夏の風物詩として食卓を彩る「とうもろこし」は、子どもから大人まで幅広い世代に愛されている大人気の食材ですよね。茹でたての甘い粒をガブリとかぶりつく瞬間はたまらない幸せですが、実はその1粒1粒やフサフサとした「ひげ」には、驚くほど奥深い植物の秘密や面白い豆知識がたくさん隠されているのをご存知でしょうか。
今回は、思わず誰かに出題したくなるクイズネタから、歴史や栄養、美味しい見分け方まで、とうもろこしの雑学をたっぷり30個厳選してご紹介します。知れば知るほど明日の食卓が楽しくなるトリビアばかりですので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
1.粒の数は必ず偶数

とうもろこしを輪切りにして周囲に並んでいる粒の列を数えてみると、どれをとっても不思議と偶数になっています。これは植物として成長する際、実のもとになる細胞が必ず2つずつペアで分裂するという性質を持っているからです。そのため、1本のとうもろこし全体にある粒の合計数も、基本的には偶数(まれに受粉不良で抜ける場合を除く)になります。一般的に14列から18列ほどのものが多く、1本につき約600粒前後の実がぎっしり詰まっています。
2.ひげと粒は同じ数

皮をむくときに少し邪魔に感じてしまう先端の「ひげ」ですが、実は粒の1つ1つと直接つながっています。あのひげの正体は植物でいう「めしべ(絹糸)」にあたり、1本のひげが受粉することで1粒の実が育つ仕組みになっているのです。つまり、ひげの本数と中に入っている粒の数はまったく同じということになります。スーパーで選ぶ際は、ひげがふさふさとたくさん生えているものを選ぶと、中まで実がぎっしり詰まった当たりに出会えますよ。
3.野菜か穀物か問題

とうもろこしはスーパーの青果コーナーに並んでいるため「野菜」と思われがちですが、世界的には米や小麦と並ぶ「世界三大穀物」の1つとして扱われています。実は、完熟する前に収穫する甘味種は「野菜」、乾燥させて収穫するものは「穀物」というように、収穫のタイミングや用途によって分類が変わるのです。私たちが普段茹でて食べている「スイートコーン」は未熟な状態で収穫したもので、農業の分類でも「果菜類(野菜)」に分けられています。
4.漢字で玉蜀黍と書く

とうもろこしを漢字で書くと「玉蜀黍」という少し難しい字になります。もともと中国から伝わった「モロコシ(蜀黍)」というイネ科の植物に似ていて、黄金色の実が宝石の「玉(ぎょく)」のように美しく並んでいることからこの漢字が当てられました。また、名前の先頭についている「とう(唐)」には「外国から渡ってきた新しいもの」という意味があります。かつて日本人が異国の珍しい作物に驚き、美しい名前をつけた歴史がうかがえますね。
5.地方で違う面白い別名

日本各地には、とうもろこしを指すユニークな方言や別名がたくさん存在しています。たとえば北海道や東北地方では「とうきび」、四国や中国地方の一部では「なんばん」や「こうらいきび」などと呼ばれています。これらはいずれも「唐(中国)」「南蛮(ポルトガルや東南アジア)」「高麗(朝鮮半島)」など、外国から伝わってきたキビという意味が込められた言葉です。旅先の直売所などで呼び方の違いを探してみるのも楽しいですよ。
6.原産地は中南米

名前に「唐(中国)」とついているため中国原産だと誤解されやすいのですが、本当の故郷ははるか遠くのアメリカ大陸(メキシコや中南米周辺)です。紀元前5000年以上も前から栽培されていた非常に古い作物で、マヤ文明やアステカ文明では「神様から授かった聖なる主食」として崇められていました。15世紀末にコロンブスがアメリカ大陸に到達したことをきっかけにヨーロッパへ持ち帰られ、そこから瞬く間に世界中へと広まっていったのです。
7.日本伝来は戦国時代

日本に初めてとうもろこしがやってきたのは、織田信長や豊臣秀吉が活躍していた戦国時代の1579年(天正7年)頃と言われています。当時、長崎や四国にやってきたポルトガル人によって種がもたらされたのが最初期の記録です。しかし、当時の品種は現在のような甘いスイートコーンではなく、粒が硬くて甘みも少ない飼料用に近いものだったため、全国的な人気野菜にはなりませんでした。本格的に美味しいスイートコーンが広まったのは、明治時代に北海道の開拓が始まってからです。
8.野生では生きられない

