ねっとりとした食感と優しい甘みが魅力の里芋は、煮物や豚汁など日本の食卓に欠かせないおなじみの食材ですよね。普段何気なく食べている里芋ですが、実はお米よりも古い歴史を持っていたり、私たちが食べている部分が「根」ではなかったりと、驚くような秘密や面白い豆知識がたくさん隠されているんです。
そこで今回は、誰かに話したくなる里芋の雑学を30個厳選してご紹介します。名前の由来やぬめりの正体、手が痒くならない裏ワザまで、知ればもっと里芋が好きになるトリビアをたっぷりお届けしますので、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
1.食べている部分は茎

土の中に埋まっているため「根っこ」だと思われがちな里芋ですが、私たちが食べている部分は地下の茎が養分を蓄えて太った「塊茎(かいけい)」と呼ばれる部分です。表面をよく観察すると、横方向に走る縞模様や小さな芽のようなくぼみがあり、これが茎であることの証拠になっています。ちなみにさつまいもは根が太ったものですが、じゃがいもや里芋は植物学的には「茎」の仲間になるんですよ。
2.稲作より古い縄文の主食

日本の主食といえばお米ですが、実は里芋は稲作が日本に伝わるよりもさらに古い縄文時代から栽培されていた重要な主食でした。東南アジアやインドなどの熱帯地域が原産で、古くから日本人の命を支えてきた歴史ある作物です。万葉集にも「ウモ」という名前で登場しており、古くは芋といえば里芋のことを指すほど、日本人にとって最も身近なお芋だったのです。
3.山芋の対義語が名前の由来

「里芋」という名前の由来は、山に自生する「山芋(自然薯など)」に対して、人里の畑で栽培されるお芋だから「里芋」と呼ばれるようになりました。昔はただ単に「イモ」と呼ばれていましたが、後からさまざまな種類のお芋が伝来したため、区別するために「里の芋」と名付けられたのです。私たちが暮らす場所のすぐそばで育つ親しみやすさが、そのまま名前になっているのは素敵ですよね。
4.親から子と孫が増える

里芋は土の中で種芋である「親芋」を中心に、その周りに「子芋」、さらにその外側に「孫芋」がポコポコと連なって増えていきます。1つの親芋からたくさんの子芋や孫芋が育つその姿から、日本では古くから「子孫繁栄」の縁起物としてお正月のおせち料理や祝い事に重宝されてきました。普段スーパーの袋入りでよく見かける小ぶりな里芋の多くは、この子芋や孫芋の部分なんですよ。
5.手が痒い犯人は針の結晶

生の里芋の皮をむいていると、手がムズムズと痒くなってしまうことがありますよね。この痒みの正体は、里芋に含まれる「シュウ酸カルシウム」という目に見えない小さな針状の結晶です。皮をむく際に細胞が壊れると、このトゲトゲした結晶が皮膚に刺さり、刺激となって痒みを引き起こします。水気があると結晶が飛び出しやすくなるため、乾いた状態で皮をむくのが痒みを防ぐコツです。
6.痒みは酢や塩で防げる

もし里芋の下処理中に手が痒くなってしまったら、お酢やレモン汁などの酸性の液体をなじませて洗うのが効果的です。痒みの原因であるシュウ酸カルシウムはアルカリ性の性質を持っているため、お酢の酸で結晶が中和されて分解され、スーッと痒みが引いていくのです。また、作業をする前にあらかじめ酢水を手に塗っておいたり、加熱してから皮をむいたりすることでも、あの嫌な痒みをしっかり予防できます。
7.ぬめりの正体は食物繊維

里芋特有のツルツルとした「ぬめり」は、ガラクタンやグルコマンナンといった水溶性食物繊維が主成分です。かつては「ムチン」という成分名で紹介されることもありましたが、近年の研究でムチンは動物性の粘液にのみ使われる名称だと分かり、現在は植物特有の「水溶性食物繊維(多糖類)」がぬめりの正体とされています。腸内環境を整えたりコレステロールの吸収を抑えたりする、体に嬉しい成分です。
8.芋類の中で圧倒的に低カロリー

