キラキラと輝く真っ赤な実が愛らしい「さくらんぼ」は、初夏になると食べたくなる大人気のフルーツですよね。そのまま食べても甘酸っぱくて美味しく、パフェやショートケーキの上にちょこんと乗っているだけで、私たちの気分をパッと華やかにしてくれる不思議な魅力を持っています。
そんな身近なさくらんぼですが、実は「お花見の桜とは何が違うの?」「どうしてあんなに値段が高いの?」といった意外な秘密がたくさん隠されているんです。今回は、誰かに話したくなるさくらんぼの面白い豆知識や栄養・歴史の雑学を30個厳選してご紹介します!
1.名前の由来は「桜ん坊」

「さくらんぼ」という可愛らしい響きの名前ですが、実は漢字で書くと「桜ん坊」が語源になっています。もともとは「桜の木の子ども」という意味で「桜の児(さくらっこ)」などと呼ばれていました。それに「食いしん坊」や「甘えん坊」のように、小さいものや親しみを込める接尾語の「ん坊」が結びついて、現在の「さくらんぼ」という呼び方に変化したと言われています。
2.正式名称は「桜桃」

普段私たちが呼んでいる「さくらんぼ」は果実そのものを指す言葉で、植物や農産物としての正式名称は「桜桃(おうとう)」といいます。果物の缶詰やゼリーの原材料表示を見ると、「さくらんぼ」ではなく「おうとう」と書かれていることが多いのはこのためです。ちなみに俳句の世界でも、「桜桃」や「さくらんぼ」は初夏を代表する爽やかな季語として親しまれています。
3.お花見の桜とは別品種

春にお花見で楽しむ「ソメイヨシノ」などの桜の木にも実はなりますが、私たちが食べているさくらんぼとは種類が違います。食用のさくらんぼは「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」という、美味しい実を収穫するために品種改良された専用の桜の木から採れるものです。観賞用の桜の実も毒はありませんが、小粒で渋みや酸味が強いため、残念ながら生で食べてもあまり美味しくありません。
4.バラ科サクラ属の植物

さくらんぼは植物学上の分類で見ると、実は華やかな「バラ科」の仲間になります。意外に思えるかもしれませんが、いちご、りんご、桃、梅、アーモンドなども、すべてさくらんぼと同じバラ科に属する親戚のような果物なのです。さくらんぼの花が美しく、熟した果実からほんのりと上品で甘い香りが漂うのも、バラの仲間だと知ると納得できますよね。
5.同じ品種では受粉しない

さくらんぼには「自家不和合性(じかふわごうせい)」という、自分の花粉では受粉できない不思議な性質があります。それだけでなく、「佐藤錦」の木に別の「佐藤錦」の花粉をつけても実がならず、「ナポレオン」など違う品種の花粉がないと結実しないのです。そのため、さくらんぼ農園では必ず相性の良い複数の品種を一緒に植え、ミツバチの力を借りたり人の手で丁寧に受粉させたりしています。
6.山形県が全国の約7割

日本で流通している国産さくらんぼのうち、なんと約7割から8割近くが山形県で作られています。さくらんぼは「雨が少なく、昼夜の寒暖差が大きく、冬にしっかり寒くなる」という厳しい条件を好むため、周囲を高い山々に囲まれた山形県の盆地気候が栽培にぴったりだったのです。明治時代に全国で試作された際、他県では次々と失敗する中、山形県だけが見事に定着しました。
7.佐藤錦は佐藤さんが開発

さくらんぼの王様として知られる高級品種「佐藤錦」は、山形県東根市の佐藤栄助(さとうえいすけ)さんという人物が生み出しました。日持ちは良いけれど酸っぱい「ナポレオン」と、甘くて美味しいけれど日持ちしない「黄玉(きだま)」を交配させ、実に16年もの歳月をかけて1928年に命名された努力の結晶です。「赤い宝石」とも呼ばれる美味しさは、一人の情熱から誕生したのですね。
8.ナポレオンは皇帝に由来