植物の多くは種が風で飛んだり動物に運ばれたりして自然に増えますが、とうもろこしは人間の手助けがないと野生では絶滅してしまう珍しい植物です。なぜなら、実(種)が分厚い皮に何重にも包まれているため、自然に種が地面へこぼれ落ちることができないからです。仮に穂ごと地面に落ちても、数百個の種が一箇所で密集して発芽するため、栄養を奪い合ってすべて枯れてしまいます。何千年もの間、人間が皮をむいて種をまくことで共に生き延びてきたパートナーなのです。
9.てっぺんの穂は雄花

とうもろこし畑を見ると、背の高い茎のてっぺんにススキの穂のようなものがついていますよね。あれは「雄花(おばな)」と呼ばれる部分で、風に乗って花粉を落とし、下の葉の付け根にある「ひげ(めしべ)」に受粉させる役割を担っています。つまり、1本の株の中に「雄花」と「雌花」の両方が別々に咲くという面白い特徴があるのです。てっぺんから降ってきた花粉がひげの1本1本にキャッチされることで、あの美味しい実が育っていきます。
10.一番上の実が一番甘い

1本の茎には通常2〜3個のとうもろこしの実(雌穂)がつきますが、農家さんは一番上にできた実だけを残して、下の実は小さいうちに摘み取ってしまいます。これは、太陽の光をたっぷり浴びる一番上の実に株全体の栄養と甘みを集中させるためです。この作業は「摘果(てっか)」と呼ばれ、大きなとうもろこしを育てるために欠かせません。ちなみに、このときに途中で摘み取られた小さな若い実こそが、中華料理などでおなじみの「ヤングコーン」なのです。
11.ヤングコーンの正体

サラダや八宝菜に入っているシャキシャキとした「ヤングコーン(ベビーコーン)」は、特別なミニサイズの品種だと思っている方も多いのではないでしょうか。実はあれは普通のとうもろこしと同じ品種で、1番上の実を大きく育てるために間引かれた「2番目・3番目の若い実」を収穫したものです。まだ受粉する前の赤ちゃん状態なので、芯まで柔らかく丸ごと食べることができます。皮つきのまま売られているものは、まわりのヒゲまで甘くて絶品ですよ。
12.ポップコーンは別品種

生のスイートコーンを乾燥させてフライパンで炒っても、映画館のようなふわふわのポップコーンにはなりません。とうもろこしには大きく分けていくつかの種類があり、ポップコーンには「爆裂種(ばくれつしゅ)」という専用の品種が使われているからです。爆裂種は粒の外側の皮が非常に硬く、加熱したときに内部の水分が水蒸気となって限界まで膨張し、一気に破裂してあの形になります。いつもの甘いとうもろこしを炒っても焦げるだけなので注意してくださいね。
13.夜明け前に収穫する理由

美味しいとうもろこしを作る農家さんは、まだ真っ暗な夜明け前や早朝にヘッドライトをつけて収穫作業を行います。というのも、とうもろこしは昼間に太陽の光で光合成をして糖分を作り、夜間の涼しい時間帯にその糖分を実へと蓄える性質があるからです。日が昇って気温が上がると、今度は実の糖分をエネルギーとして消費し始めてしまいます。そのため、1日のうちで最も甘みがピークに達する早朝に収穫するのが鉄則とされているのです。
14.収穫後から甘みが減る

「とうもろこしは畑にお湯を沸かして待て」という格言があるほど、収穫した瞬間から猛スピードで鮮度と甘みが落ちていきます。収穫後も実は呼吸を続けており、常温で放置すると1日で糖分の半分近くがデンプンに変わって甘みが消えてしまうのです。そのため、買ってきたらすぐに調理するか、すぐに食べない場合でも先に茹でたりレンジで加熱したりして、糖分が変化する酵素の働きを止めてから冷蔵・冷凍保存するのが美味しさを守る秘訣です。
15.ひげは漢方薬になる

いつもゴミ箱に捨ててしまいがちな「とうもろこしのひげ」ですが、実は中国や韓国では古くから重宝されてきた優秀な健康食材です。乾燥させたひげは「南蛮毛(なんばんもう)」という立派な生薬(漢方)として扱われ、むくみ解消に役立つカリウムが豊富に含まれています。香ばしく焙煎して「コーン茶(とうもろこしひげ茶)」にしたり、ヤングコーンのひげを素揚げやかき揚げにしたりすると、ほんのり甘くて美味しく食べられますよ。
16.皮が消化されない理由

