水族館の薄暗い水槽の中で、スポットライトを浴びながらゆらゆらと漂うクラゲ。その幻想的で美しい姿を見ていると、時間を忘れて心が癒やされますよね。しかし、そんな身近な人気者であるクラゲには、私たちの想像をはるかに超える驚きの生態や不思議な特徴がたくさん隠されていることをご存じでしょうか。
実は脳や心臓がなかったり、不老不死の力を持っていたりと、知れば知るほどミステリアスな魅力に溢れています。今回は、誰かに話したくなるクラゲの面白い雑学や豆知識を30個厳選してご紹介します。水族館デートやご家族での会話が盛り上がること間違いなしですので、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
1.体の95%以上が水分

ぷるぷるとした透明な体が特徴のクラゲですが、実はその体の大部分は水でできています。種類によって多少の違いはあるものの、なんと体重の約95%から98%が水分で構成されているのです。私たちがよく知る野菜のキュウリよりも水分量が多く、もし陸に打ち上げられて太陽の光を浴び続けると、水分が蒸発してあっという間に干からびて消えてしまいます。ほぼ水だけで生きているなんて、本当に不思議ですよね。
2.脳も心臓も血管もない

動物といえば脳で考え、心臓で血液を送り出すのが当たり前と思われがちですが、クラゲにはそのどちらもありません。それどころか血管や血液すら存在せず、全身に張り巡らされた散在神経系というネットワークを使って、光や重力を感じ取りながら動いています。心臓がない代わりに、傘をパクパクと開閉する動きによって体内の水分を循環させ、栄養を全身へと行き渡らせているのです。
3.恐竜よりも昔から存在

儚げで頼りないイメージのあるクラゲですが、地球の歴史においては大先輩にあたります。化石の研究などから、クラゲは今から約5億年以上前のカンブリア紀にはすでに海を泳いでいたことが分かっています。恐竜が誕生したのが約2億3000万年前ですから、その倍以上も昔からほとんど姿を変えずに生き延びてきたことになります。骨のない柔らかい体で厳しい時代を乗り越えてきた生命力には驚かされますね。
4.不老不死の種類がいる

世界中の研究者を驚かせているのが、日本近海にも生息する「ベニクラゲ」という小さなクラゲです。普通のクラゲは寿命が来ると死んで溶けてしまいますが、ベニクラゲは老いたり傷ついたりすると、なんと赤ちゃん時代の「ポリプ」へと若返ることができます。しかも、この若返りは理論上何度でも繰り返すことができるため、「不老不死のクラゲ」と呼ばれており、老化防止の研究でも大きな注目を集めています。
5.口と肛門が同じ1つの穴

クラゲの傘の裏側を覗いてみると、真ん中に1つの穴が開いています。実はクラゲには消化管の通り道が1つしかなく、この穴が食べ物を食べる「口」と排泄する「肛門」の両方の役割を果たしているのです。プランクトンなどの獲物を食べて消化したあと、不要になったカスは再び同じ穴から外へと吐き出されます。非常にシンプルな体のつくりですが、エネルギーを無駄にしない合理的な仕組みともいえますね。
6.クラゲの語源は「目なし」

そもそも「クラゲ」という不思議な響きの名前は、どこからやって来たのでしょうか。有力な説によると、昔の人がクラゲを見て「目がない生き物だ」と思ったことから、古語で目を意味する「め(眼)」が「闇(くら)」に転じ、クラゲと呼ばれるようになったといわれています。現在では、クラゲの傘の縁に光を感じる小さな感覚器(眼点)があることが分かっていますが、パッと見ただけでは確かに目がないように見えますよね。
7.漢字の「海月」の由来

クラゲを漢字で書くとき、もっともよく使われるのが「海月」というロマンチックな表記です。これは、丸くて半透明な傘を広げて海中をゆらゆらと漂う姿が、まるで海の中に浮かんでいるお月様のように見えることから名付けられました。また、もう一つの代表的な漢字である「水母」は、体のほとんどが水でできており、「水を生み出す母」のように見えたという中国の古い言葉に由来しています。
8.英語ではゼリーフィッシュ