佐藤錦の親品種としても有名な「ナポレオン」は、フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトにちなんで名付けられました。18世紀頃からヨーロッパで栽培されていましたが、1821年にナポレオンが亡くなった際、彼を追悼して改名されたと伝えられています。ヨーロッパでは「ロイヤル・アン」などの別名でも呼ばれており、現在でも世界中で愛される代表的な大型品種です。
9.世界一の生産国はトルコ

輸入さくらんぼといえばアメリカ産をよく見かけますが、実は世界のさくらんぼ生産量ランキングで圧倒的1位を誇るのはトルコです。そもそもさくらんぼ(セイヨウミザクラ)の原産地は、トルコ北東部からカスピ海周辺にかけての西アジア地域だと言われています。紀元前から栽培されていた歴史があり、黒海沿岸の街ギレスンからローマ帝国へと伝わったことでヨーロッパ中に広まりました。
10.英語のチェリーは複数形

さくらんぼは英語で「チェリー(cherry)」と言いますが、実はこの単語が生まれた背景には面白い勘違いがあります。フランス語の「cerise(スリーズ)」が英語に伝わった際、語尾の「s」の音を複数形の「s」だと英語圏の人々が誤解したのです。その結果、「1粒ならsを取ってcherryにしよう」と逆算されて新しい単数形が作られたという、言語学でも有名なエピソードがあります。
11.雨に当たると実が割れる

さくらんぼの栽培で農家の皆さんが最も頭を悩ませるのが、収穫期の6月に降る雨です。熟したさくらんぼの皮はとても薄くデリケートなため、表面に雨粒がつくと皮から水分を吸収して膨張し、パ열ッと実が割れてしまうのです。これを「実割れ(裂果)」といい、売り物にならなくなってしまうため、日本の農園では高い木の上全体にビニール屋根をかける大がかりな作業が行われています。
12.さくらんぼが高価な理由

スーパーや果物屋さんに並ぶ国産さくらんぼを見て、「どうしてこんなに高いんだろう?」と思ったことはありませんか。その理由は、雨よけテントの設置、手作業での受粉、実を赤くするための葉摘みなど、栽培から収穫までのほぼすべての工程を人の手で行っているからです。さらに、実が傷まないよう早朝に1粒ずつ手摘みして箱詰めするため、大変な手間と愛情が込められています。
13.1粒5万円の超高級品も

毎年初競りの時期になると、驚くような高値がつくブランドさくらんぼがニュースで話題になります。特に山形県が開発した大粒品種「やまがた紅王」や、最高峰の「佐藤錦」の特秀品などは、初競りで1箱(500g〜1kg)に100万円以上の値がつき、1粒あたり約3万〜5万円になったこともあります。職人がサイズや色つやを極限まで揃えた箱詰めは、まさに芸術品のような美しさです。
14.食べ過ぎでお腹が緩くなる

甘くてパクパク食べられるさくらんぼですが、一度にたくさん食べ過ぎるとお腹がゴロゴロして下痢になることがあります。これは、さくらんぼに豊富に含まれる「ソルビトール」という天然の甘味成分が、腸内で水分を集めて便を柔らかくする働き(緩下作用)を持っているためです。お通じを良くする嬉しい効果もありますが、大人の1日の目安量は10〜20粒程度にしておくと安心ですよ。
15.未熟な種には毒素がある

さくらんぼを食べるとき、誤って種を飲み込んでしまっても、硬い殻に覆われているため基本的にはそのまま排出されて問題ありません。しかし、特に未熟な果実の種の中身(仁)には「アミグダリン」という成分が含まれており、奥歯で噛み砕いて大量に摂取すると体内で青酸(シアン化水素)が発生する恐れがあります。念のため、種は噛まずに出すようにし、小さなお子さんには種を取ってあげましょう。
16.犬に与える時は種と茎NG