お芋というとカロリーが高くて太りやすいイメージがありますが、里芋は芋類の中でダントツのヘルシー食材です。可食部100gあたりのカロリーを比較すると、さつまいもが約130kcal、じゃがいもが約75kcalなのに対し、里芋はわずか約53kcalと半分以下の低カロリーに抑えられています。水分量が多く食物繊維も豊富なので、満腹感を得やすくダイエット中の強い味方になってくれます。
9.カリウムは芋類トップ級

里芋には、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出してくれるミネラル「カリウム」がたっぷり含まれています。その含有量は芋類の中でもトップクラスで、むくみの解消や高血圧の予防にとても高い効果が期待できるのが特徴です。ただし、カリウムは水に溶け出しやすい性質があるため、栄養を逃さず丸ごと摂りたいときは、豚汁や芋煮のように煮汁ごと食べられるスープ料理にするのが一番おすすめです。
10.トトロの傘は里芋の葉

映画『となりのトトロ』のバス停のシーンで、トトロが頭に乗せている大きな葉っぱを覚えていますか。よく「蕗(フキ)の葉」だと勘違いされがちですが、実はあれは畑から採ってきた「里芋の葉っぱ」であると公式設定や制作資料でも明かされています。熱帯原産の里芋は成長すると人の顔がすっぽり隠れるほど巨大なハート型の葉を広げるため、雨宿りの傘にするにはぴったりのサイズだったのですね。
11.葉が水を弾くロータス効果

里芋の葉っぱに水滴が落ちると、まるで宝石のようにまん丸な玉になってコロコロと転がり落ちていきます。これは葉の表面に目に見えない極小の凹凸とロウ質の成分があり、水を徹底的に弾いて汚れまで一緒に洗い流す「ロータス効果(ハスの葉効果)」を持っているからです。朝露が里芋の葉の上に溜まったものは古くから「芋の露」と呼ばれ、和歌の季語や書道の墨を擦るための神聖な水として重宝されました。
12.八つ頭は末広がりの縁起物

お正月のおせち料理によく使われる「八つ頭(やつがしら)」も、実は里芋の品種のひとつです。親芋と子芋が分かれずにくっついたまま1つの大きな塊になり、頭がいくつも並んでいるように見えることからその名がつきました。漢数字の「八」が「末広がり」で幸運を招くことや、「人の頭に立つ(出世する)」という願掛けから、おめでたい席に欠かせない縁起の良い里芋として親しまれています。
13.海老芋は模様がエビそっくり

京都の伝統野菜(京野菜)として名高い「海老芋(えびいも)」も、里芋の仲間です。土寄せという特別な栽培方法で手間暇かけて育てることで、お芋全体がキュッと反り返り、表面の縞模様と相まってエビそっくりの形になります。肉質がとてもきめ細かく、長時間煮込んでも煮崩れしないのに口の中でとろけるような食感が楽しめるため、高級料亭の懐石料理などでも大変人気があります。
14.タロイモは里芋の仲間

ハワイや台湾のスイーツ、タピオカドリンクなどでも人気の「タロイモ」は、実は里芋と同じサトイモ科の仲間です。植物学的な広い意味では、日本の里芋もタロイモの一種に含まれます。そのため、里芋を英語で表現する際もそのまま「Taro(タロ)」と呼ばれています。日本の里芋は東南アジアから北上して寒さに強く進化した品種で、南国のタロイモよりも小ぶりで粘り気が強いのが特徴です。
15.冷蔵庫に入れると傷む

野菜を買ってきたらとりあえず冷蔵庫の野菜室に入れるという方も多いですが、里芋にとって冷蔵庫はNGな場所です。里芋はもともと暖かい南国生まれの野菜なので寒さに非常に弱く、5℃以下の環境に入れると「低温障害」を起こして中が黒く変色し、味も落ちてしまうのです。保存する際は泥がついたまま新聞紙に包み、10〜15℃くらいの冷暗所(風通しの良い玄関や廊下など)に置くのが正解です。
16.洗わず泥付きが長持ち

