秋の味覚の代表格として、子どもから大人まで大人気の果物といえば「ぶどう」ですよね。巨峰やピオーネ、シャインマスカットなど、スーパーの果物コーナーに色とりどりの品種が並ぶと、ついつい手が伸びてしまうという方も多いのではないでしょうか。そのまま食べても、ワインやレーズンにしても美味しいぶどうですが、実は私たちが普段何気なく口にしている一粒一粒には、驚くほど奥深い歴史や科学のヒミツがたくさん詰まっています。
たとえば「一房の中で一番甘い場所はどこ?」「皮についている白い粉の正体は?」といった日常の素朴な疑問から、名前の由来や世界のびっくり記録まで、知れば知るほど面白いエピソードばかりです。そこで今回は、ぶどうをもっと美味しく楽しめる面白い豆知識やクイズに使える雑学30選をわかりやすくご紹介します。ぜひ最後まで読んで、家族や友人との会話のネタにしてみてくださいね。
1.一番甘いのは房の上部

ぶどうを食べるとき、どの粒から食べ始めるか迷ったことはありませんか。いちごやメロンなど多くの果物は「お尻(先端)」の方が甘いのですが、ぶどうは逆で枝に近い「肩(上側)」の部分が一番糖度が高いという特徴があります。これは、太陽の光を浴びて作られた栄養分が、枝に近い上の粒から順番に蓄えられて熟していくためです。下の方の粒から食べ進めて、最後に上の方の粒を食べると、最後まで甘く美味しく味わえますよ。
2.白い粉の正体は天然成分

ぶどうの皮の表面にうっすらとついている白い粉を見て、「農薬が残っているのでは?」「カビかな?」と心配になったことがある方もいるかもしれません。実はこの白い粉は、ぶどう自身が作り出した「ブルーム(果粉)」と呼ばれる天然の脂質成分です。雨水を弾いて病気を防いだり、実から水分が蒸発するのを防いで鮮度を保ったりする大切な役割を持っており、ブルームがしっかりついているものほど新鮮で美味しい証拠なのです。
3.世界には1万種類以上ある

日本のスーパーでよく見かけるぶどうは数種類〜十数種類ほどですが、世界に目を向けると想像を絶するほどの品種が存在します。生食用からワイン用、干しぶどう用まで含めると、なんと世界には10,000種類以上のぶどうの品種があるといわれています。日本国内で栽培されているものだけでも100種類を超えており、毎年のように新しい掛け合わせの品種が誕生している、とてもバリエーション豊かな果物なのです。
4.生産量の約8割はワイン用

日本ではぶどうといえば「生のままデザートとして食べる果物」というイメージが強いですよね。しかし、世界全体のぶどう生産量の内訳を見てみると、そのまま食べる生食用はごく一部で、世界で作られるぶどうの約7〜8割はワインなどの醸造用として栽培されています。残りはレーズン(干しぶどう)などの加工用と生食用に分かれており、世界的には「ぶどう=お酒や加工品の原料」としての存在感が圧倒的に大きいのです。
5.ワイン用は粒が小さく種あり

普段私たちが食べている大粒でジューシーなぶどうでワインを作ったら、さぞかし美味しいワインができそうに思えますよね。ところが、美味しいワインを作るための専用品種は、生食用とはまったく特徴が異なり、粒が小さくて種があり、皮が分厚く味がギュッと凝縮しているのが特徴です。生食用のぶどうは水分が多くて香りが穏やかなため、ワインにすると味が薄く水っぽくなってしまうのです。
6.ブドウ糖はぶどうから発見

疲れたときに脳のエネルギー源として摂取する「ブドウ糖(グルコース)」という栄養素は、なぜぶどうの名前がついているのでしょうか。これは18世紀末から19世紀初頭にかけて、ヨーロッパの化学者が実際に熟したぶどうの果汁からこの糖分を分離・発見したことが由来となっています。英語の「グルコース」を日本語に翻訳する際、発見の経緯にちなんで「葡萄(ぶどう)糖」と名付けられたのですね。
7.漢字「葡萄」は古代西域の音

「葡萄(ぶどう)」という漢字は、どちらも普段あまり見かけない難しい字ですよね。実はこの漢字には意味があるわけではなく、古代シルクロードの西域(フェルガナ地方など)でぶどうを指す言葉だった「バダウ(budaw)」などの発音に漢字を当てた音訳だとされています。それが中国を経由して日本に伝わり、当時の中国語の発音に近い「ぶどう」という呼び方がそのまま定着したというロマンあふれる歴史があります。
8.種なしぶどうは植物ホルモン

