動物園や山あいの観光地などで、私たち人間に一番近い存在として親しまれている「猿(サル)」。器用に手を使ってご飯を食べたり、仲間同士で毛づくろいをしたりする愛らしい姿は、いつまで見ていても飽きない魅力がありますよね。今回は、そんな身近な動物である猿の知られざる生態や面白い秘密をたっぷり30個集めました。
実は「お尻が赤い本当の理由」や「ニホンザルの群れに隠された意外なルール」、さらには歴史上の偉人とのユニークな関わりなど、大人が聞いても驚くようなトリビアがたくさん隠されています。友達や家族に出したくなるクイズ向きの豆知識も満載ですので、ぜひ最後まで楽しく読んでみてくださいね。
1.顔とお尻が赤い理由

ニホンザルといえば、顔やお尻が真っ赤になっている姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。あの赤色は皮膚の色素ではなく、実は皮膚が薄いために毛細血管の血液が透けて見えているものなのです。特に秋から冬にかけての恋愛シーズン(発情期)になると、ホルモンの影響で血流がさらに活発になり、より鮮やかな赤色に変化して異性にアピールする仕組みになっています。
2.尾が短いのは寒さ対策

サジェストでもよく検索される「どうして猿の尾は短いのか」という疑問には、日本の気候が深く関わっています。ニホンザルのしっぽが約10センチ以下と極端に短いのは、雪国で尻尾から体温が奪われ、凍傷になるのを防ぐために進化した結果なのです。暖かい地域から北上してくる過程で、寒さに耐えられるよう体の末端を小さくする「アレンの法則」が見事に働いているのですね。
3.世界最北に生きる霊長類

実は日本の青森県・下北半島に生息しているニホンザルは、人間を除くと世界で最も北の寒冷地に暮らす野生の霊長類(サル)として国際的にも有名です。本来サルは熱帯や亜熱帯の暖かい森を好む生き物ですが、ニホンザルは分厚い冬毛をまとい、木の皮や冬芽を食べて氷点下の厳しい冬を乗り越えます。海外からは雪の中で生き抜く姿から「スノーモンキー」と呼ばれ、高い人気を集めています。
4.温泉に入るのは一部だけ

冬の風物詩として、気持ちよさそうに露天風呂に浸かるサルの映像をよく見かけますよね。しかし、日本中のサルが温泉好きというわけではなく、日常的に温泉に入るのは長野県の「地獄谷野猿公苑」に暮らす群れだけの特別な習慣なのです。1960年代に子ザルが偶然旅館の露天風呂に入ったのをきっかけに、寒さをしのぐ知恵として群れの仲間たちに広まり、今のような世界唯一の文化として定着しました。
5.群れの中心は実はメス

サル山には体の大きな「ボス猿」がいて、群れ全体を厳しく支配しているイメージがありませんか?実はニホンザルの社会は生涯同じ群れで暮らすメスたちが中心の「母系社会」であり、オスは大人になると生まれ育った群れを出ていかなければなりません。現在では「ボス」ではなく「アルファオス(第1位オス)」と呼ばれ、群れの意思決定や移動の主導権は、実はメスたちのグループが握っていることが多いのです。
6.毛づくろいは仲直りの印

サルたちが熱心に仲間の毛をかき分けている「グルーミング(毛づくろい)」は、単にノミやダニ、皮膚の汚れを取っているだけではありません。人間でいうおしゃべりやマッサージのような役割があり、お互いの緊張をほぐして信頼関係を深めるコミュニケーションとして行われています。ケンカをした後の仲直りや、順位の高いサルのご機嫌取りとしても使われる、サル社会に欠かせない大切なマナーなのです。
7.ほお袋に食べ物を隠す

ニホンザルがエサを食べているとき、なんだか顔の下半分がぷっくりと膨らんでいるのを見たことはありませんか?彼らの口の中には「ほお袋」という特別な収納スペースがあり、両手いっぱいに相当する量の食べ物を一時的に詰め込むことができます。ライバルが多い場所や天敵が来そうな危険な場所では、とりあえずほお袋にエサを隠して安全な木の上へ移動し、あとからゆっくり噛んで味わうのです。
8.芋を海水で洗う文化

