非日常の景色や美味しいグルメに出会える旅行や観光は、計画を立てている時間からワクワクが止まらない特別なイベントですよね。実は、私たちが普段何気なく利用しているホテルや飛行機、さらには有名な観光名所には、思わず誰かに話したくなる面白い豆知識や意外な歴史がたくさん隠されているのをご存知でしょうか。
今回は、国内の修学旅行や温泉旅から海外の絶景スポットまで、旅の時間が何倍も楽しくなる旅行・観光の雑学30選を幅広くご紹介します。移動中の観光バスや新幹線のなかで盛り上がれるクイズネタも満載ですので、ぜひ次のお出かけの前にチェックしてみてくださいね。
1.「観光」の語源は中国の古典

私たちが日常的に使っている「観光」という言葉は、実は古代中国の易経(えききょう)という書物に登場する「国の光を観る」という一節が語源になっています。ここでいう「光」とは、単に美しい自然の景色だけでなく、その土地の優れた文化や政治、人々の豊かな暮らしぶりそのものを指していました。ほかの地域の素晴らしい文化を自分の目で見て学ぶという、とても知的で深い意味が込められた言葉なのですね。
2.パスポートの赤は世界少数派

日本の10年用パスポートといえば落ち着いた赤色(エンジ色)でおなじみですが、実は世界的に見ると赤系の表紙を採用している国はそれほど多くありません。世界のパスポートは大きく赤・青・緑・黒の4色に分けられており、世界で最も多くの国が採用しているのは「青色」のパスポートなのです。新世界やカリブ海諸国、アメリカなどが青色を使っており、イスラム圏の国々では宗教的に神聖とされる緑色が多く選ばれています。
3.パスポートの絵は富嶽三十六景

2020年から発給が始まった日本の現行パスポートは、ページをめくるたびに日本の美しい芸術が楽しめる特別なデザインになっています。査証(ビザ)欄の背景に採用されているのは、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の代表作である「富嶽三十六景」です。10年用には24作品、5年用には16作品がすべて異なるページに印刷されており、見た目の美しさだけでなく、世界最高峰の偽造防止技術としての役割も果たしています。
4.世界最古のホテルは日本にある

世界各地に歴史あるクラシックホテルが存在しますが、ギネス世界記録に認定されている「世界最古の宿」は、なんと日本の山梨県にあります。早川町の西山温泉にある「慶雲館(けいうんかん)」という旅館で、創業は飛鳥時代の705年(慶雲2年)というから驚きです。1300年以上にわたって一度も枯れることなく湧き続ける源泉かけ流しの温泉を守り続けており、武田信玄や徳川家康も湯治に訪れたと伝えられています。
5.日本の新婚旅行第1号は龍馬

結婚した夫婦が特別な旅に出る「新婚旅行(ハネムーン)」を、日本で初めて行った人物は幕末の志士・坂本龍馬だといわれています。1866年の寺田屋事件で負傷した龍馬は、西郷隆盛らの勧めで妻のお龍(りょう)とともに現在の鹿児島県へ湯治の旅に出かけました。霧島山の高千穂峰に2人で登ったり、塩浸温泉で傷を癒やしたりと、当時の日本としては前代未聞の夫婦水入らずの観光を楽しんだ記録が残っています。
6.修学旅行はもともと行軍訓練

学生時代の最大の楽しみといえば修学旅行ですが、日本独自のこの文化は1886年(明治19年)に東京師範学校が実施した「長途遠足」が始まりとされています。当時は観光や思い出作りが目的ではなく、生徒たちの心身を鍛えるための軍事的な行軍訓練という厳しい位置づけでした。軍服のような制服を着て何十キロもの道のりを歩いて移動していたそうで、現在のような楽しい観光スタイルに変わったのは大正時代に入ってからです。
7.スーツケースの車輪は1970年

重い荷物をコロコロと軽快に運べるキャスター付きのスーツケースは、旅の必需品として古くからあるように思えますが、実は意外と新しい発明品です。人類がアポロ11号で月面着陸に成功した翌年の1970年に、アメリカのバーナード・サドウ氏が重いトランクの下に4つの小さな車輪を取り付けたのが最初でした。当初は「男性が荷物を転がすなんて軟弱だ」と百貨店に敬遠されましたが、やがて世界中の旅行者に大歓迎されました。
8.機内食は味が濃く作られている