デラウェアや種なし巨峰など、種がなくて食べやすいぶどうはどのように作られているのでしょうか。「最初から種ができない品種なのでは?」と思われがちですが、多くは花の時期に「ジベレリン」という植物ホルモンの水溶液に房を浸す処理をして種をなくしています。ジベレリンはもともと植物が持っている成長ホルモンで、受粉する前にこの成分を与えると、種を作らずに実だけが大きく育つという性質を利用した技術なのです。
9.日本一の産地は山梨県

ぶどうの生産量が日本で一番多い都道府県はどこかご存じでしょうか。農林水産省の統計によると、全国の収穫量の約4分の1を占める圧倒的ナンバーワンのぶどう王国は「山梨県」です。山梨県に次いで、長野県、山形県、岡山県などが上位に名を連ねています。山梨県の甲府盆地は、昼夜の寒暖差が大きく、日照時間が長くて水はけが良い扇状地が多いため、甘くて美味しいぶどう作りにぴったりの環境なのです。
10.巨峰は実は商標登録の名前

「ぶどうの王様」とも呼ばれる大粒の「巨峰(きょほう)」ですが、実は農林水産省に登録されている正式な品種名は「巨峰」ではありません。正式な品種名は開発者の研究所名にちなんだ「石原センテニアル」といい、「巨峰」は株式会社日本ぶどう愛好会が管理している登録商標なのです。開発された研究所から雄大な富士山(大きな峰)が見えたことにちなんで、「巨峰」という美しいニックネームがつけられました。
11.シャインマスカットの誕生

皮ごとパリッと食べられて種もなく、抜群の甘さで大人気となった「シャインマスカット」。海外の品種だと思われがちですが、実は日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、日本の高温多湿な気候でも育てやすいヨーロッパ系品種を目指して開発し、2006年に品種登録された純国産のぶどうです。長い歳月をかけて交配と選抜を繰り返した研究者たちの努力の結晶が、今のブームを生んだのですね。
12.新鮮なぶどうは軸が緑色

スーパーや直売所で美味しいぶどうを選ぶとき、粒の大きさや色つやだけでなく「軸(枝)」の部分に注目してみてください。収穫されたばかりの新鮮なぶどうは、実を支えている軸(穂軸)が太くて鮮やかな緑色をしています。反対に、収穫してから時間が経って水分が抜けてくると、軸が細くなり茶色く枯れたような色に変わってしまいます。買うときは、軸が緑色で実がポロポロ落ちていないものを選ぶのがコツですよ。
13.色が濃い方が甘い理由

巨峰やピオーネなどの黒系ぶどうや、甲斐路などの赤系ぶどうを選ぶときは、できるだけ色が濃く黒っぽいものを選ぶのが正解です。皮の赤紫〜黒っぽい色はポリフェノールの一種である「アントシアニン」によるもので、太陽の光をたっぷり浴びて糖度が高まるほど色素も濃く作られるという仕組みになっているからです。反対に、シャインマスカットなどの緑系ぶどうは、少し黄色みがかってきたものの方が完熟して甘くなっています。
14.1粒3万円超えの高級品種

ぶどうの中には、目玉が飛び出るような価格で取引される超高級ブランドが存在します。石川県が14年もの歳月をかけて開発した大粒の赤ぶどう「ルビーロマン」は、厳しい品質基準をクリアしたものだけが出荷され、過去の初競りでは1房(約30粒)になんと150万円以上もの最高値がついたことがあります。単純計算すると、たった1粒で5万円前後になるというから、まさに宝石のようなぶどうですね。
15.犬や猫には絶対NGな果物

甘くてみずみずしいぶどうを見ると、大切なペットにもおすそ分けしたくなるかもしれませんが、これは絶対にやめてください。犬や猫がぶどう(レーズンやぶどうジュースを含む)を食べると、重篤な中毒症状を起こして急性腎不全になり命に関わる危険があります。近年、ぶどうに含まれる「酒石酸(しゅせきさん)」などが原因物質として指摘されており、わずか数粒でも危険なため、ペットの手の届かない場所で管理しましょう。
16.ゼリーが固まりにくい?