宮崎県の幸島(こうじま)に暮らす野生のニホンザルは、世界中の動物学者を驚かせたある行動で知られています。1953年、1頭の若いメスザルが砂のついたサツマイモを川の水で洗い、やがて「塩味がついて美味しくなる」と気づいて海水で洗って食べるようになりました。この行動は母親から子ども、そして群れ全体へと次々に伝わり、人間以外の動物にも「文化の伝承」があることを証明する歴史的な発見となりました。
9.指紋があり木から落ちる

どんな名人でも時には失敗するという意味のことわざに「猿も木から落ちる」がありますが、実際のサルも枝が折れたり足を滑らせたりして木から落ちることがあります。ちなみにサルの手足の指先には、人間とそっくりな「指紋」がしっかりと刻まれているのをご存知でしょうか。この指紋が滑り止めの役割を果たしているため、細い木の枝やツルでもしっかり握って樹上を素早く移動できるのです。
10.人間と同じく花粉症になる

春になるとくしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされる方が多いですが、実はこの辛さを味わっているのは人間だけではありません。山で暮らす野生のニホンザルや動物園のサルたちも、スギ花粉に反応して人間とまったく同じ「花粉症」を発症することが分かっています。春先のサル山を観察すると、目をしょぼしょぼさせて涙を流したり、鼻をぐずぐずさせたりするちょっと気の毒な姿が見られることがあります。
11.目を合わせると威嚇になる

もしハイキングや観光地で野生のサルに出会ったとき、「かわいいな」と思ってじっと目を見つめるのは絶対にNGです。サルの世界では、相手の目をまっすぐ見つめる行為は「ケンカを売っている(威嚇している)」という敵意のサインとして受け取られてしまいます。目を合わせたまま笑顔で白い歯を見せるとさらに攻撃的だと誤解されるため、出会ったときは目をそらして静かにその場を離れるのが正解です。
12.「去る」を避けて呼ぶ別名

日本の古い言葉や縁起担ぎの世界では、「サル」という響きが「(幸せやお金が)去る」を連想させるため、あえて別の言葉に言い換える風習がありました。そこで使われたのが、「去る」の反対で「(福が)得る・勝る」につながる「エテ(得手)」や「マサル(勝る)」という縁起の良い忌み言葉です。「エテ公」という俗称もここから生まれており、結婚式や商売の場でも言葉遊びとして大切にされてきました。
13.三猿の由来は論語の教え

栃木県の日光東照宮にある「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿の彫刻は、誰もが知る有名な観光スポットですよね。これはダジャレから生まれたものではなく、実は古代中国の思想家・孔子の『論語』にある「礼に背くことは見るな、聞くな、言うな」という道徳の教えがルーツになっています。それが日本に伝わり、当時の庶民にも親しみやすいように「〜ざる」と動物の「猿」を掛け合わせて表現されたのです。
14.豊臣秀吉のあだ名の真相

戦国時代の天下人・豊臣秀吉といえば、主君の織田信長から「サル」というあだ名で呼ばれていたエピソードがドラマや小説でおなじみです。しかし、当時の信長が書いた手紙などの確かな歴史資料を調べてみると、信長は秀吉のことを「ハゲネズミ」とは呼んでいても「サル」と呼んだ記録はないのです。「サル」というあだ名は江戸時代以降に書かれた物語によって広まったという説が、現在の歴史研究では有力になっています。
15.犬猿の仲は実は仲良し?

「犬猿の仲」といえば、お互いに顔を見ればいがみ合うほど仲が悪い関係の代名詞として使われていますよね。野生のサルと猟犬が対立することから生まれた言葉ですが、実際の動物たちは必ずしも憎み合っているわけではありません。江戸時代の見世物や現代の動物園などでは、子どもの頃から一緒に育つことでサルの赤ちゃんが犬の背中にしがみついて甘えるような深い絆が生まれることも珍しくないのです。
16.モンキーとエイプの違い