英語圏でクラゲは「Jellyfish(ジェリーフィッシュ)」と呼ばれています。日本語に直訳すると「ゼリーの魚」となり、あのぷるぷるとした見た目をそのまま表現した可愛らしい名前です。しかし、生物学的に見るとクラゲは背骨を持たない刺胞動物であり、背骨を持つ脊椎動物である「魚類」とは全く別の生き物です。近年では、魚という誤解を避けるために「Sea Jelly(海のゼリー)」と呼ぶ水族館も増えています。
9.クローバー模様は胃袋

水族館や日本の海で一番よく見かける「ミズクラゲ」には、傘の真ん中に四つ葉のクローバーのような可愛らしい模様がありますよね。多くの人があれを目や模様だと思っていますが、実は生殖腺(卵巣や精巣)に縁取られた4つの胃袋が透けて見えているものなのです。そのため、オレンジ色のエサを食べると、このクローバーの部分がくっきりとオレンジ色に染まり、食事をしたことが一目で分かるようになっています。
10.四つ葉じゃない個体もいる

ミズクラゲの真ん中にあるクローバー模様は、基本的には4つに分かれています。しかし、水槽の中をじっくりと観察してみると、まれに模様が3つや5つ、あるいは6つある個体を見つけることができます。これは成長過程でのちょっとした変化によるもので、健康状態にはまったく問題ありません。水族館では「6つ葉のミズクラゲを見つけると幸せになれる」といった楽しみ方も密かな人気を集めています。
11.実はクラゲも睡眠をとる

脳を持たないクラゲは、睡眠をとる必要などないように思えますよね。ところが、アメリカのカリフォルニア工科大学などの研究チームが「サカサクラゲ」を観察したところ、夜間になると傘を動かす回数が減り、刺激への反応も鈍くなることが判明しました。さらに、夜中に無理やり起こして寝不足にさせると、翌日は日中に動きが鈍くなることも分かり、脳がなくても睡眠をとる初めての動物として話題になりました。
12.逆さまに暮らすクラゲ

先ほど登場した「サカサクラゲ」は、その名の通り一生のほとんどを水底で逆さまになって過ごす変わったクラゲです。なぜそんな姿勢でいるかというと、触手の中に「褐虫藻(かっちゅうそう)」という植物プランクトンを住まわせており、太陽の光を当てて光合成をさせるためなのです。褐虫藻が光合成で作った栄養をもらって生きているため、まるで日向ぼっこをするように、お腹を太陽に向けてじっとしています。
13.宇宙へ行ったクラゲがいる

1991年、NASAのスペースシャトル「コロンビア号」に、なんと2000匹以上のミズクラゲの赤ちゃんが乗せられ、宇宙へと旅立ちました。これは「無重力空間で生まれた生き物が、重力のある地球に戻ったときにどうなるか」を調べる実験でした。宇宙で成長したクラゲたちは無事に泳ぐことができましたが、地球に帰還すると上下の感覚がわからず、うまく泳げない「宇宙酔い」のような状態になったそうです。
14.ノーベル賞に貢献した

2008年、下村脩博士がノーベル化学賞を受賞した際、その研究の主役となったのが「オワンクラゲ」でした。博士は、このクラゲが緑色に光る仕組みを調べるため、家族総出で何十万匹ものオワンクラゲを網で捕獲し、「緑色蛍光タンパク質(GFP)」の発見と抽出に成功しました。この光るタンパク質は、現在でも生きた細胞の中でがん細胞がどう動くかを観察するなど、世界中の医療や科学の現場で役立てられています。
15.虹色に輝くのは光の反射

水族館で人気の「カブトクラゲ」などは、暗い水槽の中でネオンのようにキラキラと七色に輝いて見えます。しかし、これは自分自身で虹色の光を出しているわけではありません。体にある「櫛板(くしいた)」と呼ばれる細かい毛の束を動かして泳ぐ際、照明の光が細かな毛に当たって屈折・反射することで、虹色に輝いて見えているのです。この仲間は毒を持っておらず、厳密にはクラゲとは異なる「有櫛動物」に分類されます。
16.死んでも毒針は発射される

