寄せて受粉を手伝わせるという生存戦略をとっています。
18.玉こんにゃくは山形県の名物

ピンポン玉のような丸い形をしたこんにゃくを串に刺し、醤油だしでじっくり煮込んだ「玉こんにゃく」は、東北地方を代表するソウルフードです。特に山形県では「玉こん」の愛称で親しまれており、お祭りや観光地だけでなく、運動会や地域の行事、さらには家庭の普段の食卓でも頻繁に登場するほど県民に深く愛されています。からしを少しつけて熱々を頬張るスタイルが定番で、山形県民の1世帯あたりの消費量もトップクラスです。
19.江戸時代に粉の製法が発明

生のこんにゃく芋は水分が多くて重いうえに傷みやすいため、昔は収穫できる秋から冬にかけての時期と、産地の周辺でしか食べられない季節限定の食材でした。その常識を覆したのが、江戸時代中期の享保年間に常陸国(現在の茨城県)の中島藤右衛門という人物が発明した「こんにゃく芋を乾燥させて粉にする技術」です。この大発明によって長期保存と全国への輸送が可能になり、一年中どこでもこんにゃくが食べられるようになりました。
20.欧米ではダイエット麺で人気

かつて欧米では「食感だけの奇妙な食べ物」として敬遠されがちだったこんにゃくですが、近年では空前の健康ブームに乗って大注目を集めています。特にしらたきは「ミラクルヌードル」や「ゼロヌードル」という名前で呼ばれ、糖質制限やグルテンフリーのパスタ代替品として大人気です。ハリウッドセレブやモデルが体型維持のために取り入れたことで知名度が急上昇し、日本から海外への輸出量も年々増えています。
21.美肌成分セラミドが豊富

カロリーが低くて食物繊維が豊富なだけでなく、こんにゃくには美容に嬉しい成分も隠されています。それが、肌の潤いを保ちバリア機能を高める働きを持つ「グルコシルセラミド」です。特に精製されたこんにゃく粉ではなく、生の芋をすりおろして作る「生芋こんにゃく」には、お米や小麦の何倍ものセラミドが含まれていることがわかっています。お腹の調子を整えるだけでなく、乾燥対策としても頼もしい食材なのですね。
22.赤こんにゃくは滋賀県の名物

白や黒のこんにゃくが一般的ですが、滋賀県の近江八幡市周辺では、まるでレバーや赤いお刺身のような「赤こんにゃく」が普通に食べられています。この鮮やかな赤色は唐辛子ではなく、食品添加物である「三二酸化鉄(鉄分)」を使って染められているため、辛さはまったくありません。一説には、派手好きな戦国武将・織田信長が「こんにゃくまで赤く染めさせた」ことが始まりだというユニークな伝承も残されています。
23.洗顔スポンジとしても使われる

こんにゃくの使い道は食べるだけにとどまりません。江戸時代から伝わる伝統的な技術として、こんにゃくを凍結・乾燥させて作った「こんにゃくスポンジ」という洗顔アイテムがあります。お湯に浸して柔らかくすると、こんにゃく特有のきめ細かい繊維と保水膜が、肌を傷つけずに毛穴の汚れや古い角質を優しく洗い流してくれるのです。もともとは産まれたばかりの赤ちゃんの肌を洗うために考案された、日本ならではの優しい知恵です。
24.カルシウムが意外と含まれる

「こんにゃくには栄養がまったくない」と思われがちですが、実は日本人に不足しがちなミネラルであるカルシウムがしっかりと含まれています。板こんにゃく100グラムあたりに約40ミリグラムものカルシウムが含まれており、製造工程で固めるために加える「水酸化カルシウム」がそのまま栄養分として体に取り込まれやすい形で残っているのです。しかも酸に溶けやすい性質があるため、胃の中で吸収されやすいというメリットもあります。
25.独特な臭みは塩揉みで消える

こんにゃく特有のツンとする匂いが苦手という方も多いですよね。あの匂いは原料のこんにゃく芋に含まれる成分と、固めるために使うアルカリ性の凝固剤が反応して発生する「トリメチルアミン」という物質が原因です。調理の前に少量の塩を振って軽く揉み込み、出てきた水分と一緒にサッと下茹ですることで、内部の臭み成分が抜けて驚くほど食べやすくなります。同時に身が引き締まって味も染み込みやすくなりますよ。
26.漢字の「蒟蒻」は草冠がつく

普段はひらがなで書くことが多い「こんにゃく」ですが、漢字では「蒟蒻」と書きます。どちらの漢字もあまり見慣れない難しい字ですが、上部に「くさかんむり(艹)」がついているのは、こんにゃくが植物(草本)から作られることを表しているからです。中国から伝わった漢名がそのまま使われており、「蒟」も「蒻」もそれぞれサトイモ科の植物やその加工品を意味する漢字として古くから辞書に載っています。
27.100gで約5〜7kcal

ダイエット食品の王様として知られるこんにゃくですが、実際のカロリーの低さは群を抜いています。一般的な板こんにゃくの場合、100グラムあたりのエネルギーはわずか5〜7キロカロリー程度しかなく、1枚(約250グラム)を丸ごと食べても15キロカロリー前後に収まります。これは主成分のグルコマンナンが人間の体内では消化・吸収されないためで、しっかり噛んで満腹感を得られるのに太りにくい理想的な食材といえます。
28.こんにゃくゼリーは別の食感

お弁当の保冷剤代わりやおやつとして大人気の「こんにゃくゼリー」ですが、普段のおかずに使う板こんにゃくとは作り方が少し異なります。板こんにゃくはアルカリ性の凝固剤を使ってしっかり固めますが、こんにゃくゼリーは果汁などの酸味を活かすため、こんにゃく粉に海藻由来のゲル化剤などを組み合わせて弾力を出しているのです。そのため、特有の臭みがまったくなく、フルーティーで強いコシのある食感に仕上がっています。
29.江戸時代には専門の料理本も

精粉技術の発明によってこんにゃくが庶民に広まった江戸時代後期には、なんとこんにゃく料理だけをまとめた専門のレシピ本まで出版されました。1846年(弘化3年)に刊行された『蒟蒻百珍(こんにゃくひゃくちん)』という本には、定番の田楽だけでなく、うなぎの蒲焼や刺身に似せた創作料理など約80種類ものレシピが紹介されています。当時の江戸っ子たちも、ヘルシーなこんにゃくを工夫して楽しく味わっていたことがわかりますね。
30.食べ過ぎるとお腹が張ることも

お腹の掃除をしてくれる体に優しいこんにゃくですが、一度にたくさん食べ過ぎるのには注意が必要です。こんにゃくに含まれる不溶性の食物繊維は水分を吸って膨らむ性質があるため、噛まずに大量に食べると胃腸に負担がかかり、お腹が張ったり逆に便秘や腸閉塞の原因になったりすることがあるのです。健康や美容のために取り入れるときは、よく噛んで適切な量を美味しく味わうのが一番のポイントです。
まとめ
普段なにげなく食べているこんにゃくにも、3年かけて育つ栽培の苦労や、江戸時代の画期的な発明、そして海外での意外な呼び名など、知れば知るほど面白い歴史や科学の秘密がたくさん詰まっていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
次にスーパーでこんにゃくを手に取るときや、おでんや煮物を囲むときには、ぜひ今回ご紹介した豆知識やクイズを家族や友人にシェアして、楽しい食事の時間を過ごしてみてくださいね。
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