水族館や動物園でよちよちと歩く姿が大人気のペンギン。愛くるしい見た目で私たちを癒やしてくれる存在ですが、実はその体の仕組みや暮らしぶりには、私たちの想像を超える驚きの能力や意外な秘密がたくさん隠されています。
今回は、皇帝ペンギンやフンボルトペンギンなどの種類ごとの違いから、思わず誰かに話したくなるペンギンの面白い生態や豆知識まで、厳選した30個の雑学をわかりやすくご紹介します。次に水族館へ行くのがもっと楽しくなる知識ばかりですので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
1.北極には生息していない

ペンギンといえば氷の上で暮らすイメージが強いため、北極にもいると思われがちですが、実は野生のペンギンはすべて南半球にしか生息していません。絵本やイラストでシロクマ(ホッキョクグマ)とペンギンが一緒に描かれることがありますが、シロクマは北極圏、ペンギンは南極や南半球に暮らしているため、自然界で出会うことは絶対にないのです。
2.実は長い足が隠れている

ペンギンは短足で胴長な体型に見えますが、レントゲン写真を撮ってみると、体の中に驚くほど長い足の骨が折りたたまれていることがわかります。人間でいう膝や太ももの部分が羽毛と皮下脂肪の奥にすっぽりと隠れており、外に見えているのは実は足首から下の部分だけなのです。つまり、ペンギンは常に空気椅子(スクワット)のような姿勢で立っていることになります。
3.元々は別の鳥の名前

現在私たちが呼んでいる「ペンギン」という名前は、もともと北半球に生息していた「オオウミスズメ」という全く別の海鳥を指す言葉でした。オオウミスズメは19世紀半ばに乱獲によって絶滅してしまいましたが、のちに大航海時代の船乗りたちが南半球でよく似た白黒の飛べない鳥を発見し、同じ「ペンギン」という名前で呼ぶようになったのが由来です。
4.世界に全18種類いる

ペンギンは世界中に全部で18種類存在していると分類されています。氷に覆われた南極大陸で暮らすのは「コウテイペンギン」と「アデリーペンギン」などごく一部だけで、残りの多くの種類は南アメリカやアフリカ南部、オーストラリアやニュージーランドといった比較的温暖な地域の海岸沿いに暮らしています。
5.白黒模様はカモフラージュ

ペンギンの背中が黒く、お腹が白いタキシードのような模様は、海の中で天敵から身を守るための「カウンターシェーディング」と呼ばれるカモフラージュです。海の上から見下ろすと黒い背中が暗い海底の色に溶け込み、逆に海の下から見上げると白いお腹が太陽の光に紛れるため、シャチやアザラシに見つかりにくくなるという合理的な仕組みになっています。
6.大昔は人間並みに巨大

現在のペンギンは大きくても1メートル強ですが、約3000万〜6000万年前の地球には、身長が170cm〜200cm、体重が100kgを超える巨大ペンギンが生息していました。ニュージーランドなどで化石が発見されており、大人の人間と変わらないサイズ感で海を泳ぎ回っていたと考えると、ロマンを感じると同時に少し迫力がありますね。
7.海水をそのまま飲める

海の近くで暮らすペンギンは、エサとなる魚と一緒に大量の海水を飲み込んでいますが、塩分の摂りすぎで体調を崩すことはありません。目の上あたりに「塩類腺(えんるいせん)」という余分な塩分をろ過する特殊な器官が備わっており、血液中の塩分を濃縮して、くしゃみをするように鼻の穴から外へ排出できる仕組みになっています。
8.口の中はトゲトゲだらけ

かわいらしい顔つきのペンギンですが、口を大きく開けると、舌や上あごの裏側に鋭い突起がびっしりと並んだ衝撃的な構造をしています。実はペンギンには歯がないため、捕まえた魚やイカを噛み砕くことができません。そのため、滑りやすい獲物を逃さず奥へと送り込み、丸呑みするためのストッパーとしてこのトゲが発達したのです。
9.小石を贈ってプロポーズ

アデリーペンギンやジェンツーペンギンなどの種類は、繁殖期になるとオスがメスへ「きれいで丸い小石」をプレゼントしてプロポーズする習性があります。氷や岩場ばかりの土地では、巣作りに使う小石がとても貴重な財産になるため、メスが石を気に入って受け取ればカップル成立となり、2羽で協力して小石の巣を作り始めます。
10.赤道直下にも生息する

寒い地域の生き物というイメージを覆すのが、赤道直下のガラパゴス諸島に生息する「ガラパゴスペンギン」です。熱帯の島で暮らせる理由は、南極方面から冷たい「フンボルト海流」が流れ込んでいるためで、豊富な魚を食べて体温を調整しながら、世界で唯一赤道付近の北半球側にもわずかに足を踏み入れて生活しています。
11.最大種は皇帝ペンギン