「生のパイナップルやキウイを入れるとゼラチンゼリーが固まらない」という話は有名ですが、これはたんぱく質分解酵素が含まれているためです。一方、ぶどうにはこの酵素がほとんど含まれていないため、生のぶどうをそのまま使ってもゼラチンゼリーを綺麗に固めることができます。ただし、果汁の酸味が強すぎるとゼラチンが弱まることがあるため、酸っぱいぶどうを使う場合は寒天やアガーを使うと失敗しませんよ。
17.皮ごと冷凍でシャーベット

ぶどうをたくさんもらって食べきれないときは、冷凍保存するのが一番おすすめです。房から粒をハサミで切り離し、水洗いしてしっかり水気を拭き取ってから保存袋に入れて冷凍庫へ入れるだけで、約1ヶ月ほど美味しさをキープできるうえに天然のシャーベットとして楽しめます。凍ったぶどうにサッと水をかけると、驚くほどツルンと簡単に皮がむけるので、種なしぶどうならお子様のおやつにもぴったりです。
18.洗うのは食べる直前が鉄則

買ってきたぶどうを冷蔵庫に入れるとき、先に水洗いしてからしまっていませんか。実は、ぶどうを洗うタイミングは「食べる直前」にするのが鉄則です。あらかじめ洗ってしまうと、皮の表面にある鮮度を守る天然の白い粉(ブルーム)が落ちて傷みやすくなるうえ、残った水分からカビが発生しやすくなってしまいます。保存するときは洗わずにキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保管しましょう。
19.巨峰のきれいな皮のむき方

巨峰などの皮をむくとき、指先が紫色の果汁でベタベタになってしまった経験はありませんか。実は、お尻(枝と反対側の先端)からむくのではなく、枝がついていた穴(ヘタ側)に爪楊枝や爪を入れてむき始めると、果肉を潰さずにスルッと綺麗に皮をむくことができます。もともと枝とつながっていた部分は皮と果肉の間に隙間ができやすいため、驚くほど気持ちよくむける裏ワザです。
20.レーズンで鉄分や食物繊維

ぶどうを天日や熱風で乾燥させた「レーズン(干しぶどう)」は、ただ保存性が高まるだけでなく、栄養面でも嬉しい変化が起こります。水分が抜けて実がギュッと凝縮されることで、同じ重さの生ぶどうと比べると食物繊維や鉄分、カリウム、銅などのミネラルが数倍にアップするのです。ただし、カロリーや糖質も同時に凝縮されて高くなっているため、1日あたり大さじ1〜2杯程度を目安に食べるのがおすすめです。
21.日本最古の品種「甲州」

日本で最も古い歴史を持つぶどうの品種は、山梨県を中心に栽培されている「甲州(こうしゅう)」です。その起源には諸説ありますが、奈良時代(718年)に僧侶の行基が夢のお告げで発見したという伝説や、平安時代末期に雨宮勘解由(あめみやかげゆ)が自生していたぶどうを見つけたという説があり、シルクロードを渡って1000年以上前に日本へ辿り着いた品種であることがDNA解析でも裏付けられています。
22.神社仏閣にあるぶどう模様

ぶどうは西洋のイメージが強い果物ですが、実は日本の伝統的な神社やお寺の装飾にもよく使われています。たとえば奈良の薬師寺にある国宝・薬師如来像の台座や、正倉院の宝物などには、ツルを伸ばしてたくさんの実をつける「葡萄唐草文様」が美しく描かれています。たくましくツルを広げて豊かな実を結ぶぶどうの姿は、古くから「子孫繁栄」や「豊穣」をもたらす縁起の良いモチーフとして愛されてきたのです。
23.1本の木から何百房もなる

ぶどう狩りに出かけると、頭上の棚いっぱいにぶどうの房がぶら下がっていて圧倒されますよね。一般的なぶどう農園の木でも1本から100〜300房ほど収穫できますが、栄養管理を徹底して巨大な棚に枝を広げると、たった1本のぶどうの木から1,000〜3,000房以上も実らせることができます。植物としての生命力と、枝をどこまでも伸ばしていくツル植物ならではのすごい能力ですね。
24.海ぶどうは果物ではなく海藻

沖縄県の名産品として知られる「海ぶどう」は、見た目が小さな緑色のぶどうの房にそっくりで、プチプチとした食感が楽しい食材ですよね。名前に「ぶどう」とついていますが、植物学上のぶどうとはまったく関係がなく、「クビレズタ」という正式名称を持つ緑藻(海藻)の仲間です。しかも驚くことに、あの房のように見える部分はすべてつながった「たった1つの巨大な細胞(単細胞生物)」でできているという不思議な生き物なのです。
25.ぶどうの皮で布が染まる