スーパーでは綺麗に洗われた「洗い里芋」と、土がついたままの「泥付き里芋」が売られていますよね。すぐに使わない場合は、断然「泥付き」を選ぶのがおすすめです。里芋は乾燥にも弱いため、周りの土が天然のバリアとなって適度な湿度を保ち、鮮度の劣化を防いでくれるからです。逆に洗い里芋はすでに表面が傷ついて乾燥しやすくなっているため、買ったら2〜3日以内に使い切るようにしましょう。
17.お尻を切るとつるんと剥ける

生から皮をむくのが大変な里芋ですが、加熱調理するなら「皮ごと茹でる(またはレンジ加熱する)」という裏ワザがとても便利です。洗った里芋の上下(頭とお尻)を少し切り落とすか、ぐるりと1周浅く包丁で切れ目を入れてから加熱してみてください。竹串が通るまで柔らかくなったら、冷水につけて指で軽く押すだけで、つるんと気持ちよく皮だけが剥がれて、手も全く痒くなりません。
18.米のとぎ汁で白く仕上がる

料亭の煮物のように里芋を真っ白で上品に仕上げたいときは、下茹でに「お米のとぎ汁」を使うのが昔からの知恵です。とぎ汁に含まれる米ぬかの成分やデンプン質が、里芋のアクやえぐみを吸着して取り除き、変色を防いで白く美しく茹で上げてくれるのです。さらに適度なぬめりも落ちて味が染み込みやすくなるため、ひと手間かけるだけでお家の里芋料理がぐっとプロの味に近づきます。
19.茎を干した食材が芋がら

里芋は地下のお芋の部分だけでなく、地上に伸びる太い茎(葉柄)もおいしく食べることができます。生の茎は「ずいき」と呼ばれ、さらにその皮をむいて天日干しにした保存食は「芋がら(いもがら)」や「わり菜」と呼ばれ、味噌汁や煮物の具材として重宝されてきました。乾燥させることで食物繊維やカルシウム、鉄分などの栄養素がギュッと凝縮され、シャキシャキとした独特の歯ごたえが楽しめます。
20.山形の芋煮会は鍋が6.5m

東北地方の秋の名物といえば、河原で里芋をたっぷり入れた鍋を囲む「芋煮会」ですよね。特に山形県の芋煮に対する情熱はすさまじく、毎年開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」では、直径6.5メートルもの超大鍋「三代目鍋太郎」と専用の大型ショベルカーを使って調理が行われます。「8時間で最も多く提供されたスープ」としてギネス世界記録にも認定されており、約3万食もの里芋鍋が振る舞われます。
21.十五夜の別名は芋名月

旧暦8月15日の「十五夜(中秋の名月)」にはお月見団子を供えるのが一般的ですが、実はこの日は古くから「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれています。これはお米の収穫期よりも一足早く、秋に旬を迎える里芋の収穫を祝い、感謝して月に里芋をお供えしていた風習が由来です。現在のお月見団子の丸っこい形も、もともとはお供えしていた里芋の形を模して作られたものだという説があるんですよ。
22.京都の伝統行事「芋名月」

十五夜を「芋名月」と呼ぶ風習は全国各地に残っており、特に京都の下鴨神社などでは名月管絃祭とともに里芋などをお供えする伝統が受け継がれています。また、関西のお月見団子は関東のような真ん丸ではなく、里芋の形をそのまま表現した「細長いしずく型」のお餅にこしあんを巻いたものが主流です。地域のお月見のお菓子を見るだけでも、日本人がいかに里芋を大切にしてきたかがよく分かります。
23.きぬかつぎは平安時代の衣装

秋口に出回る小さな子芋(石川早生など)を皮つきのまま蒸し、手でつるんと皮をむいて塩や味噌で食べる料理を「きぬかつぎ(衣被)」と呼びます。この粋な名前は、平安時代の高貴な女性が外出する際に頭からすっぽりとかぶっていた「衣被(きぬかつぎ)」という衣装に由来しています。お芋が薄皮をちょこんとかぶっている可愛らしい見た目を、昔の女性の雅な装いに見立てた美しいネーミングです。
24.日本では滅多に花が咲かない