愛犬がさくらんぼを欲しがった場合、果肉の部分だけであれば少量与えても大丈夫とされています。ただし、人間と違って体が小さい犬にとって、種や茎、葉に含まれるアミグダリンは中毒症状を引き起こす危険があり、種が腸に詰まる事故も少なくありません。もし愛犬にお裾分けをするなら、必ず種と軸を完全に取り除き、小さくカットした果肉を1〜2粒だけあげるようにしてくださいね。
17.鉄分は果物の中でトップ級

さくらんぼは小さな一粒の中に、女性に嬉しい栄養素がギュッと詰まっています。特に血液を作るのに欠かせない「鉄分」や、赤血球の形成を助ける「葉酸」の含有量は、数ある果物の中でもトップクラスを誇るほど豊富です。さらに、疲労回復を助けるリンゴ酸やクエン酸も含まれているため、暑くなり始める初夏のバテ防止や貧血予防のおやつとしてぴったりのフルーツと言えます。
18.赤い色素は目に優しい成分

さくらんぼの美しいルビー色は、「アントシアニン」というポリフェノールの一種によるものです。ブルーベリーなどにも含まれるこの成分には強い抗酸化作用があり、スマホやパソコンによる目の疲れを和らげたり、細胞の老化を防いだりする働きが期待できます。色の濃いアメリカンチェリーにはさらに多くのアントシアニンが含まれているため、デスクワークのお供にもおすすめですよ。
19.睡眠ホルモンを含んでいる

実はさくらんぼ(特にタルトチェリーやアメリカンチェリーなどの品種)には、自然な眠りを促す「メラトニン」というホルモンが天然の状態で含まれています。食品の中にメラトニンそのものが含まれているケースは非常に珍しく、夜にさくらんぼやチェリージュースを摂ると睡眠の質が高まるという研究結果も報告されています。なかなか寝付けない日のデザートに取り入れてみるのも良いですね。
20.冷蔵庫での冷やし過ぎはNG

買ってきたさくらんぼを、すぐに冷蔵庫の奥や野菜室に何日も入れておくのは実はNGです。さくらんぼは急激な温度変化や冷えに弱く、冷やし過ぎると甘みを感じにくくなるばかりか、果肉が傷んで風味が落ちてしまうのです。保存するときはキッチンペーパーに包んで涼しい冷暗所に置くか、食べる30分ほど前に氷水や冷蔵庫にサッと入れて、軽く冷やす程度が一番美味しく味わえます。
21.洗う時は軸を取らない

さくらんぼを水洗いするとき、先に緑色の軸(ヘタ)をプチッと抜いてから洗っていませんか?実は軸を抜いた穴から水が入ると、そこからせっかくの甘みや水溶性の栄養素が流れ出てしまい、果肉も水っぽくブヨブヨになる原因になります。洗うときは軸をつけたままボウルに張った水の中で優しく振り洗いし、食べる直前に軸を外すのが美味しさをキープするコツです。
22.冷凍するとシャーベット風

賞味期限が短いさくらんぼが食べきれないときは、なんとそのまま「冷凍保存」することができます。軸をつけたままサッと洗って水気をしっかり拭き取り、重ならないように保存袋に入れて冷凍庫へ入れれば、約1ヶ月ほど日持ちするうえに天然のシャーベットのような食感が楽しめます。食べるときは完全に解凍すると水分が出て柔らかくなってしまうため、半解凍のシャリシャリした状態で食べるのが鉄則です!
23.缶詰のチェリーは一度脱色

クリームソーダや昔ながらのプリンアラモードに乗っている、真っ赤でツヤツヤした缶詰のさくらんぼ(マラスキーノ・チェリー)。あの鮮やかな赤色は、実は果物本来の色ではありません。収穫したさくらんぼを一度薬液に漬けて真っ白に脱色してから、シロップと赤い食用色素で染め直しているのです。最近は合成着色料を使わず、天然色素で優しいピンク色に仕上げたものも増えています。
24.黄色いさくらんぼも存在