ぶどうの果汁が白い服につくと、なかなか落ちなくて困ってしまいますよね。その強い色素を逆手に取って、食べた後のぶどうの皮を煮出して布を染める「草木染め」を楽しむことができます。皮に含まれるアントシアニンは酸性やアルカリ性に反応して色が変わる性質があるため、媒染剤(ミョウバンや鉄など)を変えるだけでピンクや紫、青灰色に変化し、まるで理科の実験のように美しい染め物が作れるのです。
26.白い結晶はガラスじゃない

ぶどうジュースやワインの底、あるいは手作りのぶどうジャムの中に、キラキラとした透明〜白色の硬い結晶を見つけたことはありませんか。「ガラスの破片が入っているのでは?」と驚いてしまうかもしれませんが、これはぶどうに豊富な「酒石酸」とミネラル(カリウムやカルシウム)が結びついた結晶です。「ワインのダイヤモンド(酒石)」とも呼ばれる天然の成分で、食べても体に害はまったくないので安心してくださいね。
27.スペインの大晦日は12粒

日本では大晦日に「年越しそば」を食べる風習がありますが、スペインや中南米の国々では大晦日に「ぶどう」を食べるユニークな伝統があります。12月31日の深夜0時を告げる時計台の鐘の音(12回)に合わせて、鐘が1回鳴るごとに1粒ずつ、合計12粒のぶどうを食べ切ると、新しい年の12ヶ月間ずっと幸運に恵まれるといわれています。結構なスピードで食べないといけないため、家族や友人と大盛り上がりする年越し行事なのだそうです。
28.ぶどうは野菜ではなく果樹

「いちごやメロン、スイカは甘いけれど、実は園芸学上は野菜に分類される」という雑学を聞いたことがある方も多いと思います。では、ツルを伸ばして育つぶどうは野菜なのか果物なのかというと、ぶどうは1年で枯れる草ではなく何十年も生き続ける「木(木本植物)」になるため、立派な「果樹(果物)」に分類されます。ツルがぐにゃぐにゃと曲がるので草のように見えますが、幹を見ればしっかりとした木の皮になっているのがわかりますよ。
29.袋掛けは日本独自の工夫

ぶどう園に行くと、一房ずつ白い紙の袋や傘が丁寧にかけられている光景をよく目にしますよね。実はこの「袋掛け」は、雨が多くて湿度が高い日本の気候からぶどうを守るために発達した、病気や害虫、鳥の被害を防いで美しい見た目に育てる日本ならではの職人技です。乾燥した気候のヨーロッパなどのワイン用ぶどう畑では、袋をかけずにそのまま太陽を浴びせて育てるのが一般的となっています。
30.ポリフェノールは皮と種に

赤ワインやぶどうが健康や美容に良いといわれる最大の理由は、抗酸化作用を持つ「ポリフェノール(アントシアニンやレスベラトロールなど)」が豊富に含まれているからです。しかし、このポリフェノールは甘い果肉の部分にはあまり含まれておらず、その大部分が普段捨ててしまいがちな「皮」と「種」に集中しているのです。栄養を余さず摂りたいときは、シャインマスカットやナガノパープルなど、皮ごと食べられる品種を選ぶのがおすすめですよ。
まとめ
今回は、秋の味覚として親しまれている「ぶどう」にまつわる面白い雑学や豆知識を30個ご紹介しました。何気なく食べていた一房のぶどうにも、「上の方が甘い理由」や「白い粉(ブルーム)の役割」など、知っておくと普段のお買い物や食事がもっと楽しくなる工夫や秘密がたくさん隠されていましたね。
次にスーパーでぶどうを選ぶときや、家族・友人とぶどうを食べるときは、ぜひ「軸が緑色のものが新鮮なんだよ」「下から食べると最後まで甘いよ」と今日知った雑学をクイズ感覚でシェアしてみてください。きっと会話が弾んで、いつものぶどうが何倍も美味しく感じられるはずですよ。
▼合わせて読みたい
-
-
食べ物の雑学150選~知らなきゃよかった!? 面白くも怖い豆知識~
毎日なにげなく食べている料理にも、実は“知られざる誕生秘話”がたくさんあります。たとえば、レトルト食品の元祖が日本発だっ ...
続きを見る
-
-
秋の雑学30選~食欲と紅葉の意外な秘密~
暑い夏が過ぎ去り、心地よい風が吹き始めると、いよいよ秋の到来ですね。「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」など、秋には ...
続きを見る
-
-
健康の雑学&豆知識100【おもしろくてマニアック! 高齢者にも】
健康で充実した人生を送るために、特別なトレーニングや厳しい食事制限は必要ありません。大切なのは、日々の小さな習慣の積み重 ...
続きを見る