現存する18種類のペンギンの中で最も体が大きいのは「コウテイペンギン(エンペラーペンギン)」で、体長は約115〜130cm、体重は30〜45kgほどに達します。小学校低学年の子どもくらいの大きさがあり、極寒の南極の冬を乗り切るために、大きな体と分厚い脂肪で熱が逃げるのを防いでいます。
12.最小種はわずか約1kg

最大のコウテイペンギンとは対照的に、世界で最も小さい「コガタペンギン(フェアリーペンギン)」は、体長が約30〜40cm、体重はわずか1kg前後しかありません。オーストラリア南部やニュージーランドに生息しており、羽毛が青みがかっていることから現地では「リトル・ブルー・ペンギン」とも呼ばれ、妖精のように愛らしい姿で親しまれています。
13.日本の飼育数は世界一

実は日本は、世界中のペンギン飼育数のうち約4分の1にあたる3000羽以上を飼育している「世界一のペンギン大国」です。全国の水族館や動物園で18種類のうち11〜12種類ほどを見ることができ、特に温暖な気候に強い「フンボルトペンギン」は日本の環境によく馴染むため、国内の非常に多くの施設で繁殖に成功しています。
14.キングのヒナは親より巨大

キングペンギン(オウサマペンギン)のヒナは、全身が茶色いモフモフの羽毛で覆われており、成長すると一時的に親鳥よりも見た目がひと回り大きく、体重も重くなる時期があります。あまりにも親と姿が違うため、昔の発見者たちはこの茶色いヒナを「ウーリーペンギン(毛糸のペンギン)」という全く別の新種だと勘違いしていたほどです。
15.水深500m以上も潜れる

空を飛ぶことをやめたペンギンは、その代わりに水中を自在に泳ぐ圧倒的な潜水能力を手に入れました。特に体の大きなコウテイペンギンは、エサを求めて水深500メートル以上の深海まで潜り、20分以上も息を止めていられることが記録されています。水圧で肺が潰れないよう、骨が重く詰まっており、血液や筋肉に大量の酸素を蓄えられる特別な体質を持っています。
16.泳ぐ最速は時速36km

陸上ではよちよちとゆっくり歩くペンギンですが、ひとたび海に入ると魚雷のようなスピードで泳ぎ回ります。全18種類の中で最も泳ぎが速いのは頭部の白い帯模様が特徴の「ジェンツーペンギン」で、水中での最高速度はなんと時速36km(秒速10m)にも達します。これは人間のオリンピック水泳選手の約4〜5倍という驚異的な速さです。
17.氷上へ最大2mも飛べる

海から氷の上へ戻る際、ペンギンは助走をつけて水中からロケットのように空中に飛び出します。その際、羽毛の間にため込んだ空気の泡を少しずつ放出し、体の周りに泡の膜を作って水の抵抗を極限まで減らすことで、急加速して自分の身長の2〜3倍(最大約2メートル)もの高さがある氷の棚へ見事に着地することができます。
18.年に1度全身の毛が抜ける

ペンギンの羽毛は防水性と保温性を保つために非常に重要ですが、1年間使い続けるとすり減って機能が落ちてしまいます。そのため、年に1度「換羽(かんう)」と呼ばれる時期があり、約2〜3週間かけて古い羽毛がごっそり抜け落ち、新しい羽毛へと一気に生え変わるのです。この期間中は防水性が失われて海に入れないため、事前にたくさん食べて脂肪を蓄え、陸上で絶食しながらじっと耐え抜きます。
19.立ったまま眠ることがある

ペンギンは腹ばいになって寝ることもありますが、敵に襲われやすい環境や冷たい氷の上では、立ったまま首をすくめて眠ることがよくあります。さらに近年の研究では、野生のヒゲペンギンが1回わずか4秒ほどの超短時間の居眠り(マイクロスリープ)を1日に1万回以上も繰り返し、外敵を警戒しながら合計11時間分の睡眠を確保しているという驚きの事実も判明しました。
20.氷の上でお腹を滑らせる

南極のペンギンたちは、広い雪原や氷の上を移動するとき、足で歩くよりも速くて体力を消耗しない移動方法を使います。それがお腹を氷につけてソリのように滑る「トボガン(腹滑り)」という技です。短い足と翼(フリッパー)で器用に氷を蹴りながらスイスイと進む姿はとてもユーモラスですが、過酷な自然を生き抜くための省エネ術なのです。
21.集団でくっつき寒さを凌ぐ

マイナス50度を下回り、風速数十メートルのブリザードが吹き荒れる冬の南極で、コウテイペンギンたちは何千羽もの仲間と隙間なく密着する「ハドル」という集団行動をとります。すごいのは、外側の寒い場所にいる個体が少しずつ内側へと移動し、特定のペンギンだけが凍えないように全員で順番にローテーションしながら温め合っている点です。
22.皇帝の父は2ヶ月絶食する