さくらんぼといえば赤や黒紫色のイメージが強いですが、実は完熟しても黄色いままの「月山錦(がっさんにしき)」という珍しい品種が存在します。中国で生まれ、山形県で大切に育てられているこの黄色いさくらんぼは、酸味がほとんどなくて糖度が20度以上にもなる極めて甘い品種です。栽培が非常に難しく生産量が少ないため、市場では「黄色い宝石」と呼ばれる幻の高級さくらんぼとなっています。
25.双子の実は猛暑の翌年に多い

ときどき、1本の軸に2つの実がくっついた「双子のさくらんぼ」を見かけることがありますよね。見つけるとラッキーな気分になりますが、実はこれ、前年の夏が猛暑で気温が高すぎたことによるストレスで、花芽が異常分化したものなのです。さくらんぼは夏のうちに翌年の花の赤ちゃん(花芽)を作るため、35度を超えるような猛暑が続いた翌年の春には、双子の実が大量発生することがあります。
26.種飛ばし大会が実在する

口に含んださくらんぼの種を「プッ!」と遠くへ飛ばす遊び、子どもの頃にやったことがある方も多いのではないでしょうか。本場の山形県東根市や寒河江市、さらにはアメリカのミシガン州などでは、大人が本気で飛距離を競い合う「さくらんぼ種飛ばし大会」が公式イベントとして開催されています。世界記録はなんと20メートル以上にも達し、風向きや舌の使い方が勝敗を分ける奥深い競技です。
27.太宰治の忌日は「桜桃忌」

『走れメロス』や『人間失格』で知られる文豪・太宰治は、晩年に『桜桃』という短編小説を書き残しました。「子供より親が大事、と思いたい」という印象的な一文で始まり、苦悩する父親がさくらんぼを食べる姿を描いたこの作品にちなんで、彼の命日(遺体発見日)である6月19日は「桜桃忌」と呼ばれています。毎年この日には、東京・三鷹の禅林寺にある太宰のお墓に多くのファンがさくらんぼを供えます。
28.茎を口で結ぶ特技の秘密

「口の中でさくらんぼの茎(柄)を結ぶことができる人はキスが上手い」なんていう俗説を聞いたことはありませんか?実際にテレビ番組の企画などで挑戦する人もいますが、成功のコツは舌の器用さだけではなく、「軸が細くて長く、少ししんなりして柔らかくなったさくらんぼを選ぶこと」にあります。採れたての新鮮な軸は硬くて折れやすいため、少し時間が経ったものを使うと驚くほど結びやすくなりますよ。
29.美味しい実を見分けるコツ

お店で美味しいさくらんぼを選ぶときは、まず「実全体が均一に鮮やかな赤色に染まり、表面にプリッとした張りとツヤがあるか」をチェックしましょう。そしてもう一つ重要なのが軸(ヘタ)の色で、収穫してから時間が経つと軸が茶色く枯れてくるため、軸が太くて鮮やかな緑色をしているものほど新鮮な証拠です。パックの裏側からも見て、傷や実割れがないかも確認してみてくださいね。
30.花言葉は「小さな恋人」

丸くて赤い実が2つ仲良く並んでいる姿から、さくらんぼには「小さな恋人」や「善良な教育」といったロマンチックで温かい花言葉がつけられています。フランスなどでもさくらんぼの実は愛らしさの象徴とされており、大切な人への贈り物や、初夏の季節を感じさせるギフトとして昔から大変人気があります。花言葉を知ってから味わうと、あの甘酸っぱさがより一層特別に感じられそうですね。
まとめ
今回は、初夏の味覚「さくらんぼ」にまつわる面白い雑学や豆知識を30個ご紹介しました。お花見の桜とは品種が違うことや、1粒ずつ手作業で雨よけや受粉を行っていることなど、普段何気なく食べているさくらんぼの裏側にある驚きのドラマを知っていただけたのではないでしょうか。
次にさくらんぼを食べるときは、ぜひ「軸をつけたまま洗う」「冷やし過ぎない」といった美味しい食べ方のコツも試してみてくださいね。そして、家族や友人と一緒に食べるときには、今回知ったさくらんぼの雑学をクイズ感覚でシェアして、楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか!
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