英語でサルを表す言葉には「Monkey(モンキー)」と「Ape(エイプ)」の2種類があり、明確に使い分けられています。見分ける最大のポイントは「しっぽの有無」と体の構造で、チンパンジーやゴリラ、オランウータンなどの類人猿は「Ape」と呼ばれ、しっぽがありません。日本語ではどちらも「サル」とひとまとめにしがちですが、英語圏でゴリラを「モンキー」と呼ぶと間違いになってしまうので注意が必要です。
17.世界最小は指サイズの猿

世界には約250〜300種類以上のサルがいるといわれていますが、その中で最も小さいのが南米のアマゾン川流域に暮らす「ピグミーマーモセット」です。大人の体長でもわずか12〜15センチほど、体重は100グラム前後しかなく、人間の親指にちょこんと乗ってしまうほど小さな体をしています。小さいながらも運動神経は抜群で、木から木へと最大5メートル近くもジャンプして移動することができます。
18.世界最大はド迫力のマンドリル

しっぽのあるサル(類人猿を除く)の中で世界最大の大きさを誇るのが、アフリカの熱帯雨林に生息する「マンドリル」です。大きなオスになると体長は80センチを超え、体重は50キロ近くに達するものもおり、青と赤に彩られたド迫力の顔と鋭い牙を持つ姿はまさに森の王者です。この派手な顔の色は、群れの中で強さや順位が高いオスほど鮮やかに発色するというから驚きですね。
19.大きな鼻がモテるテングザル

東南アジアのボルネオ島に暮らす「テングザル」のオスは、口元が隠れるほど垂れ下がった巨大な鼻を持っています。一見すると邪魔になりそうなこの大きな鼻ですが、実は鳴き声をメガホンのように大きく共鳴させてメスを惹きつけるための大切な武器なのです。テングザルの世界では鼻が大きくて立派なオスほど声が低く響き渡るため、メスたちから「頼もしくてカッコいい!」と圧倒的な人気を集めます。
20.5キロ先まで響くホエザル

中南米のジャングルに生息する「ホエザル」は、地上の動物の中でもトップクラスのすさまじい声量を持つサルです。のどの奥にある「舌骨(ぜっこつ)」という骨が風船のように大きく膨らんだ特殊な構造をしており、その低くうなるような咆哮はなんと5キロメートル先まで響き渡るといわれています。無駄なケンカを避けるため、毎朝大合唱をして「ここは自分たちの縄張りだぞ!」と遠くの群れに知らせているのです。
21.目が巨大なメガネザルの秘密

東南アジアの島々に住む「メガネザル(ターシャ)」は、顔全体の半分近くを占めるほどの巨大な目を持った夜行性の小さなサルです。実はこの目玉は片方だけで脳みそと同じくらいの重さがあり、大きすぎて眼球をキョロキョロと動かすことができないという驚きの特徴があります。その代わり、フクロウのように首を左右にほぼ180度近くクルッと回転させることで、暗闇の中の昆虫を正確に見つけ出しています。
22.尻尾を5本目の手にする猿

南米のジャングルで暮らす「クモザル」や「オマキザル」の仲間は、体と同じくらい長いしっぽを自由自在に操ることができます。彼らのしっぽは非常に筋肉が発達しており、しっぽ1本だけで木の枝にぶら下がり、両手両足を離して食事をすることまで可能です。さらにしっぽの先端の裏側には毛が生えておらず、手のひらと同じように「指紋(尾紋)」があるため、細かい枝でも滑らずにしっかり掴めるのです。
23.中指だけ細長いアイアイ

童謡『アイアイ』ではかわいらしいおサルさんとして歌われていますが、マダガスカル島に住む本物のアイアイは少し不思議な姿をした夜行性のサルです。特に驚くのが手の形で、両手の中指だけが針金のように細長く伸びているというユニークな特徴を持っています。この細い中指で木の幹をトントンと叩き、反響音で中に潜む虫の幼虫の場所を探り当てると、そのまま指を差し込んで器用にほじくり出して食べるのです。
24.実はバナナより葉や虫が好き