植物である以上、里芋にも花はありますが、日本の畑で里芋の花を見かけることはほとんどありません。里芋は熱帯生まれの植物なので、日本の気候では花が咲く前に寒くなって収穫期を迎えてしまうからです。そのため、もし日本の畑で黄色いカラーのような里芋の花が咲いたら「数十年に一度の吉兆」として地方新聞のニュースになるほど珍しい現象とされています。
25.生産量トップは埼玉県と千葉県

日本で一番里芋を作っている都道府県はどこかご存じでしょうか。農林水産省の統計によると、里芋の収穫量ランキングでは埼玉県と千葉県が毎年トップ争いを繰り広げており、宮崎県がそれに続く形となっています。関東ローム層のの水はけが良くふかふかした火山灰土壌が里芋の栽培に非常に適していることや、大消費地である東京に近いことから、古くから関東近郊で盛んに作られてきました。
26.冷凍すると味が染みやすい

下処理が面倒な里芋ですが、実は皮をむいてから生のまま、あるいは固めに下茹でしてから「冷凍保存」することが可能です。しかも冷凍すると、里芋の中の水分が凍って膨張する際に細胞壁を壊してくれるため、そのまま煮物にすると短時間で中までトロッと味が染み込むという嬉しいメリットがあります。凍ったままお鍋にポンと入れるだけで調理時間が大幅に短縮できるので、忙しい日の時短テクニックとして大活躍します。
27.里芋湿布という民間療法

昔ながらのおばあちゃんの知恵袋として、すりおろした生の里芋に小麦粉と生姜を混ぜて布に伸ばし、患部に貼る「里芋湿布(里芋パスター)」という民間療法があります。昔の人は経験的に、里芋の成分に熱を冷ましたり腫れや痛みを和らげたりする働きがあると考え、打ち身や捻挫、喉の痛みなどの手当てに使っていました。ただし、生の里芋は皮膚が痒くなったりかぶれたりしやすいため、試す際は十分な注意が必要です。
28.観葉植物クワズイモは有毒

インテリアとして人気の観葉植物「クワズイモ(食わず芋)」は、見た目が里芋にそっくりなサトイモ科の植物です。しかしその名前の通り、人間が食べることは絶対にできません。クワズイモには里芋よりもはるかに強力で不溶性のシュウ酸カルシウム(針状結晶)が大量に含まれており、誤って食べると口の中や喉に激痛が走り、呼吸困難などを起こす危険があります。家庭菜園の里芋と混同しないよう気をつけましょう。
29.美味しい里芋は縞模様が等間隔

スーパーで美味しい里芋を見分けるときは、まずお芋の表面にある横方向の「縞模様(輪っかの線)」に注目してみてください。この縞模様と縞模様の間隔が広く、かつ均等に並んでいるものほど、良い環境でスクスクと育った美味しい里芋の証拠です。さらに手に持ったときにずっしりと重みがあり、お尻の部分がふっくらと丸みを帯びていて、表面に傷やぶよぶよした柔らかい部分がないものを選ぶと失敗しません。
30.切り口が白いものが新鮮

里芋の鮮度をチェックするもう一つの重要なポイントが、親芋から切り離された「切り口(ヘタの部分)」の状態です。収穫してから日が浅い新鮮な里芋は、切り口がきれいな白色をしており、泥がほんのり湿り気を帯びているのが特徴です。時間が経って鮮度が落ちてくると、切り口が茶色や黒っぽく変色したり、カビが生えたり、ひび割れて乾燥したりしてくるため、購入前にぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
今回は、日本の食卓に馴染み深い「里芋」に関する雑学を30個ご紹介しました。縄文時代から食べられていた歴史や、私たちが食べている部分が実は「茎」であること、さらにはトトロの傘や十五夜の由来まで、素朴な見た目からは想像できないほど奥深いストーリーが詰まっていましたね。
手が痒くならない皮のむき方や、常温での正しい保存方法、美味しい里芋の見分け方などは、今日のお買い物や料理からすぐに使える便利な豆知識ばかりです。次に食卓に里芋料理が並んだときは、ぜひ家族や友人に「実は里芋ってね…」と面白いトリビアを披露して、楽しい食事の時間を過ごしてくださいね。
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