コウテイペンギンの子育ては、自然界でも屈指の過酷さで知られています。メスが卵を1つ産むと、栄養を補給するために遠くの海へ出かけ、残されたオスは極寒の氷の上で卵を足の上に乗せ、約2ヶ月間も飲まず食わずで温め続けるのです。ヒナが孵化する頃には、お父さんペンギンの体重は最初の半分近くまで減ってしまいます。
23.ペンギンミルクで育てる

もしメスが海から戻る前にヒナが孵化してしまった場合、絶食中のお父さんコウテイペンギンは、自分の食道から「ペンギンミルク」と呼ばれる白い分泌液を出してヒナに与えることができます。哺乳類の母乳とは仕組みが異なりますが、タンパク質と脂質が豊富に含まれた栄養満点のミルクで、母親が帰ってくるまでの数日間、ヒナの命をつなぎ止めるのです。
24.味は臭くて美味しくない

大航海時代、食料に困った船乗りたちがペンギンを捕まえて食べたという記録が残っていますが、その味は「分厚い脂肪が魚臭くて、肉も硬く、とても食べられたものではない」と酷評されています。毎日大量の魚やオキアミを食べているうえ、冷たい海に潜るために独特の油分を含んだ皮下脂肪が発達しているため、食用には全く向いていなかったようです。
25.おしっこを直接は出さない

ペンギンには哺乳類のような「膀胱(ぼうこう)」がなく、おしっこだけを単独で排出することはありません。体内で作られた尿は「尿酸」という白いペースト状の物質に変えられ、フンと一緒にお尻の穴(総排出腔)からまとめて排出される仕組みになっています。ペンギンのフンに白い部分が多く混ざっているのは、実はこの濃縮されたおしっこの成分なのです。
26.漢字では「人鳥」と書く

ペンギンを漢字で表記すると、「人鳥(じんちょう)」または中国語由来の「企鵝(きが)」と書きます。「人鳥」は、ペンギンが直立して2本の足でよちよちと歩く姿がまるで人間のようであることから名付けられた和製の漢字です。また「企鵝」には「つま先立ちして待ち望むガチョウ」という意味があり、どちらもペンギンの立ち姿を見事に捉えています。
27.氷上でも足が凍らない

羽毛に覆われていないペンギンの素足が、氷の上にずっと立っていても凍傷にならないのは、足の血管に「ワンダーネット(奇網)」と呼ばれる熱交換システムがあるからです。心臓から足へ向かう温かい動脈と、足先から戻る冷たい静脈が網の目のように絡み合っており、足先の温度をあえて0度ギリギリに保つことで、体全体の熱が氷に奪われるのを防いでいます。
28.味覚は酸味と塩味だけ

獲物を丸呑みするペンギンは、食べ物をじっくり味わう必要がないため、進化の過程で多くの味覚を失っています。遺伝子解析の研究によると、鳥類が本来持っている5つの味覚のうち、ペンギンは「甘味」「旨味」「苦味」を感じる遺伝子が機能しておらず、「酸味」と「塩味」の2つしかわからないことが判明しています。
29.イワトビは両足で跳ねる

目の上の黄色い飾り羽がカッコいい「イワトビペンギン」は、その名の通り、ゴツゴツした岩場を両足を揃えてピョンピョンとジャンプしながら移動する珍しいペンギンです。ほかの多くのペンギンが足を交互に出してよちよち歩くのに対し、イワトビペンギンは強い脚力と鋭い爪を活かして、険しい断崖絶壁もジャンプで軽々と登っていきます。
30.一夫一婦制で絆が深い

ペンギンの多くは、一度カップルになると毎年同じ相手と寄り添う「一夫一婦制」で知られており、中には10年以上も同じパートナーと添い遂げるおしどり夫婦も珍しくありません。広い繁殖地に何千羽もの仲間がひしめき合っていても、お互いの鳴き声の特徴を正確に聞き分けることで、迷わず愛するパートナーや自分のヒナを見つけ出すことができます。
まとめ
今回は、水族館の人気者であるペンギンの雑学を30個ご紹介しました。のんびりとした愛らしい見た目の裏に、深海500メートルまで潜る身体能力や、極寒の南極を生き抜くための驚くべき進化の秘密が隠されていることを知ると、これまで以上にペンギンが魅力的な生き物に見えてきますよね。
日本は世界一のペンギン飼育数を誇るため、身近な水族館や動物園でもたくさんの種類のペンギンに出会うことができます。今度お出かけした際は、ぜひ足の長さや泳ぐスピード、種類ごとの個性に注目して観察したり、一緒に訪れた家族や友人に今日の豆知識をシェアして盛り上がってみてくださいね。
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