「サルといえばバナナが大好物!」というイメージがありますが、実は野生のニホンザルが暮らす日本の森にはバナナは生えていません。サルは植物を中心とした雑食性で、普段の食事は木の葉や木の実、タケノコ、さらには樹皮や昆虫などを季節に合わせて食べています。動物園でもバナナなどの甘い果物はカロリーや糖分が高すぎるため、健康管理のためにご褒美のおやつとして少しだけ与えられているのが実情です。
25.歯を磨く賢いサルがいる

タイの寺院周辺に暮らす「カニクイザル」の群れには、人間顔負けのオーラルケアを行う驚くべき習慣があります。なんと彼らは観光客の女性の髪の毛などを拾い集め、ピンと張った髪の毛を歯の隙間に通して「デンタルフロス」のように掃除するのです。さらに驚くことに、子どもが近くにいるときは、お手本を見せるように普段よりゆっくり大げさな動作で歯の掃除をして、使い方を教えてあげる姿も確認されています。
26.宇宙へ旅立った最初のサル

人類が宇宙へ飛び出すよりも前、宇宙開発の歴史を切り開くために多くのサルたちがロケットに乗り込みました。1949年にアカゲザルの「アルバート2世」が高度134キロの宇宙空間へ到達したのを皮切りに、1959年にはリスザルの「ミス・ベイカー」とアカゲザルの「エイブル」が宇宙から生きて帰還することに初めて成功しました。彼らの尊い挑戦があったからこそ、その後の有人宇宙飛行が実現したのですね。
27.孫悟空のモデルになった猿

『西遊記』や漫画『ドラゴンボール』でおなじみの孫悟空は、金色の毛並みを持つ「金絲猴(キンシコウ)」という中国奥地のサルがモデルだといわれています。標高の高い雪山に暮らすキンシコウは、太陽の光を浴びると黄金色に輝く美しい毛と、淡いブルーの顔を持つ非常に珍しいサルです。かつては「伝説上の生き物ではないか」と疑われたほど希少で、現在も中国ではパンダと並ぶ国宝級の動物として手厚く保護されています。
28.猿回しの歴史は1000年以上

お正月やイベントなどで、おサルさんと調教師が息の合った芸を見せてくれる「猿回し」は、見ているだけで笑顔になれる日本の伝統芸能です。実はその歴史はとてつもなく古く、平安時代から鎌倉時代にかけて「馬の健康を守るおまじない」として始まったのがルーツとされています。かつてサルは大切な馬の守り神と信じられており、武士の屋敷の厩(うまや)でサルを舞わせて悪霊を払う神聖な儀式だったのです。
29.石をカチカチ鳴らす遊び

嵐山や高崎山などのニホンザルの群れを見ていると、河原の小石をいくつか拾い集めて、両手でカチカチとぶつけ合ったり地面にこすりつけたりする姿が見られます。これはエサを割るための行動ではなく、音や感触そのものを楽しむ「石遊び(ストーン・ハンドリング)」と呼ばれる文化的な行動です。若いサルを中心にブームのように広がり、大人になっても手持ち無沙汰なときに手遊びとして続けるサルがたくさんいます。
30.おしっこを体にかける理由

中南米に住む「オマキザル」や「リスザル」には、自分の手足にわざとおしっこをかけて全身に塗りたくる「尿洗い」というちょっとびっくりな習性があります。不潔に見えるかもしれませんが、彼らにとっては自分の縄張りを示す匂いづけや、暑い日に気化熱で体温を下げる役割がある大切な行動です。さらにオスの場合は、おしっこに含まれるホルモンで「自分は健康で強いオスだぞ」とメスにモテるための香水代わりにもしています。
まとめ
今回は、身近なようで意外と知らない「猿(サル)の雑学30選」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。しっぽが短い理由や温泉に入る秘密といったニホンザルの知恵から、世界中のユニークなサルたちの驚きの生態まで、人間に近い生き物だからこそ共感できる面白さがたくさん詰まっていましたね。
次に動物園や自然の中でサルたちを見かけたときは、ほお袋の膨らみや毛づくろいの様子、しっぽの使い方などに注目してみると、きっと今まで以上に観察が楽しくなるはずです。気に入ったトリビアがあれば、ぜひ家族や友人との会話やクイズのネタとして披露してみてくださいね。
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