とうもろこしを食べた翌日、お腹の中で粒の皮がそのまま残っていたという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。これは決して胃腸が弱っているわけではなく、粒の外皮が「セルロース」という人間の消化酵素では分解できない不溶性食物繊維でできているためです。消化されないというと悪者に聞こえますが、実は腸の壁を刺激して便通を良くしたり、腸内の善玉菌を増やしたりする「お腹の掃除屋さん」として非常に大切な役割を果たしています。
17.芯に栄養と旨味がある

粒をきれいに削ぎ落とした後の「芯」にも、実は驚くほどの旨味と栄養が詰まっています。特に粒の付け根にある白い「胚芽(はいが)」の部分には、疲労回復を助けるビタミンB群や鉄分、旨味成分であるグルタミン酸がたっぷり集中しているのです。とうもろこしご飯を炊くときに「芯」も一緒に入れて炊き込むと、芯から極上の甘いダシが染み出して、粒だけで炊くよりも何倍も香り高く美味しいご飯に仕上がります。
18.白い品種の意外な注意点

近年、「ピュアホワイト」などの雪のように真っ白でメロン並みに甘い品種が大人気を集めていますよね。ところが、この白いとうもろこしを育てるときは、近くに黄色い品種の畑があると花粉が混ざってしまい、黄色い粒が混じってしまう「キセニア現象」が起きます。しかも、ただ色が黄色くなるだけでなく、白い品種特有のフルーティーな甘さや柔らかさまで変わってしまうため、農家さんは風向きを計算して畑を数百メートル離すなど大変な工夫をしています。
19.生産量日本一は北海道

日本のとうもろこし(スイートコーン)の都道府県別生産量ランキングでは、北海道が全国の約4割以上を占めてダントツの1位に輝いています。北海道がこれほど適している理由は、昼間は太陽をたっぷり浴びて暖かく、夜はグッと冷え込む「昼夜の寒暖差」が非常に大きいからです。夜間の気温が低いととうもろこしが呼吸で糖分を消費する量が減るため、実の中に驚くほどたくさんの甘みを蓄えた絶品のとうもろこしが育つのです。
20.世界最大の生産国は米国

世界に目を向けると、とうもろこしの生産量ナンバーワンは圧倒的な差でアメリカ合衆国です。アメリカの広大な中西部に広がる大産地は「コーンベルト(とうもろこし地帯)」と呼ばれ、世界全体の生産量の約3割以上を1カ国で生み出しています。ただし、アメリカで作られているものの多くは人間がそのまま食べるスイートコーンではなく、牛や豚などの家畜のエサ用(デントコーン)や、コーンスターチなどの加工用として世界中へ輸出されています。
21.車の燃料にも変身する

私たちが食べるイメージの強いとうもろこしですが、実は現代社会では「自動車を動かす燃料」としても大活躍しています。とうもろこしのデンプンを発酵させて作られる「バイオエタノール」は、ガソリンに混ぜて使う環境に優しい再生可能エネルギーとして世界中で普及しているのです。他にも、土に還るエコな「生分解性プラスチック」の原料や、お菓子の甘味料(果糖ぶどう糖液糖)、ビールの原料など、私たちの暮らしのあらゆる場所に姿を変えて潜んでいます。
22.美味しい見分け方のコツ

スーパーで甘くて新鮮なとうもろこしを見分けるには、3つのポイントをチェックするのがおすすめです。1つ目は外側の皮が濃い緑色でみずみずしいこと、2つ目は先端のひげがたっぷりと生えていて、色が濃い茶色(褐色)に熟していること、そして3つ目は手に持ったときにズッシリと重みがあることです。特にひげが茶色く縮れているものは受粉がしっかり完了して完熟しているサインなので、迷わず手に取ってみてくださいね。
23.レンチンは皮つきが正解

とうもろこしを家庭で一番手軽かつ美味しく調理する方法は、お湯で茹でるのではなく「薄皮を1〜2枚残したまま電子レンジで加熱する」ことです。たっぷりのお湯で茹でると水溶性のビタミンや甘みが溶け出してしまいますが、薄皮をつけたままレンチンすると皮がラップの役割を果たし、自身の水分だけでふっくら蒸し上がるからです。600Wのレンジで1本あたり約4〜5分加熱するだけで、旨味がギュッと凝縮されたお店のような仕上がりになりますよ。
24.保存は必ず立てて入れる