飛行機の中で食べる機内食は、旅のワクワク感を高めてくれる楽しみのひとつですが、実は地上で食べる料理よりもかなり濃いめの味付けに調整されています。高度1万メートルの上空では気圧が低く空気も極端に乾燥しているため、人間の味覚が鈍くなって塩味や甘味を約30%も感じにくくなるからです。その代わり、酸味や旨味は上空でも落ちにくいため、各航空会社は出汁やトマトの旨味を活かしたメニュー開発を行っています。
9.機長と副操縦士は別メニュー

飛行機の安全なフライトを守るパイロットたちには、機内での食事に関して非常に厳格なルールが定められています。それは、コックピットに乗務する機長と副操縦士は、万が一の食中毒を同時に防ぐため必ず別々のメニューを食べるという決まりです。もし2人が同じものを食べて同時に体調を崩してしまったら、操縦できる人がいなくなる大惨事につながるため、ファーストクラス用とビジネスクラス用などに分けられています。
10.ホテルのベッドスローの役割

ホテルのベッドの足元側に、帯のような細長い布(ベッドスロー)が敷かれているのを見かけたことはありませんか。単なるおしゃれなインテリアだと思われがちですが、実は靴を履いたままベッドに寝転がる欧米文化の汚れ防止用として考案されたものです。靴のまま足を乗せても白いシーツが汚れないようにするための布なので、靴を脱いで過ごす私たち日本人は、寝るときに外してしまってもまったく問題ありません。
11.ホテルに4階や13階がない謎

国内外の大型ホテルでエレベーターに乗ると、特定の階のボタンが最初から存在しないことに気づく場合があります。これは宿泊客に不吉な印象を与えないための配慮で、日本では「死」を連想させる4、欧米では不吉な13を飛ばすという慣習があるからです。さらに中国圏などでは「4」や「14」が徹底して避けられるため、国際的なホテルでは4階と13階の両方が存在しない建物も珍しくありません。
12.温泉マークの発祥地は磯部温泉

地図や看板でおなじみの湯気が3本立ち上る「温泉マーク(♨)」は、群馬県安中市にある磯部温泉が発祥の地とされています。江戸時代の1661年に幕府が出した農民の土地争いに関する判決文(評定文)の地図に、磯部温泉の位置を示す記号として描かれたのが日本最古の記録です。ちなみに、真ん中の湯気が少し長くなっているのは、お湯が湧き出る躍動感と全体のバランスを美しく見せるための工夫なのだそうです。
13.バスのガイドは日本独自の文化

観光バスに同乗し、美しい声で名所の案内やご当地ソングを披露してくれるバスガイドさんは、実は日本独自の発展を遂げた珍しい職業です。1920年代に東京や別府の遊覧バスで案内役が乗務したのが始まりで、移動時間そのものを退屈させない日本流のおもてなし精神から全国へ広まりました。海外のツアーバスでは、運転手がマイクで簡単に説明するか、現地で専門のツアーガイドが合流するスタイルが一般的です。
14.駅弁の最初は握り飯2個と沢庵

鉄道旅行の醍醐味といえばご当地ならではの「駅弁」ですが、日本で最初の駅弁が発売されたのは1885年(明治18年)7月16日の宇都宮駅だといわれています。当時のメニューは豪華な幕の内弁当ではなく、黒ゴマと塩をまぶした大きな握り飯2個に沢庵2切れを添えたものでした。竹の皮に包まれて5銭(現在の価値で約1000円前後)で販売され、当時の人々にとって汽車の旅がいかに特別で贅沢なものだったかがうかがえます。
15.世界初の旅行会社は禁酒運動家

パックツアーを企画・販売する「旅行会社」を世界で初めて作ったのは、19世紀イギリスのトーマス・クックという人物です。驚くべきことに、彼はもともと熱心な禁酒運動家で、お酒に溺れる労働者たちを健全な鉄道の旅へ連れ出すために1841年に最初の団体列車を企画しました。約500人を乗せたこの特別列車が大成功を収めたことをきっかけに、彼は本格的な旅行業へと乗り出し、近代ツーリズムの父と呼ばれるようになりました。
16.世界一観光客が多い国は仏国