夏の海水浴で気をつけたいのがクラゲの毒ですが、浜辺に打ち上げられて死んでいるクラゲにも絶対に触ってはいけません。クラゲの触手には「刺胞(しほう)」という毒針入りのカプセルが無数にあり、これはクラゲの意思ではなく外部からの物理的な刺激や浸透圧の変化で自動的に発射されます。そのため、クラゲが死んでいても、うっかり踏んだり触ったりした瞬間に毒針が飛び出し、刺されてしまう危険があるのです。
17.お酢が逆効果になる種類

昔は「クラゲに刺されたらお酢をかけるといい」とよく言われていましたが、実はこれには大きな落とし穴があります。沖縄などにいる猛毒の「ハブクラゲ」にはお酢が有効ですが、本州の海によくいる「カツオノエボシ」に刺された場合、お酢をかけると逆に毒針の発射を促してしまうのです。種類が特定できない場合は、お酢や真水は絶対に使わず、海水で優しく洗い流しながら氷や冷水で冷やすのが正しい対処法です。
18.カツオノエボシは集合体

青いビニール袋のような浮き袋を持ち、「電気クラゲ」とも呼ばれる猛毒のカツオノエボシ。実はこれ、1匹のクラゲではなく、役割の異なるたくさんの小さな生き物(個虫)が集まった「群体」なのです。浮き袋になる担当、エサを捕まえる触手の担当、消化する担当、繁殖する担当など、それぞれ別の個体が合体して1つの生き物のように振る舞っています。自然界の仕組みとは思えないほどSFチックな生態ですよね。
19.世界最大は触手が30m超

世界最大のクラゲとして知られているのが、北極海などの冷たい海に生息する「キタユウレイクラゲ(ライオンタテガミクラゲ)」です。大きなものでは傘の直径が2メートルを超え、そこから伸びる無数の触手の長さは、なんと30メートル以上(ビル10階建て相当)にも達します。これは地球上で最大の動物であるシロナガスクジラの体長をも上回る長さで、まさに海のモンスターと呼ぶにふさわしいスケールです。
20.世界最小は数ミリで猛毒

巨大なクラゲがいる一方で、指先に乗るほど小さなクラゲも存在します。オーストラリアの海などに生息する「イルカンジクラゲ」は、傘の大きさがわずか1センチから2センチほどしかない極小サイズです。しかし、その小ささに反して世界最強クラスの猛毒を持っており、刺されると激しい腰痛や嘔吐、高血圧などの「イルカンジ症候群」を引き起こします。透明で水中ではほとんど見えないため、現地では非常に恐れられています。
21.淡水にすむクラゲもいる

クラゲといえば海の生き物というイメージが強いですが、実は池や湖、川などの淡水で暮らす「マミズクラゲ」という種類がいます。傘の直径が2センチほどの小さなクラゲで、日本全国の防火水槽や公園の池などに突然大量に現れては、いつの間にか姿を消すという神出鬼没な特徴を持っています。水草や鳥の足にくっついて移動していると考えられており、見つけたらとてもラッキーな珍しい生き物です。
22.自ら泳ぎが得意な種類も

英語でクラゲを「Drifter(漂流者)」と呼ぶことがあるように、ほとんどのクラゲは波や海流に身を任せて漂うプランクトン(浮遊生物)に分類されます。しかし、強い毒を持つ「アンドンクラゲ」や「ハブクラゲ」などの仲間は、自分の力で水流に逆らい、秒速数十センチのスピードで素早く泳ぐことができます。しかも、ただ漂うだけでなく、光を感じ取って障害物を避ける高度な能力も持っています。
23.子供時代は岩に張り付く

ふわふわと泳ぐクラゲですが、生まれたときからあの姿をしているわけではありません。卵から孵化したばかりの幼生は、海底の岩や貝殻にくっついて、イソギンチャクのような「ポリプ」という姿で生活します。このポリプは、栄養状態が良いと自分のクローンをどんどん増やし、水温の変化などの刺激を受けると、お皿を重ねたような形に変化して、1枚ずつ剥がれるようにして赤ちゃんクラゲへと変身するのです。
24.中華クラゲのコリコリ食感