買ってきたとうもろこしをどうしても生のまま冷蔵庫で少しだけ保管したいときは、寝かせるのではなく「茎側を下にして立てた状態」で野菜室に入れるのが鉄則です。植物には自分が育っていたときと同じ向き(上向き)を保とうとする性質があり、横に寝かせると起き上がろうとして余計なエネルギー(糖分)を使ってしまうからです。ペットボトルを切ったケースなどに立てて入れるだけで、甘みの消耗を少しでも抑えることができます。
25.粒を綺麗に取る裏ワザ

とうもろこしを食べるとき、歯に皮が挟まったり粒の根元が芯に残ってしまったりして、きれいに食べられないことがありますよね。そんなときは、まず縦一列だけ手で粒をもぎ取り、空いたスペースに向かって隣の列の粒を親指の腹で倒すように押すと、根元の胚芽までポロポロと気持ちいいほどきれいに外れます。一番栄養がある根元の部分も余さず食べられますし、コーンバターやサラダを作るときにも包丁いらずでとても便利な裏ワザです。
26.宝石のような虹色の品種

とうもろこしといえば黄色や白がおなじみですが、世界にはまるで宝石箱のようにキラキラと輝く「グラスジェムコーン(虹色コーン)」という実在の品種があります。これはアメリカの農家さんが先住民由来の伝統品種を掛け合わせて生み出したもので、1つの穂の中にピンクや紫、青、エメラルドグリーンなど色とりどりの半透明な粒が並ぶ神秘的な姿をしています。遺伝子組み換えではなく自然交配で作られたもので、主にポップコーンやコーンミール(粉)にして食べられています。
27.メキシコの主食文化

原産地であるメキシコでは、現在でもとうもろこしは国民の魂ともいえる絶対的な主食です。乾燥させたとうもろこしを石灰水で煮てからすり潰し、薄く伸ばして焼いた「トルティーヤ」は、タコスをはじめとするあらゆるメキシコ料理に欠かせない存在となっています。ちなみに、この「石灰水で煮る」という伝統的な知恵には、硬い皮を柔らかくするだけでなく、カルシウムを補い、ビタミン不足(ペラグラ病)を防ぐという驚くべき科学的合理性があるのです。
28.コーンポタージュの秘密

自動販売機のホットドリンクで絶大な人気を誇る「コーンポタージュ缶」ですが、最後まで飲んだときに缶の底に粒が数個残ってしまい、悔しい思いをしたことはありませんか。実はメーカー側もこの問題を解決しようと、飲み口の下に小さな窪みをつけて粒が引っかからずに流れ出る「粒残りを防ぐ特殊構造の缶」を開発するほど情熱を注いでいます。もし底に残ってしまったときは、飲む前に軽く缶を回して中身を混ぜておくと、最後の一粒までスッと出てきやすくなりますよ。
29.札幌大通公園のとうきび

北海道・札幌市の中心にある大通公園で、春から秋にかけて香ばしい醤油の香りを漂わせる「とうきびワゴン」は、観光名物として有名ですよね。このワゴン販売の歴史は非常に古く、明治時代後半にはすでに大通公園周辺で焼きとうきびの屋台が並んでいたという記録が残っています。ただ焼くだけでなく、一度甘みを閉じ込めるために茹でてから特製の醤油ダレを塗って香ばしく焼き上げるスタイルは、100年以上愛され続ける北海道ならではの伝統の味です。
30.映画館の定番になった訳

映画館といえばポップコーンが定番ですが、なぜ数あるお菓子の中で選ばれたのでしょうか。きっかけは1930年代のアメリカ大恐慌時代にさかのぼります。当時、高級だった映画館が庶民向けにシフトした際、原価が非常に安くて誰でも買えるポップコーンが劇場の外で大ヒットしたのです。さらに、トーキー(音が出る映画)の普及によって「食べる音が映画の邪魔になりにくい」「暗い場所でも手元を見ずに食べられる」という利点が重なり、映画館の絶対的な王様へと定着しました。
まとめ
今回は、身近な夏野菜でありながら世界を支える大穀物でもある「とうもろこし」の雑学30選をお届けしました。「粒の数が必ず偶数になる理由」や「ひげの本数と粒の数が同じ」といった法則は、実際にとうもろこしを手に取ったときに思わず数えて確かめたくなる面白いトリビアばかりですよね。
美味しい見分け方や、皮つきのまま電子レンジで加熱する裏ワザ、芯まで活用する調理法などは、今日のお買い物や料理からすぐに実践できる知識です。ぜひ今年の夏は、家族や友人にとうもろこしクイズを出し合いながら、甘くてジューシーな旬の味覚をこれまで以上に楽しんでみてくださいね!
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