世界中の国々の中で、海外からの外国人観光客(インバウンド)が最も多く訪れている観光大国はどこだと思いますか。国連世界観光機関(UNWTO)の統計によると、年間約9000万人から1億人近くを集めるフランスが世界第1位の座を長年キープしています。花の都パリやモン・サン=ミシェルなどの世界遺産、ルーヴル美術館の芸術、そしてワインや美食など、あらゆる旅行者を惹きつける圧倒的な魅力が詰まっています。
17.日本の世界遺産第1号は4件

観光地選びの大きな目安にもなるユネスコの「世界遺産」ですが、日本で初めて世界遺産が誕生したのは1993年12月のことです。このとき同時に登録された記念すべき第1号は、法隆寺地域の仏教建造物・姫路城・屋久島・白神山地の4件でした。歴史ある木造建築や美しい白鷺城といった文化遺産2件と、太古の森やブナ林が残る自然遺産2件がバランスよく選ばれ、日本中に世界遺産ブームを巻き起こしました。
18.富士山の8合目から上は私有地

日本を象徴する世界遺産・富士山は、国がすべて管理している国有地だと思われがちですが、実は頂上付近は個人の持ち物に近い「私有地」です。富士山の8合目から上のエリア(登山道と気象庁の敷地を除く)は、富士宮市にある「富士山本宮浅間大社」の境内地として所有されています。徳川家康が浅間大社に寄進したという歴史的経緯があり、戦後の裁判でも正式に神社の所有権が認められたため、国が毎年賃料を払っています。
19.ピサの斜塔は建設中から傾いた

イタリアの人気観光名所「ピサの斜塔」は、長い年月が経つうちに少しずつ傾いてしまったと思われがちですが、実はそうではありません。1173年に着工し、わずか3階部分まで作り上げた段階で、南側の地盤が柔らかかったためすでに傾き始めていたのです。当時の建築家たちは傾きを修正しようと上層の石の高さを変えて継ぎ足したため、よく見ると斜塔は真っすぐ斜めになっているのではなく、バナナのように少し曲がっています。
20.自由の女神の元の色は銅の茶色

ニューヨーク観光のシンボルである「自由の女神像」といえば、爽やかな青緑色(パティーナ)の姿が印象的ですよね。しかし、1886年にフランスからアメリカへ贈られた完成当初は、10円玉と同じようなピカピカに輝く赤茶色(銅の色)をしていました。表面がすべて薄い銅板で作られているため、港の潮風や雨にさらされて約30年かけて酸化が進み、現在のような美しい青緑色のサビ(緑青)で覆われるようになったのです。
21.万里の長城は月から見えない

「宇宙や月から肉眼で見える唯一の人工物は中国の万里の長城である」という有名な雑学を耳にしたことがある方は多いでしょう。しかし、これは宇宙飛行士が誕生するずっと前の1930年代に広まった俗説で、実際には月から肉眼で万里の長城を見ることは不可能です。全長は2万キロ以上と途方もない長さがありますが、道幅は数メートルから10メートルほどしかないため、宇宙から見ると髪の毛よりも細く、周囲の地面と同化してしまいます。
22.旅のお土産のルーツは神社参拝

旅行に行くと家族や職場にお土産(みやげ)を買う習慣は、実は日本の歴史に深く根ざした独自の文化です。そのルーツは江戸時代にお伊勢参りなどの社寺参拝が大流行した際、神様のご利益を地元の人にお裾分けするために持ち帰った品物にあります。当時はお札や神饌(しんせん)を木の札(宮笥=みやげ)に入れて持ち帰ったことから「みやげ」と呼ばれるようになり、やがて地域の特産品やお菓子へと変化していきました。
23.空港の3レターコードの秘密

航空券や荷物のタグに書かれている「HND(羽田)」や「KIX(関空)」といったアルファベット3文字は、IATA(国際航空運送協会)が定める空港コードです。多くの空港は都市名の頭文字から付けられますが、カナダの空港はほとんどが「Y」から始まる不思議な法則があります。例えばトロントは「YYZ」、バンクーバーは「YVR」となっており、これは昔カナダの鉄道駅や気象観測所で使われていた2文字コードの前に「Y」を足した名残です。
24.時差ボケは東へ向かう方が辛い