中華料理の前菜でおなじみの「中華クラゲ」は、コリコリとした歯ごたえが美味しいですよね。体の95%以上が水なのに、なぜあんな食感になるのかというと、食用になる「ビゼンクラゲ」や「エチゼンクラゲ」を塩とミョウバンに漬けて徹底的に水分を抜いているからです。乾燥させて水分を抜くことでコラーゲン繊維がギュッと凝縮され、水で戻したときに独特のパリパリ・コリコリとした食感が生まれるのです。
25.クラゲは超低カロリー食品

美味しい中華クラゲは、実はダイエットや健康を気遣う人にとっても嬉しい食材です。味付きの加工品はタレのカロリーがありますが、塩抜きした状態の塩蔵クラゲ自体は、100グラムあたりわずか約20キロカロリー前後で糖質もほぼゼロという超ヘルシー食品なのです。主成分は水分とたんぱく質(コラーゲン)で、しっかり噛むことで満腹感も得られやすいため、上手に食卓に取り入れたいですね。
26.ウミガメの大好物はクラゲ

猛毒の針を持ち、栄養も少なそうなクラゲですが、海の中ではウミガメやマンボウ、カワハギなどの大好物になっています。特に世界最大のウミガメである「オサガメ」はクラゲを主食としており、硬い皮膚と喉の奥にある無数のトゲで毒針を防ぎながら、ツルツルと滑るクラゲを逃さずに丸呑みします。そのため、海に漂うビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまう環境問題が深刻視されています。
27.クラゲの中に隠れる小魚

クラゲの触手には毒があるため、普通の小魚が近づけばエサになってしまいます。しかし、アジの幼魚やイボダイの仲間などは、大きなクラゲの傘の下や触手の間に隠れて一緒に旅をします。これは小魚たちが体表を特別な粘液で覆うなどして、毒針が刺さりにくい工夫をしているためです。クラゲの毒のバリアをボディガード代わりに利用して、大きな魚に食べられるのを防いでいる賢い生存戦略ですね。
28.丸い水槽で飼育する理由

水族館のクラゲコーナーに行くと、円柱型や丸い窓のような形をした水槽が多いことに気づきませんか。これは見た目の美しさだけでなく、クラゲの命を守るための大切な工夫です。遊泳力の弱いクラゲを四角い水槽に入れると、水の流れが滞る角(コーナー)に溜まってしまい、傷ついて弱ってしまうのです。丸い水槽に緩やかな水流を作ることで、クラゲがぶつからずにずっと漂い続けられるようになっています。
29.ギネス認定のクラゲ水族館

山形県鶴岡市にある「鶴岡市立加茂水族館」は、世界中からクラゲファンが訪れる聖地として知られています。一時は来館者が減り閉館の危機に陥りましたが、クラゲの展示に特化したことで奇跡の復活を遂げました。常時60種類以上ものクラゲを展示しており、「クラゲの展示種類数世界一」としてギネス世界記録にも認定されたことがあります。直径5メートルの巨大水槽を約1万匹のミズクラゲが漂う姿は圧巻です。
30.クラゲの骨という慣用句

日本の古いことわざや慣用句に、「クラゲの骨」という言葉があるのをご存じでしょうか。第2項でも触れた通り、クラゲには骨が1本もありません。そこから転じて、「絶対にあり得ないこと」や「非常に珍しいこと」の例えとして使われてきました。また、「骨のないクラゲも長生きすれば骨に出会うかもしれない」という意味の「クラゲも骨に会う(長生きすれば良いことがある)」というユニークなことわざも残されています。
まとめ
今回は、ふわふわと海に漂うクラゲの面白い雑学を30個ご紹介しました。体のほとんどが水でできていて脳も心臓もないのに、恐竜よりはるか昔から生き延び、さらには不老不死の種類や睡眠をとる種類までいるなど、クラゲの生態は私たちの常識を覆す驚きに満ちていますよね。
普段は何気なく眺めている水族館のクラゲたちも、「四つ葉の模様は胃袋なんだ」「丸い水槽には理由があるんだ」と知っているだけで、見方がガラリと変わります。次に水族館へ行かれた際や、食卓に中華クラゲが並んだときには、ぜひ今回知ったクラゲの豆知識を周りの人に披露して、楽しい時間を過ごしてみてくださいね。
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