海外旅行で避けて通れない「時差ボケ(ジェットラグ)」ですが、実は行く方角によって体への負担が大きく異なることが科学的に分かっています。ヨーロッパなどへ行く西向きのフライトよりも、ハワイやアメリカへ行く「東向き」のフライトの方が時差ボケが重いのです。人間の体内時計はもともと24時間より少し長めにできているため、1日が長くなる西への移動には順応しやすく、1日が短くなる東への移動には体が追いつきにくいのです。
25.新幹線の座席が3列と2列の訳

東海道新幹線などの普通車に乗ると、通路を挟んで窓側が「3人がけ」と「2人がけ」の非対称な配置になっていることに気づきますよね。これは1車両にできるだけ多くの乗客を乗せつつ、どんなグループ客でも座席が余らないように計算された工夫です。2と3の組み合わせがあれば、2人組・3人組はもちろん、4人組(2+2)や5人組(2+3)、6人組(3+3)まで、どんな人数の旅行グループでも分かれずに座ることができます。
26.観光地の顔出しパネルは明治発

観光名所や駅のホームで見かけると、つい顔をはめて写真を撮りたくなる「顔出しパネル(顔ハメ看板)」は、100年以上の歴史を持つエンターテインメントです。そのルーツは明治時代末期から大正時代にかけての写真館にあり、飛行機や自動車に乗ったような合成写真を撮るための背景板として誕生しました。当時は本物の乗り物が貴重だったため大ヒットし、やがて全国の観光地でご当地キャラクターや名物のパネルへと進化しました。
27.ホテルの聖書は無料持ち帰り可

国内外の多くのホテルでは、ベッドサイドの引き出しを開けると分厚い「聖書」が備え付けられています。これは1899年にアメリカのキリスト教実業家たちによって設立された「国際ギデオン協会」が、旅先で孤独や不安を抱える人々の心の支えになるよう無償で寄贈しているものです。ホテルの備品ではなく協会からの贈り物という扱いになっているため、もし読んで心に響いた場合は、宿泊客が無料で持ち帰っても良いとされています。
28.免税店が安いのは税金抜きゆえ

海外旅行の際、空港の「免税店(デューティーフリーショップ)」でブランド品やコスメを買うのを楽しみにしている方も多いですよね。免税店が街中のお店より安く買える理由は、出国エリアが法律上「まだどの国にも属さない場所」として扱われるからです。これから国外へ持ち出す商品に対しては、その国の消費税や酒税、たばこ税、さらには輸入関税などをかける必要がないため、税金分だけお得にショッピングが楽しめます。
29.パスポート不要で海外へ行く人

海外旅行に行く際は、赤ちゃんから大人まで全員がパスポート(旅券)を持たなければ飛行機に乗ることも入国することもできません。しかし、世界中でたった3人だけ、パスポートを一切持たずに世界中を公式訪問できる特別な人物が存在します。それは日本の「天皇・皇后両陛下」と、イギリスの「国王(チャールズ3世)」です。そもそもパスポートは国の元首や政府が国民の身分を証明する文書なので、最高位の元首自身には不要なのです。
30.世界一短い国際線はわずか8分

何時間も飛行機に揺られるイメージがある海外旅行ですが、世界には驚くほどあっという間に国境を越えてしまう国際線が存在します。かつて運航されていたスイスとドイツの間(ボーデン湖越え)の路線は、離陸から着陸までわずか8分という世界最短の国際線フライトとして話題になりました。現在でもカリブ海の島々などを結ぶ数分間のフライトが存在しており、シートベルト着用サインが消える暇もないまま別の国へ到着してしまいます。
まとめ
今回は、国内の温泉や修学旅行の歴史から、飛行機・ホテル・世界の名所に隠された秘密まで、旅行・観光にまつわる面白い雑学30選をご紹介しました。何気なく使っていたホテルの設備や観光という言葉の由来にも、旅人を快適にもてなす工夫や深い歴史が詰まっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
こうした豆知識を少し知っておくだけで、いつもの移動時間や観光地巡りがこれまで以上に発見と感動に満ちた特別な体験に変わります。ぜひ次の旅行では、家族や友人に「実はここにはこんな秘密があるんだよ」とクイズを出しながら、素敵な思い出を作ってくださいね。
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